米中共同声明における「核心的利益」の言及の消滅と南シナ海について

2011.1.19.の米中共同声明では2009.11.の共同声明にはあった「核心的利益」への言及が消えた。これは米国の求めによるものだが、中国にも都合よく解釈できるように玉虫色の表現となっている。今後の中国は「核心的利益」への言及を減らすと思われるが、その意図する所は変わるまい。その観点から、今後の米中関係で焦点となるのは南シナ海である。
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fj197099 @fj197099

2011.1.19.の米中共同声明(http://bit.ly/gc4ssU)の中に2009年11月のオバマ大統領の訪中時の共同声明には盛り込まれた「核心的利益(core interests)」の表現がないことが話題になっている(http://bit.ly/foSRmV)。

2011-01-21 06:29:58
fj197099 @fj197099

「核心的利益」はご存知のように昨年3月、戴秉国国務委員が訪中したスタインバーグ国務副長官らに対して南シナ海について語ったと言われる言葉で、昨年一年間の中国の近隣の海洋に対する拡張姿勢を象徴する言葉となった。米側は2009年の共同声明で中国側に言質を与えた事を大層悔やんだのである。

2011-01-21 06:32:50
fj197099 @fj197099

そういう事情で今回は共同声明にこの言葉は盛り込まれなかった訳であるが、この言葉の扱いを巡っては米中間でひと悶着あったらしいとの推測は可能である。結局、最終的な表現は玉虫色の表現となっている。その辺の事情はJB Press記事を参照(http://bit.ly/i6tfj3)。

2011-01-21 06:37:48
fj197099 @fj197099

この記事は「中国側の勝利」を些か強調し過ぎているように思うが、結局米国は「核心的利益」に対する言及を共同声明から除去することに成功し、中国は2009年11月の共同声明への両国のコミットメントを再確認できたと勝利を宣言することが出来る訳である。この辺の曖昧さが外交というものである。

2011-01-21 06:39:32
fj197099 @fj197099

さて共同声明に「核心的利益」の語が盛り込まれるかどうかというのは象徴的な話であって、実際には中国はこの言葉を今後は余り振りかざさなくなると予測できる。中国も昨年この言葉を過剰に強調して対中包囲網の機運を作ってしまったことに無感覚ではない。実際、公に宣言されることは昨年もなかった。

2011-01-21 06:43:12
fj197099 @fj197099

中国による「核心的利益」への言及が減ることは、良い面と悪い面の二面がある。良い面としては、中国がその言葉のネガティブさを自覚し出したということである。これがナチスの「生存圏」や過去の日本の「満蒙は日本の『生命線』」等と同種の言葉であって、基本的には帝国主義の用語であるからだ。

2011-01-21 06:44:47
fj197099 @fj197099

他方、悪い面では明示的に言及せずとも中国は決してその考え自体を捨てることはないだろうということである。いわば直接言及しないことで中国の権力行使のスタイルは洗練されるのである。包囲網形成の機運を作らせずに目的を達成する…今後は近隣諸国は外交的巧みさを増した中国に直面することになる。

2011-01-21 06:47:28
fj197099 @fj197099

このことは中国の所謂「三戦」(輿論戦、心理戦、法律戦)の概念にも係るが、他者の警戒心を掻き立てずに中国が目的達成できるようになれば、近隣諸国にとっての中国は更に恐るべきものとなる。特に今後の日米にとって、南シナ海でのASEAN諸国の結束を維持できるかどうかは焦点となるであろう。

2011-01-21 06:50:05
fj197099 @fj197099

南シナ海の重要性は、黄海や東シナ海の問題と比較して、日本ではまだまだ過小評価されている。日米及び中国のシーレーンはインド洋を経由して南シナ海を通って東アジアに達する。南シナ海で中国が覇権を握れば、少なくとも日本の海上交通の受ける影響は計り知れない。これは米国にとっても同じだ。

2011-01-21 06:52:32
fj197099 @fj197099

他方、南シナ海で中国の覇権を日米が阻止できれば、中国は満足に海洋進出を行うことはできなくなる。特に海南島の戦略原潜の基地を封じ込めてしまえば、中国は米国を核恫喝することが不可能になる。インド洋への中国海軍の進出を牽制できれば、逆に中国のシーレーンを脅かすことも可能である。

2011-01-21 06:55:17
fj197099 @fj197099

今後の米中間では南シナ海こそ焦点になるのだ。日本は当然とはいえ東シナ海や尖閣の問題ばかりを気にするが国際政治の巨大な戦略面から言えば東シナ海の重要性は南シナ海のそれに比べて低い。だから中国も前者に対しては言わなかったのに後者に対しては非公式とは言え「核心的利益」と言ったのである。

2011-01-21 06:58:11
fj197099 @fj197099

日本で南シナ海の戦略的重要性に対する認識が更に高まることを望む。米中の直接対決が起こり得るとすればその場所はおそらく南シナ海だ。中国の拡張主義を阻止する為には地域の連携が何より大事である。その観点から日米が協力してASEAN諸国への梃入れを行う必要がある。外交努力が求められる。

2011-01-21 07:02:12