「石田三成の青春」第８話　「思惑　石田三成襲撃事件」 (7ページ目)

虎之助、市松、彦右衛門、決着をつける時ぞ。そなたたちも、首を洗って待っておれ。　加藤清正、福島正則、蜂須賀家政に、胸の内で呼びかけた。　ふと近くを見ると、初夏の空に、四匹のトンボが競うように飛んでいた。 #思惑

2015-12-16 20:13:51

「石田三成の青春｣　第８話「思惑　石田三成襲撃事件」第８回これにて終了です。今宵もお付き合いくださり、どうも有難うございました。明日（最終回）も、どうぞお楽しみに！ #思惑

2015-12-16 20:15:41

お待たせいたしました。「石田三成の青春」第８話「思惑　石田三成襲撃事件」第９回（最終回）ぼちぼち始めさせていただきます。 #思惑 pic.twitter.com/lW03S2argg

2015-12-17 20:01:27

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（七／跋）　これより一年半の後、関ヶ原の戦いで徳川家康率いる東軍が勝利。天下は徳川へ大きく傾く。そしてさらに十五年、大坂の陣で豊臣家が滅び、世は完全に、徳川の天下になった。 #思惑

2015-12-17 20:02:34

三成は、太閤殿下の御恩に報いるため、豊臣家の御為、秀頼君の御為という信念をつらぬいて、敗将として死んだ。 #思惑

2015-12-17 20:03:26

では、秀吉子飼いの臣から大名になり、そして関ヶ原では東軍に属し、三成と敵対した者たちはどうなったのか。 #思惑

2015-12-17 20:03:55

福島正則は、関ヶ原で、一番手柄。戦後、安芸広島と備後鞆、合わせて四十九万八千二百石を得る。その後、加藤清正とともに、家康と秀頼の対面の実現に尽力した。が、大坂の陣では、嫡男・忠勝が幕府方に参加したが、自らは出陣せず大坂蔵屋敷にあった米八万石を大坂方に接収されるのを黙認した #思惑

2015-12-17 20:05:00

加藤清正は、関ヶ原時、国許・熊本に在り、黒田官兵衛とともに、九州の西軍勢力を次々に破る活躍で、戦後肥後一国五十二万石を得る。福島正則とともに、家康と秀頼の対面の実現に尽力し、病の身でそれを見届けて帰国の途中、力尽きたように没する。 #思惑

2015-12-17 20:06:01

蜂須賀家政は、騒動後領地は元に戻される。関ヶ原に際して、全領地を豊臣家に返上、自らは出家して高野山に入るが、蜂須賀家としては、嫡男・至鎮が兵を率いて東軍に参加、戦後、家政が返上した領地を、至鎮が得た。 #思惑

2015-12-17 20:06:39

三人とも、秀吉の恩を思い、豊臣に義理を感じ、秀頼のためを思いながらも、家康に与した。彼らには、家族があり、家臣があり、その家臣たちにも家族があった。そして安寧を願う多くの領民がいる。それが彼らの足枷になり、手枷になった。 #思惑

2015-12-17 20:07:23

きっと彼らは、一瞬にしてそれらをかなぐり捨てられた三成が、羨ましかっただろう。「すまぬ」の一言で、それが許される、家族との、家臣との、その家臣の家族との、さらに領民との、信頼関係が、この上なく羨ましかったに違いない。 #思惑

2015-12-17 20:07:59

結局彼らは、戦場で刃を交えた三成に自分の思いを託した。そしてまた、三成は三成で、自分の亡き後の秀頼と豊臣家を彼らに託したのだ。 #思惑

2015-12-17 20:08:33

託し託された豊臣の家は滅んだ。そして福島家が関ヶ原から二十年、次いで加藤家が関ヶ原から三十年で改易。しかし、阿波蜂須賀家は明治維新まで続き、維新後侯爵となる。だが、二百六十余年徳川の大名として生きてもなお、蜂須賀と聞けば、世の人々は、豊臣の名を想う。 #思惑

2015-12-17 20:09:10

湖国に、また夏が来る。あの日三成が眺めた佐和山が、緑に覆われ、初夏の日差しに映えていた。　　　　　　　　　　　　　　　（了） #思惑

2015-12-17 20:09:54

「石田三成の青春｣　第８話「思惑　石田三成襲撃事件」これにて終了です。今回もお付き合いくださり、どうも有難うございました。 #思惑

2015-12-17 20:11:38