きっと

かおりさんが見た夢をもとに、年下大型犬大倉くんに愛されてるお話。
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かおり @orange_shake_

【きっと・51】 可愛い年下の顔して、こういう時とか意外としっかりしてて実は私よりも大人なとこ。 いつもは甘えたな彼が、 好き好きってだけじゃなくて、心から大切にしてくれていること。 そして私も同じくらい、彼のことが大切だってこと。

2015-10-18 22:42:11
かおり @orange_shake_

【きっと・52】 挙げていけばきっとまだまだあるけど、そんな必要ないって思った。 私は、大倉くんが好きだから。 それだけ。理由なんて、いくら並べたって意味がない。 いつの間にか、閉じた目を開いて運転する横顔を見つめていた。 かっこよくて自分のことが好きだったら誰でもいい?

2015-10-18 22:42:38
かおり @orange_shake_

【きっと・53】 そんなわけなかった。 いつか大倉くんがお腹の出たオジサンになっても、私のこと好きじゃなくなっても。 たぶん、私はこの人から離れられない。 惜しみなく注がれ続けた大倉くんから私への愛よりも、静かに積もってきた私の気持ちの方がよっぽど重かったんだ。

2015-10-18 22:42:45
かおり @orange_shake_

【きっと・54】 『どした?気持ち悪い?』 私の視線に気付いた大倉くんは、驚くより先に私の心配をした。 どうしたら、ずっと彼の好きな私でいることができるかな。 今まで全く意識してこなかったから、全然わからない。 『吐きそう?一応ビニール袋あるけど、どっか停める?』

2015-10-25 21:16:49
かおり @orange_shake_

【きっと・55】 「いや、」 そういうことじゃない。 むしろ、あのお酒は回りは早いけど抜けるのも早い。何ならすでに少しずつ正気を取り戻してきてる。 『あと10分、とばせばなんとかなると思うんやけど、車酔いさしてもあかんからしんどかったらすぐ言いや?』

2015-10-25 21:16:59
かおり @orange_shake_

【きっと・56】 「大丈夫…あの、安全運転で」 私がそう言うと、信号待ちでブレーキを踏んだ大倉くんが運転席からそっと腕を伸ばしてきて、優しくぽんぽんと私の頭を撫でた。 何だかすごく安心して、それを合図にするみたいに自然とまた目を閉じた。 ***

2015-10-25 21:17:07
かおり @orange_shake_

【きっと・57】 *** 『着ーいたでぇ』 時計を見れば、本当に10分。 たった10分なのに、ずっと寝てたみたいに頭がぽわんとしてる。 『よ、っと』 「あ、いいよもう、」 『まあまあ♡』 助手席に回ってきた大倉くんがドアを開けると、あっという間にまた私を抱え上げた。

2015-10-25 21:17:16
かおり @orange_shake_

【きっと・58】 もう自分で歩けるんだけど… 歩き始めた大倉くんがなぜか嬉しそうな顔してるから、それ以上抵抗する気にはならなかった。 『人多いとこ得意じゃなかったもんなぁ、無理さしてごめんな?』 「ううん、楽しかった」 『ほんまぁ?なら良かった♡』

2015-10-25 21:17:26
かおり @orange_shake_

【きっと・59】 『すばるくん以外の仲間にもさ、紹介したかってん』 「………」 紹介された人達はみんなすごくいい人達で、大倉くんって本当にたくさんの人に愛されてるんだなぁって思った。 大倉くんのお友達はみんな親切に話しかけてきてくれて。

2015-10-25 21:17:34
かおり @orange_shake_

【きっと・60】 「噂通りめっちゃ可愛いですね」とか、「よく惚気話聞いてるんですよ」とかいっぱい言われた。 それだけ大倉くんが仲間に私の話をしてるんだ、って思ったら恥ずかしいようなくすぐったいような、それでいて嬉しいような不思議な気持ちになった。 『よし!俺、水取ってくるな』

2015-10-25 21:17:43
かおり @orange_shake_

【きっと・61】 家に入って、私を寝室のベッドに下ろした大倉くんが私から離れようとする… 『ぅわっ!』 と、その時。 急にバランスを崩して、私の上に覆いかぶさるように私の顔の両横に手をついた。 『ごめん!って…。え?』 「………」

2015-10-25 21:17:51
かおり @orange_shake_

【きっと・62】 大倉くんが倒れこんできた原因はわかっている。 抱っこされてるときから離れることのなかった、大倉くんの首に回した私の両腕。 『えっとぉ…』 何がしたいんだろう、私。 これじゃまるで、私が大倉くんを引っ張ったみたい。

2015-10-25 21:17:58
かおり @orange_shake_

【きっと・63】 いや。 みたい、じゃなくて。 完全に私が彼を引っ張った。 状況がわからず目を白黒させてる大倉くんに、回した腕に力を入れてもっと引き寄せた。 『え、え?えっとぉ…』 「、」 『!!!』 必死に起き上がろうとしてた大倉くんの力が抜けて、私の上に重なった。

2015-10-25 21:18:07
かおり @orange_shake_

【きっと・64】 お、重い… 『え、今何を…』 何って… 『俺の気のせい…ちゃうやんな、』 「…うん」 『今、俺にキスした…よな?』 「…ハイ。」 『えっと…なんで、』 「なんで、って」 そんな質問、ある? 私達、恋人同士なのに。 触れ合うのに理由が必要なの?

2015-10-25 21:18:15
かおり @orange_shake_

【きっと・65】 やっぱり、私達は恋人同士にはなれてなかったのかな。 やっと自分の気持ちがわかったと思ったら、今度は大倉くんの気持ちがわからないや。 「…ごめん」 未だ私に覆いかぶさっている大倉くんを押し退けて起き上がろうすると、 『ちょちょちょちょちょ!!』

2015-10-25 21:18:25
かおり @orange_shake_

【きっと・66】 慌てた様子の大倉くんが今度は自分から私に覆い被さって、そのままぎゅっと抱きついてきた。 だから重い… 「大倉くん、苦しい…」 『ん?あぁ、ごめんごめん』 口ではそう言うくせに全くどいてくれる気配はない。 「大倉くん」 私の枕に顔を埋めて、動かない。

2015-10-25 21:18:39
かおり @orange_shake_

【きっと・67】 「大倉くん?」 苦しいし顔は見えないし、何を考えてるかわからなくてなんとか顔を覗き込もうとするけど。 『、』 その時、大倉くんが鼻を啜る音が聞こえた。 「……え。」 次の瞬間、がばっと起き上がった大倉くんは完全に涙目。 え、何? 「!」

2015-11-15 21:29:32
かおり @orange_shake_

【きっと・68】 大倉くんの涙目に怯んだのも束の間、初めて見た泣き顔はすぐに塞がれた唇のせいで見えなくなった。 「…んっ」 さっき私からした軽いキスとは比べものにならないほど、熱くて深くて、甘い。 そういえばお付き合いを始めてからキスはされてきたけど、こんなの初めてだなぁ。

2015-11-15 21:29:40
かおり @orange_shake_

【きっと・69】 どのくらいの間そうしていたかわからないけど、頭がぼーっとしてきた頃にやっと大倉くんが顔を離した。 『俺のこと、好き?』 「え、」 彼から聞かれる前に自分から言おうと思っていた言葉。 「…好き。大倉くん」 大好きだよ。 やっと彼の涙目の理由がわかった。

2015-11-15 21:29:53
かおり @orange_shake_

【きっと・70】 いつも私のことを気にかけて、私のことばっかりな大倉くん。 私の気持ちに、気づいてなかったはずがない。 『…不安やってん。俺のことが可哀想で一緒におってくれてるんかなぁとか、ほんまはそんなに好きじゃないんやろうなぁとか。』 そんなこと…

2015-11-15 21:29:58
かおり @orange_shake_

【きっと・71】 『でもな、別れるのはどうしても嫌やったから気付かんフリしとった。』 潤んだ目には、私しか映ってない。 それはきっと、初めて会った日から。 それから、私の目にも。 「もう…ばか。」 下から思いきり抱きついた。 大きな身体が重いけど、もういいや。

2015-11-15 21:30:06
かおり @orange_shake_

【きっと・72】 ばかなのは私だ。 自分の気持ちなのに、今まで気づいてなかった。 大倉くんはそんな私の言いたいことまで全部わかってるみたいで。 『ばかちゃう。好きやで』 腕の中で聞いた「好き」は、今まで何百回と聞いてきたはずの言葉なのに、涙が出そうになった。 【おしまい】

2015-11-15 21:30:11