鳥嶋真也さんによる、金星探査機「あかつき」の金星周回軌道投入結果に関する記者説明会テキスト中継

鳥嶋　真也🚀🖖Shinya TORISHIMA @Kosmograd_Info

Q：探査機というのは失敗の連続という面もある。失敗の意味とは　中村：失敗しないとわからないこともある。想像力をどこで働かせればいいのかという勘ができる。日本はまだその緒に就いたばかりである。

鳥嶋　真也🚀🖖Shinya TORISHIMA @Kosmograd_Info

Q：もし5年前に戻り、失敗するプロジェクトとしないプロジェクトを選べるといしたらどちらを選ぶか　中村：もちろん後者ですよ（笑）

鳥嶋　真也🚀🖖Shinya TORISHIMA @Kosmograd_Info

Q：廣瀬さんに。軌道計算というのが大きな役割を果たしたと思うが、どれぐらい計算されたのか。パラメーターの数、計算の中で一番苦しかったことは　廣瀬：4人チームで一丸となってやった。それぞれが何万ケースの計算をした。パラメーターというのは、投入時刻と場所。（続く）

鳥嶋　真也🚀🖖Shinya TORISHIMA @Kosmograd_Info

（続き）金星の球体、3次元のものに対し、どこを最接近点とするか、何時に会合するかで、場所と時刻だけでパラメーターとしては数え切れないぐらいになる。それを4人で解析した。苦しい点あ、ということだが、苦しくはなかった。ただ、日陰時間というのがある。金星の影。（続く）

鳥嶋　真也🚀🖖Shinya TORISHIMA @Kosmograd_Info

（続き）太陽電池に太陽光が当たらないので、機体のバッテリーでしのぐ必要がある。可能な時間は90分間。それが軌道によって変わる。日陰時間　違う周回では90分を切れても、別の周回で200分になったりした。解析が止められなかった。（続く）

鳥嶋　真也🚀🖖Shinya TORISHIMA @Kosmograd_Info

（続き）2年半ぐらいずっと延々と解析を止めることができなかった。良い答えが見つかるまで寝ても覚めても計算し続けたことが、苦しいというか、大変だった。

鳥嶋　真也🚀🖖Shinya TORISHIMA @Kosmograd_Info

Q：他の投入チャンスはあったのか　廣瀬：遠金点高度31万kmを達成できるタイミングは、この日（2015年12月7日）しかなかった。これより前だと金星に落下する。7日よりあとだと、遠近点を下げられない解しか見つからなかった。

鳥嶋　真也🚀🖖Shinya TORISHIMA @Kosmograd_Info

Q：軌道を下げられないのは燃料の残りのせいか　廣瀬：OMEが壊れていなければ遠近点8万kmというのもあった。RCSの場合、残燃料を考えると、31万kmが限界だろうと思う。

鳥嶋　真也🚀🖖Shinya TORISHIMA @Kosmograd_Info

Q：惑星探査の緒に就いたということについて詳しく　中村：惑星探査の緒に就いた。惑星探査のデータを世界に提供できるようになった。これまで日本はそういうことができなかった。それができるようになったのは大きい。

鳥嶋　真也🚀🖖Shinya TORISHIMA @Kosmograd_Info

Q：今後、惑星探査をどのように進めるべきか　中村：川口さんは世界で最初であることが大事というが、私は世界がやっていても、やるべきだと思う。自分でやらないとわからないこともある。

大貫剛🇺🇦🇯🇵З Україною @ohnuki_tsuyoshi

中村プロマネ「はやぶさの川口プロマネは『世界初に意義がある』と言ったが、私は外国がやったことを自分でやってみることにも意義があると思う」まさに、両輪ですね。

鳥嶋　真也🚀🖖Shinya TORISHIMA @Kosmograd_Info

Q：カメラが守られたことについて　中村：カメラを守ることに関しては、比較的良い状態においていただいたと思う。太陽光から守られるような運用で、他の機器に負担をかけた面はあるが、その分カメラを守っていただいた。

鳥嶋　真也🚀🖖Shinya TORISHIMA @Kosmograd_Info

模型と画像を使った説明なのでツイートを止めます。

鳥嶋　真也🚀🖖Shinya TORISHIMA @Kosmograd_Info

Q：使われている日本の技術について。また産業界全体にどう生かされるべきか　中村：カメラはオールジャパン製です。電池、電源、太陽電池、セラミック・スラスターも日本製。衛星メーカーも日本。輸入している部品はあるが、日本のメーカー、知恵で作った。日本で造ったことが大事。

鳥嶋　真也🚀🖖Shinya TORISHIMA @Kosmograd_Info

中村：（産業に）すぐに役に立つかはわからないが、どういうところに気を配れば太陽電池の効率を上げられるか、といった、車でいうとF-1に参加するようなもので、得られるものがある、参加した技術者の能力になって反映されていくのではと思う。

鳥嶋　真也🚀🖖Shinya TORISHIMA @Kosmograd_Info

Q：今村先生へ。期間中にやりたい観測は　今村：惑星はいろんな時間スケールで変化している。2、3年間が最適かといえば、いくらでも長くデータを取っていきたいが、与えられた時間の中でやるには2つの観点がある。ひとつは均質的、連続的なデータを取ること。（続く）

鳥嶋　真也🚀🖖Shinya TORISHIMA @Kosmograd_Info

（続き）気候変動が隠れているかを理解する。そしてキャンペーン的な、特定の事象に集中した観測もやりたい。太陽の直下点ではおもしろいことが起こっている。それが大気循環などにどういう影響を与えているか、カメラを向きなどを変えながら観測したい。（続く）

鳥嶋　真也🚀🖖Shinya TORISHIMA @Kosmograd_Info

（続き）雷の観測も、雷カメラだけではなく、他のカメラも動員して集中観測するなどといったことをやっていきたい。タイミングは地球、太陽、金星の位置関係からプランをたてていきたいと思う。

鳥嶋　真也🚀🖖Shinya TORISHIMA @Kosmograd_Info

Q：90年代からマジェラン、VE、そして「あかつき」ときたが、金星探査の関心が高まることは期待できるか　今村：大いに期待している。これまでは地表にしろ大気にしろ、どういうものがあるかを調べた。「あかつき」は時間変化を調べることに主眼を置いている。（続く）

鳥嶋　真也🚀🖖Shinya TORISHIMA @Kosmograd_Info

（続き）世界の惑星科学者が、「あかつき」の観測でこういうおもしろいことがあるんだ、という発見があるだろう。皆さんも惑星の大気っておもしろいんだ、では地球ではどうなんだろう、違いってどこなんだろうというところから、地球環境への関心、理解につながっていってほしい。

鳥嶋　真也🚀🖖Shinya TORISHIMA @Kosmograd_Info

Q：RCSスラスターで惑星周回軌道に入ったのは世界初か　中村：世界初。NASAも唸っていたが、本来ならやりたくはなかった。RCSそのものは地上でもっと長い間燃やしているが、「あかつき」のこと状態では初めて。

大貫剛🇺🇦🇯🇵З Україною @ohnuki_tsuyoshi

もう新しい金星の謎が見つかったようだ。金星の雲は、赤道より南極の方が温度が高い。これは、金星は赤道より南極の方が気温が高いのか、雲の高度の違い（高い雲の方が温度が低いから）なのか、これから研究。

鳥嶋　真也🚀🖖Shinya TORISHIMA @Kosmograd_Info

Q：お三方に。厳しい状態というが、今後の懸念、課題など　中村：5年間の間に使っていなかったものがある。たとえば高利得アンテナはずっと太陽に向けていたので、ちゃんと動くか見ないといけない。（続く）

鳥嶋　真也🚀🖖Shinya TORISHIMA @Kosmograd_Info

（続き）電波発信機もずっと止めていたので、動いて欲しい。また軌道制御も行うので、うまくいってほしい。なるべく多くのデータが取れることを期待している。

鳥嶋　真也🚀🖖Shinya TORISHIMA @Kosmograd_Info

Q：同　廣瀬：探査機表面の特性が変わっている。周回中はすべての面から太陽光が当たるので、課題。燃料も節約しないといけない。どれぐらい節約できるかが課題。