「自立」とは何か~楽しく依存し依存されること~
- ShinShinohara
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湯浅誠さんによるこの記事、「自立」について深く考えさせられた。自立とは、依存先をたくさん持つことだ、という逆説的な理解。しかしこれはまさしくその通りに思える。 yuasamakoto.org/2015/12/nhk%e8…
2015-12-14 21:12:09同じことを俵万智さんが語っている。都会に住んでいるときは我が子を「人様に迷惑をかけない自立した子に」と育てていた。石垣島に移住後、みんなが世話してくれる。最初は遠慮したが、やがて考えを替えた。「迷惑をかけても許される子に」 www9.nhk.or.jp/nw9/marugoto/2…
2015-12-14 21:14:33自立というのは、迷惑をかけてもかけられても許されること、なのかもしれない。依存し、依存される。そうして依存先がたくさんあると、誰かに(何かに)極端に依存しなくて済むようになる。それが一見、自立したように見えるのだ。
2015-12-14 21:15:55湯浅誠さんと俵万智さんの言葉、くしくも同じことを指しているように思う。しかし世間一般では、自立という言葉はしばしば「孤立」「独り」に聞こえる。誰にも頼らず、無言でコンビニで買い物をして自宅で独り、黙々と食べているような。しかしこれもコンビニに依存している。金に依存している。
2015-12-14 21:17:58今の時代は、お金さえあれば人間関係という依存手段を放棄して生きていける。だから誰にも「依存」せず、「自立」しているように見える。しかしそうした人がいざ、人の面倒になる場合は、依存手段を分散させていないだけに、お金で解決しようとするとさあ大変。
2015-12-14 21:19:22福祉関係の仕事をしている人の話によると「年寄りでも「可愛げ」ってほしいよね」。可愛げのあるおじいちゃんおばあちゃんだと、介護をしていても楽しくて苦にならないそうだ。しかし可愛げがないと、仕事とはいえ憎たらしいし、仕事も重荷に感じるそうだ。
2015-12-14 21:21:21「可愛げ」とは何だろう?茶目っ気があって、周りをクスリとさせたり。いつもニコニコ嬉しそうに、何かしてあげると「ありがとう」。「あんた、いつも可愛いねえ」とほめてくれたり。そうした可愛げのあるおじいちゃんおばあちゃんは、介護者にとってもうれしいらしい。仕事だから差別しないけど。
2015-12-14 21:23:44「この人になら迷惑をかけられてもいいや」そう介護スタッフが思えるような笑顔、言葉、しぐさ、雰囲気。それがあるだけで全然違うらしい。老人は介護スタッフに依存しっぱなしのように見えるが、実は介護スタッフは老人の「可愛げ」でやりがいをもらっているのだ。相互依存なのだ。
2015-12-14 21:25:55しかし介護スタッフへの労りの言葉もなく「金を払っているんだ!俺の気に入るように介護をしろ!」と言われたら。仕事だからハイハイと対応するが、見下すような言葉や視線にはスタッフも嫌になる。こうした老人は「お金」に依存することでかろうじて均衡を保つことができる。
2015-12-14 21:28:22「私は不器用で、いつも仏頂面。将来介護を受ける立場になった時、可愛げなんて出せるだろうか」と思う人もいるかもしれない。 別に仏頂面で構わない。仏頂面のまま「ありがと」とボソッと言ってみるとよい。介護スタッフは「プライドが高いけど、可愛いところがあるなあ」とそれだけで満足する。
2015-12-14 21:30:42自立とは、依存し、依存される形を「楽しく」実現すること。楽しく依存し、楽しく依存される。そうすると、依存先がたくさん増え、特定の何かに強く依存せずに済むために、「自立」したように見えてくるものなのではないか。
2015-12-14 21:32:23楽しく依存し、楽しく依存される。そんな関係を作れれば、負担は負担でなくなり、「楽しい負担」になる。やればやるほど楽しい負担になる。そんな「自立」がたくさん成立した国に、日本がなるとよい。そう思える。
2015-12-14 21:33:45