「この一行目がスゴい」がスゴい(2011/1/18~21分)
「ヌーンシティへ行こうと思う旅行者は、今のところ何とか自分で方法を講ずるよりほかに手がない。」カポーティ/遠い声 遠い部屋 #konoiti
2011-01-20 08:17:06年中借金取が出はいりした。季節はむろんまるで毎日のことで、醤油屋、油屋、八百屋、鰯屋、乾物屋、炭屋、米屋、家主その他、いずれも厳しい催促だった。(織田作之助『夫婦善哉』) #konoiti
2011-01-20 08:56:45〈夜明けまえの暗闇に眼ざめながら、熱い「期待」の感覚をもとめて、辛い夢の気分の残っている意識を手さぐりする。〉(大江健三郎『万延元年のフットボール』) #konoiti
2011-01-20 09:06:15楢雄は生れつき頭が悪く、近眼で、何をさせても鈍臭い子供だつたが、ただ一つ蠅を獲るのが巧くて、心の寂しい時は蠅を獲つた。(織田作之助「六白金星」) #konoiti
2011-01-20 18:27:20「岡本は谷村夫妻の絵の先生であった。元々素行のおさまらぬ人ではあったが、年と共に放埓はつのる一方で、五十をすぎて狂態であった。」 安吾/女体 #konoiti さすが安吾、前戯なしですw
2011-01-20 18:50:31朝から話をはじめよう。すべてよき物語は、朝の薄明かりの中から出現するものだから。(池澤夏樹/マシアス・ギリの失脚)#konoiti 検索したら大体あってた。存外覚えてるもんだ
2011-01-20 20:30:30この一行目がすごい、と言えば、思いつくのは「減るもんじゃねーだろとか言われたのでとりあえずやってみたらちゃんと減った。私の自尊心。」か、「愛は祈りだ。僕は祈る。」かなあ。 #konoiti
2011-01-20 20:35:27「いつの世も、新しいものは船の漕ぎだす海原に似ているように思います。」(蒲公英草紙 -常野物語 / 恩田陸) 最近読んだ本ではこれが一番お気に入りです。『この一行目がスゴい!』#konoiti
2011-01-21 00:55:54「誰もがむやみに人を殴りたくなるような貞享三年四月。腐ったような里山に新緑のぼけが芽吹いていやがった。」(町田康『権現の踊り子』所収「逆水戸」) #konoiti
2011-01-21 01:32:46独身の男性で財産にもめぐまれているというのであれば、どうしても妻がなければならぬ、というのは、世のすべてがみとめる真理である。 (「高慢と偏見」/ジェイン・オースティン) #konoiti
2011-01-21 01:56:51たちの悪いいたずらはなさらないで下さいませよ、眠っている女の子の口に指を入れようとなさったりすることもいけませんよ、と宿の女は江口老人に念を押した。「眠れる美女」 #konoiti 「片腕」にはおよばないとしても。
2011-01-21 07:02:04とどきますか、とどきません。光りかがやく手に入らないものばかり見つめているせいで、すでに手に入れたものたちは足元に転がるたくさんの屍になってライトさえ当たらず、私に踏まれてかかとの形にへこんでいるのです。(『勝手にふるえてろ』) #konoiti
2011-01-21 07:14:34