「手術が必要だから過剰診断ではない」とは必ずしも言えない

過剰診断とは「症状や死亡を引き起こさない病気を診断すること」です。病気を診断した時点で100%過剰診断だと確信が持てるのなら、治療は必要ありません。しかし、ほとんどの場合、診断した時点では100%の確度を持って推測することはできません。過剰診断である可能性が高いとか、低いとかはある程度推測できます。 治療したほうがいいかどうかは、過剰診断である確率(確率が高ければ高いほど治療の必要性は小さくなる)、治療の侵襲性(侵襲性の小さい治療で済むなら過剰診断である確率が高くても治療したほうがいい)、生じる症状の重大さ(死亡の原因になるなら過剰診断である確率が高くても治療したほうがいいし、命に別状がない軽い症状しか引き起こさないのであれば治療の必要性は小さい)、患者さんの価値観などによって決まります。 続きを読む
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名取宏(なとろむ) @NATROM

仮に、乳がんの術後に抗がん剤治療を受けると(術後補助化学療法)、術後再発する確率を20%から10%に減らせるとしよう。再発を1人減らすのに必要な治療数(NNT)は10人である。

2015-11-30 21:25:12
名取宏(なとろむ) @NATROM

つまり、治療を受けた10人中の9人は治療は予後を変えなかった、結果的には不必要であったということになる。しかし、治療を受ける前には、どの人が「結果的に不必要」になるのかわからない。

2015-11-30 21:25:23
名取宏(なとろむ) @NATROM

こういうことを述べたら「9割は必要ないはずだから全員に術後補助化学療法を施さない方が良い」と述べたかのように誤解するような人も、ごく一部にはいるようだ。NNT 10人で再発を減らせるなら、普通は治療したほうがいいと考えるのだけれども。そんなに難しい?

2015-11-30 21:26:15