サンノベル

twnovelです。私のな!
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zephy @zfta2017

昔『会いに行こう』というタイトルの映画があったのだが、「あい」の漢字が「愛」に統一されてから、たびたび議論の的になっている。公園でアイスを食べながら、教授が「愛に行こう、では詩的すぎる」と嘆いていたのを思い出した。愛しているでは気持ちが伝わらなくなって久しい。 #twnovel

2016-07-17 02:27:48
zephy @zfta2017

古いものからでる煙を集めるのに都合がいいのは、なんといっても車になる。蒸気機関車の頃は、そのうちこの煙も集められなくなるとよく言われていたけれど。そういう妖怪なんだと言えば簡単そうだし、実際こっちに就職するやつも大勢いる。電気自動車も古くなれば煙を出すのかな。 #twnovel

2016-07-02 22:50:07
zephy @zfta2017

ボロボロの飛行機で雲を目指すが、ボロボロだからか高度がたりない。パイロットは本当に悲しい顔をしているし、僕も同じように悲しかった。目線を上げると、最新鋭機が静かな唸りをあげて入道雲に突っ込んでいく。静かに速く、向こうの世界へ消え去り、あとには何も残らない。 #twnovel

2016-06-22 20:28:36
zephy @zfta2017

間取りに椅子しか記されていないと抗議に来たのは、新品の机だった。机特有の金切声に脳裏を萎ませたくなったが、彼らの抗議も今となっては愛おしい。彼らの声が聴こえる私が死んでしまえば、みんな唯の家具同然なのだから。老いた私の身体を支えるベッドが、長机に睨みをきかせる。 #twnovel

2016-03-12 10:02:14
zephy @zfta2017

傘というのは大昔から姿を変えない趣のある道具ではあるが、彼らが雨を垂直にどこまでも弾くようになったのはいつからだろうか。そこに謙虚さはなく、水蒸気であるというのに宇宙の彼方まで突き進む。そのおかげで今や地球は雨の原産星という触れ込みで観光客を呼び込む始末。 #twnovel

2016-02-15 20:42:22
zephy @zfta2017

山の頂上には赤いレバーがあり、それを適切な加減で押し込むと火山から大量のコインが噴き出してくる。コインたちは一斉に転がりながら山肌に洗われて、ひとつ残らずピカピカになる。人気がない理由は、誰もうまいジョークが思いつかず、いまだに名称が決まってないからだそうで。 #twnovel

2016-01-12 10:48:34
zephy @zfta2017

今日は怪獣の後を付けるという諺を探ります。かつて怪獣がいた頃に尻尾の先からインクを出して歩く怪獣がいたそうで、その怪獣の足跡を埋めて消す業者が頑張ると、そこにはインクの線だけがございます。怪獣が人より小さくなり、ボールペンですむようになってからは廃れたのです。 #twnovel

2016-01-11 20:18:22
zephy @zfta2017

このてんとう虫は、その場で一番致死性の高いものを述べるという珍種だ。しかし、その根拠がまるでわからない。科学的なものなのか、はたまた未来予測なのか。まあ、ゾンビに奪われ珍種しまった以上あのてんとう虫について考えても仕方がないのだが。ゾンビとは言わなかったなあ。 #twnovel

2016-01-10 14:26:56
zephy @zfta2017

スーパーの次ってウルトラじゃないの?と言われたので、世界を牛耳っている身としては息子の疑問を正解にしなくてはならない。ゆくゆくはこいつが牛耳るのだし、物事は全て上手く行くことを知っておかねばならないのだ。さて、そうなるとデパートやコンビニはどうしたらいいのだ。 #twnovel

2016-01-05 13:13:45
zephy @zfta2017

気晴らしを買ってきてくれと頼まれたので、デパートへ赴く。売り場がわからないので店員を捕まえると、どうも電化製品エリアと食品エリアとの中間でないといけない決まりで、このデパートではそれが医療品売り場にあたるそうだ。風邪薬も買おうと思ったが、それは品切れと言われた。 #twnovel

2016-01-05 13:02:31
zephy @zfta2017

愛派と恋派の血で血を洗う未曾有の激突は、数字にして約30年は続いた。理屈はなく、他に戦争をする理由がなかった為に引っ張りだされたので、漢字を読み解けない欧米人はなぜ戦っているかもよくわかっていないのだ。発端はいちおう日本にあるが、中国起源説が台頭しているらしい。 #twnovel

2015-12-27 13:37:29
zephy @zfta2017

楕円形はお約束通り空を覆ってから始めた。まず選別されたのは美女で、次に男前。最後に残った男女たち。渡されたクッキーを食べたやつはいたのだろうか。クローンは迷惑掛けない外宇宙で使うと言っていたが、いったい何処だろう。日本語を覚えるのに一番苦労したとも言っていた。 #twinovel

2015-12-19 00:46:52
zephy @zfta2017

贈与の月が見える。僕はテスト飛行で初めてその月を横切った時、彼に話しかけられたことを思い出した。ミグ、君はガガーリンを殺したのかい。それは僕じゃない。僕は宇宙には届かないんだ。僕の羽から流れる粉が大気圏の境目を彩る。ここには安全がないと、青い地球に知らせるんだ。 #twnovel

2015-12-19 00:22:53
zephy @zfta2017

春の陽気に誘われ街道に飛び出すと、同じ目的を共有した男女で溢れかえっていた。全員間の抜けた顔をしていて、とてもじゃないが直視できない。そのせいか、全員明後日の方向を向いている。全て春の仕業だ。僕は春の思惑を知るため夜を待った。夜になると夜桜が綺麗だ。 #twnovel

2015-12-15 18:02:31
zephy @zfta2017

オドールとセミオドールが喧嘩をした。どちらが声優に演じてもらうのかという内容で、しかもそれは空想の話だった。在中型であり液晶に滲む力を持っていないプログラムを、どうして演じられるものか。これは些細な雑談だった。やりあいはついに、セミが誤字であるという妄言に至る。 #twnovel

2015-12-14 17:38:35
zephy @zfta2017

やんややんやと骨粉を撒く小人たち。骨粉の威力は絶大で、必要以上にうねって伸びる草は動物のようだ。そんな不気味なほど伸びる草を、大きな口を開けて待ち構えているのは大人たち。伸びる草はそのまま大人たちの口に入り、小人たちはそれを踊り食いと呼んで客から金を取っていった。#twnovel

2015-12-11 21:32:09
zephy @zfta2017

巨大な要塞に映画スタアが押し込められている。意外なことに諍いはないらしい。看守はさる映画監督で、二十年前にメガホンを右腕に溶接した。さあ、時は近い。砂漠化を救うのだ。地球最後の資源が解き放たれる。ああ、いけない。ここにきて、最後に誰が出るかで揉めている。 #twnovel

2015-12-11 18:22:33
zephy @zfta2017

あまり外見はよろしくないな。でもこうして中腰を保たないと、車のナンバープレートと目線を合わせることは出来ない。ずらりと並ぶ車の列。車平線とでも言うべきだろうか。必要もないのに数字を暗記しつつ、こいつらが一斉にバックしたら僕は何番目に死ぬのだろうと同僚と笑いあう。 #twnovel

2015-12-11 18:10:25
zephy @zfta2017

アルファベットと漢字をより分けるのだが、時々合いの子が見つかったりする。彼や彼女たちは自分の発音を模索し、身を擦りつけあったりするのだが、部首と綴りが繋がっていると、これはどうしようもない。そんな時、私はいつも、気性がおとなしい『巴』と『U』に協力を仰ぐのだ。 #twnovel

2015-11-28 08:04:07
zephy @zfta2017

分厚い皮にふたつくっ付けた親指をつっこみ、みかんを剥くようにして思いきりひらくと、きついネジをむりにしめるような息苦しい音が響き渡る。「ああ、くるしかった」ビーンズは黄土色の皿に転がり込んで、息のあがった胴体を撫でた。「そうだ、このまま地球に返してくれないか」 #twnovel

2015-11-26 01:42:59
zephy @zfta2017

蜂羽さんはかき氷に醤油をかける。それはキャラ演出ですかと僕は問う。「野暮なことを聞くわね、束くん。松田くんは空気読んでたいたわよ。」彼は僕の前任だ。いったい僕は何番目なのだろう。「束くんは貴方が初めてよ。佐藤は12人居たわ。」蜂羽さんは、僕が佐藤束と知っている。 #twnovel

2015-11-19 20:01:02
zephy @zfta2017

バケツいっぱいの水を、砂漠に向かって構える。約束の拘束力と絆の鎖がギチギチと反発しあう。「いいじゃないか」とバケツは言う。「地面に沈んで終わるのも悪くない」砂漠の熱は科学的な理屈で水を蒸発させるだろう。君は砂漠にたどり着けない。「では空になるよ」「暑い暑い空に」#twnovel

2015-11-18 19:16:30
zephy @zfta2017

両の手で拳を作って、親指側を打ち付ける。同時に漏れる帯状の青いエリマキを、控えていたボブが採取した。ボブは「君の成分じゃないとはいえ」と漏らした。「なんか気持ちのいいものじゃないね」ボブはいつまでたっても痩せないのだ。ボブはエリマキをピンセットで丁寧に巻いた。 #twnovel

2015-11-17 19:57:49
zephy @zfta2017

十得ナイフを開いていくと、ボタンが出てきた。ここからは読み解いてかねばならない。このボタンは十一個めの機能であるから得を漏れている可能性があるし、ナイフですらない。恐ろしいのは、ナイフを仕舞うと、自動的に押される仕組みで、わたしは今初めてナイフを出したのだ。 #twnovel

2015-11-13 21:12:07
zephy @zfta2017

心臓の疾病であることはわかっているのだが、医者は5ページ前の伏線を読み解くしかないと頭を抱えた。この医者は理系であるから、私の心臓に手を施す手段がないということだ。脈打つ心臓までに幾らかの私を開く必要がある。メスによって可能なのだ。わたしである限り。 #twnovel

2015-11-13 21:07:45