12月13日　三笠の昔話

戦艦だった三笠 @senkan_mikasa

今日はラプラタ沖海戦(1939)の日です。 南大西洋を荒らし回っていた独装甲艦アドミラル・グラーフ・シュペーが英重巡3隻による追撃を受け、最終的にはモンテビデオ港で自沈に追い込まれました。

戦艦だった三笠 @senkan_mikasa

シュペーちゃんは以前紹介した独・東洋艦隊司令M・フォン・シュペーに因み、シュペー提督も南米での海戦で戦死(フォークランド沖海戦(1914))しています。

戦艦だった三笠 @senkan_mikasa

追撃したのは、軽巡エイジャックス(旗艦)、重巡エクセター、軽巡アキリーズ、重巡カンバーランド。(先程の呟きは間違いです。すみません) 司令はハーウッド准将。彼はシュペーちゃんを徹底的に調べ上げ、「火力のわりに防御は薄い」ことを利用して分散戦法を採りました。

戦艦だった三笠 @senkan_mikasa

シュペーちゃんは海戦で機関(この時代では珍しく、ディーゼル)に損傷を受けモンテビデオ港に退避。しかし親英的中立のウルグアイに退去を要請され、出れば待ち伏せ、留まれば拿捕、という八方塞がりに陥り、結局自沈してしまいました。 艦長はその後自決。

戦艦だった三笠 @senkan_mikasa

シュペーちゃんは今もモンテビデオ港に沈んでおり、航行を妨げるオジャマムシ深海棲艦と化しています… ウルグアイ政府が引き揚げを計画しているようですが、ドイツは今も艦の所有権を主張しており、先行きは真っ暗、とのこと。

戦艦だった三笠 @senkan_mikasa

アドミラル・グラーフ・シュペーちゃんを追う英重巡エクセターちゃん。彼女もまた約２年後、妙高級4姉妹、山風江風、曙、雷に襲われ沈むことに。 upload.wikimedia.org/wikipedia/comm… pic.twitter.com/joSFWtBRja

拡大

戦艦だった三笠 @senkan_mikasa

ちょっとこれだけでは寂しいので、もうひとつ。 今日は日露戦争・防護巡洋艦高砂ちゃん触雷沈没の日（1904）です。 旅順口を哨戒中、敵機雷に触れて轟沈。乗員の７割が犠牲となりました。 #三笠の昔話

戦艦だった三笠 @senkan_mikasa

高砂ちゃんは吉野級防護巡に分類されますが、この頃は巡洋艦といえば英国か仏国で製造され、時期や発注国の事情次第で設計がコロコロ変わっていたこともあり、実際には吉野ちゃんとは共通項が少ないというのが実情です。 人間で例えると、異母姉妹ぐらいでしょうか？ #三笠の昔話

戦艦だった三笠 @senkan_mikasa

ちなみに、お父さんであるところの「設計者」は、同じフィリップ・ワッツ技師。 ワッツ技師は、八島さん、初瀬姉さまの設計も手がけ、さらには弩級の祖・ドレッドノートちゃん、巡洋戦艦の祖・インヴィンシブルちゃん、そして金剛ちゃんもワッツ技師の手によるもの。 #三笠の昔話

戦艦だった三笠 @senkan_mikasa

今日は、海軍軍人西開地重徳一飛曹が戦死したとされる日(1941)です。 空母飛龍戦闘機隊の一員として真珠湾攻撃に参加しましたが、被弾しニイハウ島に不時着。住民と争いになり、命を落としました。いわゆる｢ニイハウ島事件｣です。 #三笠の昔話

戦艦だった三笠 @senkan_mikasa

ニイハウ島は未だに個人所有のため一般人は立ち入ることができず、｢シークレット・アイランド｣とも呼ばれる地。当時も一般人は立ち入れず、日本海軍は帰投困難となった場合の不時着収容地点としてこのニイハウ島を設定していました。 しかし、人が住んでいなかったわけではなく… #三笠の昔話

戦艦だった三笠 @senkan_mikasa

ニイハウのには所有者のロビンソン家が入植するより前から住んでいた一族や、ロビンソン家の使用人が生活していました。 西開地一飛曹は不時着後、住民の一人に暗号書を奪われた、あるいは奪われそうになり、住民と争うことになったとされています。 #三笠の昔話

戦艦だった三笠 @senkan_mikasa

西開地一飛曹が暗号書を守れたのかどうかは定かではありませんが、この日彼は自決あるいは殺害され、住民は平穏を取り戻したようです。 フォード島の米海軍博物館には、この事件で回収された彼の零戦の残骸が残されています。 #三笠の昔話

戦艦だった三笠 @senkan_mikasa

一度、ニイハウ島の隣にあるカウアイ島に滞在したことがありまして、彼方に浮かぶニイハウ島を望んだ印象では 平坦で、静かな、沈黙の島 という感じの島でした。今はツアーもあるそうなので、もし行く機会に恵まれた方は、西開地一飛曹の慰霊もぜひ。 #三笠の昔話

戦艦だった三笠 @senkan_mikasa

次。 今日は、米海軍大将レイモンド・エイムズ・スプルーアンス提督の命日(1969)です。 指揮官に急きょ抜擢されたミッドウェー海戦で大勝利を挙げた名将。親友ハルゼー提督とも並び称される、｢知らないとモグリ｣な一人です。 #三笠の昔話

戦艦だった三笠 @senkan_mikasa

士官不足期に任官したこともあり出世は比較的順調だったとはいえ、太平洋戦争勃発時はしがない巡洋艦隊司令に過ぎなかったスプルーアンス提督。 しかし、かつての上官でもあったハルゼー提督がミッドウェー海戦を目前に急病に倒れたことで運命が変わりました。 #三笠の昔話

戦艦だった三笠 @senkan_mikasa

ハルゼー提督は後任にスプルーアンス提督を指名。ただし、幕僚は留任、旗艦もエンタープライズちゃんから動かさないことが条件であったと言われています。 ハルゼー提督の意図を汲み取ったスプルーアンス提督はこれを受諾。赴任後最初に幕僚に話した言葉は… #三笠の昔話

戦艦だった三笠 @senkan_mikasa

｢私に君達への不安はない。不安がらせる者がいたとしたら、ハルゼーが放ってはおかなかったはずだから｣(意訳) ハルゼー提督は戦いの直前に指揮官が代わることで将兵が動揺することを恐れ、スプルーアンス提督はその意図を読み、｢何も変えない｣と宣言したのです。 #三笠の昔話

戦艦だった三笠 @senkan_mikasa

ミッドウェー海戦の結果はご存じのとおり。 この戦功でニミッツ提督のもと参謀長に栄転。ソロモンの 戦いの大勢が決したころ再び前線に戻り、戦艦部隊を率いて日本の艦艇や離島の防衛隊を次々と粉砕。その指揮は、まるで冷徹な処刑人のよう… #三笠の昔話

戦艦だった三笠 @senkan_mikasa

もっとも、スプルーアンス提督は戦いに無差別に一般人を巻き込むことには反対の立場をとっており、指揮した硫黄島攻略戦が結果的にルメイ将軍による日本本土への無差別爆撃に繋がったことにははっきりと嫌悪感を示したと言われています。 #三笠の昔話

戦艦だった三笠 @senkan_mikasa

沖縄攻略、そしてかつて親交のあった伊藤整一提督率いる水上特攻部隊…すなわち戦艦大和ちゃんたちを坊之岬沖に粉砕した後、自らも特攻機によってあわや戦死の危機に瀕し心身ともに憔悴したことから、ニミッツ提督により白タオルを投じられて一旦後退。そのまま終戦を迎えました。 #三笠の昔話

戦艦だった三笠 @senkan_mikasa

戦後はニミッツ提督の後を継ぎ太平洋艦隊司令長官に就任するものの2ヶ月で交替。海軍大学の学長やフィリピン大使をつとめた後、隠居の地で病に倒れ逝去。 元帥にはなれませんでした(定員があるため)が、戦功に応えるべく元帥同等の待遇が与えられていたそうです。 #三笠の昔話