野川忍・明大大学院教授(@theophil21)の語る「労働問題で何故法学者と経済学者の議論がすれ違うのか」

労働問題や制度をめぐる問題で、法学者と経済学者の意見や議論がすれ違うのは何故か?について、野川忍・明大大学院教授(@theophil21)が語り尽くす。
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theophil21 @theophil21

労働をめぐる課題について、法学者と経済学者の議論がすれ違うことが多いのはなぜか。いくつもの想定しうる理由のうち、中心的なもののひとつは、法学も経済学も社会の現実について一定の処方箋を見出そうという目的は共通しているのに、自らのアプローチや方法論を相対化できないことが多いという点。

2011-01-15 13:46:08
theophil21 @theophil21

たとえば解雇。「制度や規範を軸として適正な解雇ルールの在り方を検討した場合にはこうなる」、「経済学的アプローチからはこういう見方もできる」、それぞれの見方を補完させあいながら、では具体的な制度はどうすべきかを検討する、という態度をとれない場合が目立つ。そしてそれはなぜか。

2011-01-15 13:51:14
theophil21 @theophil21

一人の法学者から経済学者への注文。法学の学会ではよく経済学者を招き、その意見を傾聴して法学的観点のブラッシュアップに生かそうとしている。しかし、経済学の学会に法学者を招いて同様の姿勢を示す、ということは少ない。経済学者のみなさん、自らを相対化する視座を、共有していただけませんか?

2011-01-15 13:55:09
theophil21 @theophil21

法学者も、経済学の知見を「難しい数式が並んでいてわかりにくい」と敬遠することなく、規範をはじめから前提とせずに社会現象(労働問題であれば解雇や派遣の増大など)を検討した場合の見方を積極的に取り入れる姿勢が不可欠。欠点は双方にあり、「お互い様」という立場で協力できる道を探りたい。

2011-01-15 14:02:39
@marmite1976

@theophil21 「経済学」にも色々分野がありますよね。法学とコラボしやすい分野、しにくい分野とあるのではないでしょうか。

2011-01-15 14:21:19
@marmite1976

@theophil21 私は速水融先生に歴史人口学を教わったのですが、明治期の民法成立の重要性を口すっぱくして言っていました。経済学の学生なのに、なぜかボアソナードのこととか調べさせられました。

2011-01-15 14:23:01
@professor_abe

是非お願いします。“@theophil21: 経済学者のみなさん、自らを相対化する視座を、共有していただけませんか?”

2011-01-15 19:38:30
玉井克哉(Katsuya TAMAI) @tamai1961

野川先生、お久しぶりです。およそ自然科学のパラダイムを採用した分野は、すべて「捨象の学問」です。 RT @theophil21 最低賃金引き上げに反対する…多くの経済学者は、最賃をめぐるさまざまな考慮要素を切り捨てて単純化する。経済学は「捨象の学問」なのだろうか。

2011-01-16 10:57:56
theophil21 @theophil21

そうでしょうね、知財法とか会社法などは比較的経済学と親和的でしょう。雇用や労働の分野は、対象が経済学と大きく重なるにもかかわらず、かなり異なる手法で問題解決にあたろうとするので、ともすれば軋轢が目立つのではないかと思います。@marmite1976

2011-01-16 13:28:16
theophil21 @theophil21

阿部先生、ありがとうございます。もちろん、法学者の自戒をこめていることをご理解いただければ幸いです。@Professor_Abe

2011-01-16 13:30:04
theophil21 @theophil21

(1)玉井先生、ご無沙汰していて申し訳ございません。学問という領域そのものが、それぞれのパラダイムを前提として固有の課題に対応しているのだと思います。たとえば文芸批評論のように自然科学のパラダイムから遠いと思われる分野でも最近は接近していますからね。@tamai1961

2011-01-16 13:36:33
theophil21 @theophil21

(2)ただ、雇用・労働に関する法学と経済学の相違は微妙です。たとえば、解雇について論じるに当たり、「被解雇者Aさんが受けた精神的打撃への損害賠償」も重要な問題ですが、このようにきわめて個別的でありつつ一般性の高い問題の解決手法はかなり異なるでしょう。@tamai1961

2011-01-16 13:47:43