GB鎮守府の航海日誌 2015年10月から11月

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kai jester @kai_jest

仮に理想的な射撃をしたとして、テイザーが一瞬怯み、クローカーに至っては何事もなかったかのように突撃してくるだろう。 冷静に、確実に倒すため、肩から下げていたセカンダリの武器を取り出す。 #GB鎮守府

2015-11-03 18:59:34
kai jester @kai_jest

――RPGだ。 彼我の位置関係、移動速度、爆風の殺傷範囲を勘案し、一瞬待ってトリガーを引く。 先ほどパトカーを爆発させた対戦車ロケットが、ちょうど並んだ二人の特殊隊員の目の前に着弾し、その火力を惜しみなく炸裂させる。 #GB鎮守府

2015-11-03 19:04:05
kai jester @kai_jest

その爆発の中でも原型を留める装備には感服するが、中身は生身の人間だ。耐えられる衝撃ではないだろう。 物言わぬブツとなった敵を確認すると、同じように突入してくる警察を蹴散らしていく。 まるで作業の如く殺し、吹き飛ばし、部屋中を駆け巡る。慣れ親しんだHeistのリズム。 #GB鎮守府

2015-11-03 19:09:02
kai jester @kai_jest

久々の過激なダンスを楽しんでいると、そこらかしこでも似たような銃撃や悲鳴が聞こえてくる。 電ちゃんと北上だろう。あいつらちゃんと殺してるかな? #GB鎮守府

2015-11-03 19:13:45
kai jester @kai_jest

(……元々、私たち艦娘はこういう戦闘を想定していないのです) 内心でぼやきながら、電は周囲の状況を観察する。 通常兵装のSWAT隊員が十名、完全な包囲状態。深海棲艦との艦隊戦ならばまず起こらないシチュエーション。 #GB鎮守府

2015-11-03 19:26:56
kai jester @kai_jest

各種戦況に合わせて出荷されるデチューンドであればいざ知らず、国産純正品の電にとって、陸上の包囲戦など完全なイレギュラーだ。 しかしながら、その心情に焦りは一切ない。慣れているのだ。ブルネイで、日本で、ここアメリカで、様々なHeistを経験した。 あの司令官と一緒に。 #GB鎮守府

2015-11-03 19:30:52
kai jester @kai_jest

(問題はおそらくこの後、弾薬と燃料は取っておきたいけど……) じりじりとその輪を縮めてくる敵に、どう出た物かと思案する。 背中の艤装に装着した対地戦用10cm高角砲。使えば間違いなく蹴散らせる。 しかしある予感が自分を慎重にさせる。 #GB鎮守府

2015-11-03 19:35:50
kai jester @kai_jest

(長期戦になっても駄目、短期戦でも強い敵が来たら駄目、やはりここでは使えない) よし、と電は覚悟を決める。まずは格闘戦、銃撃はその次だ。 好都合なことに、相手は射撃姿勢を取っている。つまり、頭身が自分と近い。 #GB鎮守府

2015-11-03 19:54:06
kai jester @kai_jest

対艦娘戦闘は慣れていないのだろう。特に自分の様な駆逐艦相手は。 前方に向けて思いきり走る。速度は海上と比べるべくもないが、関係ない。 不運にも目の前にいた隊員が最初の犠牲者だ。顔面に勢いの乗った膝を叩き込む。 #GB鎮守府

2015-11-03 20:00:12
kai jester @kai_jest

ゴーグルのめり込む音、頭蓋が鼻から割れる音、声にならず消える呻き声。 ただ駆け、蹴りの一撃だけでもこの威力。これが兵器と言われる所以、艦娘という”存在”。 力なく崩れ落ちた隊員の手にあった火器――M4系の何かだ――を奪うと、呆気に取られ動けずにいる周囲に乱射する。 #GB鎮守府

2015-11-03 20:07:03
kai jester @kai_jest

これで銃は手に入った。 霧島のバックアップがあったとしても、サーバーを持ち出すには相応の時間が必要だろう。 これから先は銃撃と格闘で敵をかく乱しなくては。 部屋の中からは断続的な銃撃音がする、では別方向の通路はどうだ? (北上さん、大丈夫かな) #GB鎮守府

2015-11-03 20:16:01
kai jester @kai_jest

オペレーションルームに向かって左の通路を任せた”部下”は気になるが、とりあえずは目の前の敵だ。 電は気持ちを切り替え、更に突入を目論む敵に向かって切り込んで行くのであった。 #GB鎮守府

2015-11-03 20:24:31
kai jester @kai_jest

「わああああああ!撃ってくるなあああ!!」 敵に背を向け全力ダッシュ!つまり北上は逃げていた! (だってだってだってさ!こんなに沢山来ると思わないでしょ!) 走りながら後ろを確認する、迫りくる敵は色々混ざって十名強! 中でも一際目立つ着太りの隊員が怖い! #GB鎮守府

2015-11-03 22:46:39
kai jester @kai_jest

提督がいれば、とまで思い浮かべ北上はあることを思い出した。 主な特殊隊員や仕事のあらましは、ブリーフィング時にデータで貰っていたのだ。 網膜HUDの隅に先ほど受け取ったファイルが表示されている。 (えーっと、特殊隊員、着太り……じゃだめで、重装甲……) #GB鎮守府

2015-11-03 23:01:53
kai jester @kai_jest

これが通常の海戦で、相手が通常の深海棲艦であれば。 CICから随時、敵艦や周囲の気象データ、統計からの攻撃予測などを教えてもらえる。 だが、今回はそもそも非正規作戦であり、疑う余地のない犯罪行為なのだ。 しかもCICは文字通り海の向こうにある。 #GB鎮守府

2015-11-03 23:06:45
kai jester @kai_jest

だからこそこうして、艤装から受け取ったデータをマニュアルで探しているわけだ。 出てきたデータには果たして、このように書かれていた。 『ブルドーザー 対爆スーツ(笑)に身を包んだデブ、顔面のバイザー割らないと火力が通らない』 #GB鎮守府

2015-11-03 23:09:47
kai jester @kai_jest

『出会い頭に強力な火力で防御できないダメージを与えるか、少し足らない火力で顔面を撃ち続けない限り、勝ち目はない』 『何故かC4の爆破直撃でも殺せる場合がある。対爆スーツ(笑)』 「うわああああ!全然役に立たない!!追われたらどうすりゃいいのよ!」 #GB鎮守府

2015-11-03 23:11:54
kai jester @kai_jest

物陰に隠れながら、とりあえず他の隊員も確認していく。 シールドが二人、テイザーが二人、あとは通常のSWAT隊員。 先ほど見えた緑のブルドーザーも合わせれば十六名の大所帯だった。 対してこちらはか弱い――そう、か弱い――女の子が一人。絶望的な戦力差。 #GB鎮守府

2015-11-03 23:15:15
kai jester @kai_jest

そんな時!脳内IRCに響くBEEP音!提督だ。 ≪GB:そっちどう?≫ ≪KTKM:どうじゃないよ!十六人に囲まれそう!≫ ≪INDM:碌なことになってないのです……≫ ≪GB:ふーん、手が空いたら言ってやっても良いけど、しばらく無理だな≫ ≪KTKM:え、マジ?≫ #GB鎮守府

2015-11-03 23:24:07
kai jester @kai_jest

≪GB:大方、デカいのがいてビビってるんだろう。思い出せよ、お前がなんなのか≫ 一方的に会話を打ち切る提督に若干イライラしながら、言われた意味を考える。 (私が、いったい何者なのか……?) しかしここはもう戦場に等しい場、そう考え込むほどの余裕はない。 #GB鎮守府

2015-11-03 23:28:23
kai jester @kai_jest

意識を戻すと、正面にはブルドーザーが銃を構えて近づきつつある。 その両脇をシールドとテイザーが固め、じりじりと距離を詰めてきている。 私は何者か、その答えはまだわからない。しかしもう時間もない。 このままではやられる。あの銃弾一発が当たっただけでも大変なことになる。 #GB鎮守府

2015-11-03 23:31:58
kai jester @kai_jest

後方は壁、今は柱の陰に隠れているが、あの様子だとこちらは捕捉されているだろう。 警告も何もないのは、この街に凶悪犯罪が溢れ、そんなの意味が無くなってしまったからだろうか。 どうする、どうする。まだ答えは出ない。時間は迫る。どうする。もうすぐ豪雨の様な銃撃が……来た! #GB鎮守府

2015-11-03 23:34:37
kai jester @kai_jest

北上は祈った。全ての弾丸が狙ったかのように私の体をすり抜けていきますように。 続いて祈った。全ての敵火器が動作不良でも起こして、使えなくなりますように。 更に祈った。祈って祈って「痛たたたたた!痛い痛いって!!」 #GB鎮守府

2015-11-03 23:36:52
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