#完全ノープラン艦これ与太話 【コレクティヴ・サブコンシャスネス】#5～#6

春魔解丼 @vespiking

「アッハイ、エー……スミマセン。似たような噂を最近、聞いたもので」マンオウォーは刹那の問答の末、一度止めたチョップを突き出すことを選んだ。即ち、マンオウォーとしての自我の表出。無辜なるブルーバブルは真実しか口にできない。真実しか知らぬからだ。彼女は人を騙せない。 #KZNPLN

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「噂……ですか」「ハイ。少し前から、活動家たちの間で……話は覚束無いのですが、ウシミツ・アワー頃に」マンオウォーは敢えて初手に虚偽を混ぜなかった。ウナギにドジョウを一匹混ぜる者あり。ならばウナギにはかえって手を抜くべからず。虚偽は一箇所でいい。真実は嘘を隠す森だ。 #KZNPLN

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「ほう……恐らくそれです！どのような証言が」「ハイ……何かの啓発を促すような、奇妙な音声……そうしたものです。てっきり、何かのアーバン・レジェンドの類いかと」「なるほど……見た方に何か変化は」自我の仮面の下で、マンオウォーの瞳が光った。「……変化、ですか」 #KZNPLN

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このジャーナリストはどこまで知っている。どこまでの影響を把握している。この選択肢は賭けだ。「……確かに。少し様子がおかしいふうに見えました……ま、まさか、昨日のテロと何か……！？」「ア、イエ、まだわかりません。なる程。奇妙な声、そしておかしくなった……」 #KZNPLN

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翔鳳丸はインタビュー結果をメモした。放送の内容は、これまでの証言と大差はない。変化の兆候は翔鶴にも見られた。活動家にも変化……やはり、昨日の事件と関与しているのか。「……ご協力、ありがとうございます。何かわかったら連絡します」翔鳳丸は名刺を差し出しオジギした。 #KZNPLN

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間一髪か。翔鳳丸をやり過ごしたマンオウォーはじわりじわりと、主導権をブルーバブルに戻す。ブルーバブルは健気な笑顔を作り、オジギを返した。「……あの。頑張ってください。絶対、犯人を、見つけますから」翔鳳丸は絞り出すように告げ、彼女と別れた。 #KZNPLN

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気力を消耗するインタビューだったが、まだ足りない。少しでも、新たな情報を得なければ。翔鳳丸は駆け足でインタビュー対象を探した。その時、視界の隅に見覚えのある白い影が見えた。「……アッ」「あら、ドーモ。特派員＝サン。お久しぶりですわ」彼女は丁寧にアイサツした。 #KZNPLN

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「ハイ、ドーモ。翔鳳丸です」翔鳳丸もアイサツを返す。あの事件の朝、インタビューしていた深海棲艦の女性だ。白いドレスと長い黒髪が美しく、神秘性すら感じさせる美女である。浮世離れしたその美貌は、地に足のついた奥ゆかしさをもつブルーバブルとは対照的に感じられた。 #KZNPLN

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「その節は、ドーモ」「イエイエ。お仕事、頑張ってくださいね」彼女はニコリと笑い、翔鳳丸とすれ違う。そこで気付いた。アナヤ、名前を聞いていなかった。せっかくの機会だ。そう思い翔鳳丸は振り返った。直後、風のような声がすうと耳に流れ込んだ。 #KZNPLN

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「ほんとうは誰なんでしょうね、貴女も私も、そして彼女も」「アイエッ？」弥生が振り向いたとき、彼女はもういなかった。かわりに、通信機が鳴った。秋雲からだった。弥生は弥生に戻り、慌ててそれを取った。 #KZNPLN

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『モシモシ……き、聞こえるか……弥生＝サン……今ドックスタッフの目を盗んで、かけてる……返事はいい、聞いてくれ……視覚だ！あの放送……目で見るとおかしくなる！だから……お前、ゲームしてて目疲れてたろ……だから大丈夫だったんだ！深海棲艦の、顔が、起爆剤だ！』 #KZNPLN

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ガチャリ。通信が切れた。弥生はしばらく動けなかった。彼女は震える手でメモを取り出した。確かにこう、書かれていた。「謎の放送、呼びかける声、変化の兆候」 #KZNPLN

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#完全ノープラン艦これ与太話 【コレクティヴ・サブコンシャスネス】#6終わり。#7に続く。 #KZNPLN