◇ニンジャ二次創作◇【デッドブックス・イン・ザ・デッドライブラリ】◇初挑戦◇

柊 @hiiragi_r_t_d

「貴殿が害を為すニンジャかどうか調べて報告せよ、というのが雇い主のオーダーです。なので」「アバー」「グワーッ!?」 アンクーの言った事に何の反応も示さず、ブックマンはアンクーに右の拳を叩き込む！ワイヤーアクションめいて吹き飛ぶアンクー！ 22 #hollytk

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しかしアンクーは空中で身を翻し、猫めいて壁を蹴り機敏に床に降り立つ。そして懐から通信端末を取り出し、何処かへと通信を送る。 「こちらアンクー。ターゲットを敵性ニンジャ存在と断定」「アバー」 通信中の隙を突き、ブックマンが大振りな一撃を放つ！ 23 #hollytk

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しかしその一撃は、アンクーが懐より取り出したボーによって逸らされ、周囲の本棚を大きく吹き飛ばす。 「当初のオーダー通り、対象を始末する」 アンクーは通信を切断し、ブックマンへと向き直る。 ブックマンは冷たい息を吐き出し、ネクロカラテを構えた。 24 #hollytk

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アンクーは懐からもう一本のボーを取り出し、二本を連結させる。８フィートほどに伸びたボーを構え、瞳を血の色に輝かせるアンクーは静かに言い放つ。 「ブックマン＝サン。貴殿を今から」「アバー」しかしブックマンは彼の言葉に耳を貸さない！ミイラめいた足が床を蹴る！ 25 #hollytk

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「アバー」ネクロカラテの込められた右の拳が砲弾めいて唸りを上げ、アンクーの首をめがけ迫る！ 「イヤーッ！」 一瞬の静寂。ブックマンの右腕が肩からズルリと滑り、鈍い音を立てて埃の積もった床に落ちた。 自らの傷を省みず、ブックマンは平然と片腕のカラテを構える。 26 #hollytk

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アンクーは再びボーを構える。否、それはもはやボーではない。ブックマンの腕を容易く切断し、床と壁に鋭い爪痕を残したそれは、８フィートの柄を持つ外刃の大鎌であった。 超自然のジツによって発生した鋭い刃を目の前のズンビーに向け、アンクーは宣告する。 27 #hollytk

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「死せる者はアノヨに帰りなさい、ブックマン＝サン。貴殿は既に、与えられた生を全うしました」 割れた窓から月光が差し込み、アンクーの大鎌を照らす。 「ア…アバー…？」 その光を見たブックマンの眼に、理性の光が戻る。 「アバ……アー……俺は、死んでいたのか」 28 #hollytk

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「そうか……で、ニンジャか」 アンクーは刃を下ろし、静かに見守る。 「そうか……そうか」 男は……ブックマンは静かに頷く。 「そうだ。貴殿は死に、その体をソウルが満たした」 アンクーは彼の目を見据え、問う。 「これより貴殿をアノヨへ送る。ハイクを詠まれよ」 29 #hollytk

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ブックマンは答えず、片腕のカラテを構えた。 「ハイクは要らねえ。死ぬ前に一度、思い切り体を動かしてみてえと思ってたんだ」 「……心得た」 アンクーは鎌を大きく後ろに引き、前傾姿勢を取る。静寂とイクサの緊張が満ちた書架を、髑髏めいた月が照らしていた。 30 #hollytk

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「イ……イヤーッ！」 先に仕掛けたのはブックマン。枯木のような両足に不自然な力が込められ、巨岩めいた左腕が唸りを上げる。書物の記述をなぞって行ったそれは、ぎこちないながらも確かにポン・パンチであった。 31 #hollytk

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アンクーは前傾姿勢から更に体を下げ、地を這うようにブックマンの拳を回避。そのまま一陣の風めいてブックマンに肉薄し、後ろに構えた大鎌を振るう！ 「イヤーッ！」「イヤーッ！」 澄んだ音が書架に吸い込まれ、アンクーはブックマンの股下を走り抜け後方でザンシンした。 32 #hollytk

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二人の交錯点よりスリケンめいて薄い金属片が飛び、壁へと突き刺さる。 それは、アンクーの鎌の刃であった。ブックマンはアンクーの鎌に横への力を加え、刃を折る事で体の損傷を最小限にとどめたのだ！なんたる膨大な読書経験から来る初めてのイクサとは思えぬ状況判断か！ 33 #hollytk

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右腕を失ったブックマンと刃を失ったアンクー。このイクサはゴジュッポ・ヒャッポか？否！ 瞳を赤く輝かせ、アンクーはボーを構える。その先端から、新たな刃がタケノコ成長映像の速回しめいて伸びた！ 「イクサを続けましょう、ブックマン＝サン。イヤーッ！」 34 #hollytk

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「イヤーッ！」アンクーの鎌による唐竹割りをブックマンは左の掌打で逸らし、肘打ちをアンクーの顔面へ。アンクーは姿勢を下げて回避。そこへブックマンの膝の一撃！アンクーはスウェー回避！「イヤーッ！」三連続側転で距離を取るアンクー！ 35 #hollytk

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距離を取り、態勢を立て直したアンクーはボー・カラテの要領でカラテ演武を行った。周囲の床や壁に幾筋もの深い傷が刻まれる。 「なかなかですね。初めてにしては良い動きです。いや、とても良い動きと言えます」 「ありがとよ。じゃあ、いくぜ！イヤーッ！」 36 #hollytk

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アンクーはブックマンの攻撃をボーで受け流しながら、感慨にふけっていた。 (((若いなぁ……俺も最初はこんな感じだったのかねぇ))) 彼にもニュービー時代があった。ニューロンを焼かれ死の淵にあった彼はディセンションによって救われ、イクサの末に全てを失った。 37 #hollytk

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それ以来、彼はアンクーとしてネオサイタマの闇を駆け、月に一度ほどソウカイヤからミッションを受けていた。できる限りイクサを避け、受けるミッションもこのような調査に限っていた。そんな彼は今、死者の願いに応えてカラテをしている。 38 #hollytk

柊 @hiiragi_r_t_d

(((なんでまた、こんな似合わねえマネしてんだろうねぇ))) ミッションの事だけを考えるなら、ブックマンを正気に戻す必要は無かった。 それでも彼の意識を引き戻し、人間としての死を与えようと考えていた。 (((……結局、今回もあのクソッタレの仕業か))) 39 #hollytk

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アンクーは己にアイサツと一方的な啓示を残して消えたニンジャを思い起こす。いや、消えてなどいない。彼はアンクーの中に溶け、一体となっている。サマエル・ニンジャと名乗ったソウルは何も語らぬ。意識があるのかどうかも定かではない。 しかし、彼は本能を残していった。 40 #hollytk

柊 @hiiragi_r_t_d

アンクーは死者に尊厳ある死を与える。メンポを着ける事と同じく、それは抗えない本能である。 (((全く、ツイてねえったらありゃしねぇ))) 絶え間なく降り注ぐ重金属酸性雨めいて全く疲れを見せないブックマンのカラテを注意深くさばきつつ、アンクーは心中でぼやく。 41 #hollytk

柊 @hiiragi_r_t_d

(((さっさと終わらせねえとなぁ))) 片腕とはいえ、ネクロカラテの一撃は重い。隠し持った五本のボーのうち三本は破城槌めいた衝撃の受け流しに失敗し、無惨に折れ曲がっていた。 アンクーはブックマンの打撃の一瞬の切れ目を見計らい、攻勢に出る。 42 #hollytk

柊 @hiiragi_r_t_d

「イヤーッ！」アンクーの逆袈裟がブックマンの肩を掠め、ドネルケバブめいて肉を削ぐ。 「イヤーッ！」ブックマンは意に介さず、左拳を振るう。 「イヤーッ！」アンクーはスウェー回避し、その勢いで鎌を引き戻す。 「イヤーッ！」ブックマンは鎌の動きに合わせ拳を放つ。 43 #hollytk

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「イヤーッ！」アンクーはバックステップで距離を取ると同時に引き戻した鎌を振るう。ブックマンの打撃が逸らされ、更に死角である右側からの斬撃！ 「イ、イヤーッ！」ブックマンはこれを防ぐ為に左腕を振るう！しかし右からの攻撃に左腕をもって防御する事は至難の技だ！ 44 #hollytk

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左腕に鋭い刃が食い込む。痛みはない。ブックマンの主観時間が泥めいてその密度を増す。 「イィィィィィ……」 刃の勢いは強い。アンクーはこの一撃で首を狩るつもりだ。なんとしても防がねばならない。 (動いてくれよ、俺の体……) 45 #hollytk

柊 @hiiragi_r_t_d

実際、ブックマンはここまでのイクサで既に満足していた。しかし、だからと言ってアンクーの一撃を甘んじて受ける事を彼の高潔な魂は許さない。 左腕が軋みを上げる。腐敗し乾燥した死者の腕は、持ち主の意思と少しだけズレた動きを行った。 46 #hollytk