「アベレント・ボーイズ、オーディナリー・デイ(Radio edit)」前編

ニンジャスレイヤー二次創作小説
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ひたちえぼ @EVO_Hitachi

**今からニンジャスレイヤー(@NJSLYR)の二次創作を貴方のタイムラインに絨毯爆撃します。ミュートやブロック、リスト送りなどで各自ご対応下さい。お付き合い頂ける方は実況や感想に #owl_nj をつけると60%以上の効果が見込めるとの噂です**

2015-12-27 20:03:09
ひたちえぼ @EVO_Hitachi

**今回投下するのは今年のニンジャ万博改善さんで頒布したものをtwitter向けに短くしたRadio edit版となっております。**

2015-12-27 20:05:15
ひたちえぼ @EVO_Hitachi

**また、わたしはたまたまここでニンジャの二次創作をツイートしており、この二次創作は原作、翻訳チームとは一切関係がありませんが、今年連載されたあの名エピソードを年末の投票行為に向けて応援する気持ちだけはあります。**

2015-12-27 20:07:16
ひたちえぼ @EVO_Hitachi

ニンジャスレイヤー二次創作『アベレント・ボーイズ、オーディナリー・デイ(Radio edit)』 前編

2015-12-27 20:09:36
ひたちえぼ @EVO_Hitachi

掃除道具を片付けに行く途中、通り道になっている廊下がふさがっていた。ケマリ部のジョックス共が、誰かをケマリにしているらしい。バカバカしいことしてやがる。ユダカは迷惑そうに眺めていたが、ケマリにされている生徒を見るや、顔つきが変わった。 1

2015-12-27 20:12:35
ひたちえぼ @EVO_Hitachi

ケマリ役は友達だった。そいつは両腕で頭をかばい、背中を丸めて蹴りを受けている。そのぎらついた目に向かって、ユダカは小さく頷いた。待ってろ、今行く。ユダカはケマリ部の描く半円へ近づくと、出し抜けにモップの金具部分を、リーダー格のスユキに振り下ろした。 2

2015-12-27 20:18:31
ひたちえぼ @EVO_Hitachi

まるで肩を叩いてアイサツするような気軽さだった。「グワーッ!」スユキが頭を抑え、悶絶する。傷口から血が噴き出して床を汚した。あまりにも唐突な暴力。残りのケマリ部が全員ユダカを見た。「ユダカてめえ! なにしやがる!」「何言ってるんだよ? こいつ、転んだだろ?」「「エッ?」」 3

2015-12-27 20:22:07
ひたちえぼ @EVO_Hitachi

「お前、転んだよな? なあ? 大丈夫か?」ユダカが明るい調子でモップを振り上げる。スユキは頭を抑え、悲鳴を上げた。「こ、転んだ!」「お前がやったんじゃねえか! ふざグワーッ!」掴みかかろうとするケマリ部の喉あたりにモップの柄を無造作に差し出す。柄にぶつかって悶絶した。 4

2015-12-27 20:26:40
ひたちえぼ @EVO_Hitachi

「お前らも見てたよな?」ユダカが聞く。ケマリ部の誰もがユダカを見ておらず、赤いものがこびりついたモップの金具に釘付けだった。「こいつら転んだよな」「「こ、転んだ!」」「だよな」ユダカはモップを片手に、友達の腕を掴んで引っ張り上げた。 5

2015-12-27 20:30:07
ひたちえぼ @EVO_Hitachi

顔を腫らしたそいつは、怒りの燻る顔でスユキを睨んだ。「何があった」「……」「だんまりかよ。まぁいいや、行くぞカシイ」ユダカは友達――カシイの背中をどやす。「お前ら覚えてろ!」スユキの怒声が廊下に響く。ユダカはスユキを見もせず、カシイは、スユキに中指を立ててユダカの後を追った。 6

2015-12-27 20:35:23
ひたちえぼ @EVO_Hitachi

太いベースと緊張感を漂わせるシンセループ。賑やかなフロアで思い思いに踊ったり揺れたりする人。ここはユダカが最近通っているクラブだ。カシイはオノボリめいてきょろきょろしている。ユダカがここにカシイを連れてきたのは初めてだった。 8

2015-12-27 20:39:55
ひたちえぼ @EVO_Hitachi

カウンターでショットグラスをふたつ受け取ると、ユダカは片方カシイに渡した。「まあ、やれよ」ユダカは一息で飲み干し、カウンターに叩き付ける。体が熱くなり、音楽を全身で浴びる準備が整う。「いいね。上がってきた」 9

2015-12-27 20:42:11
ひたちえぼ @EVO_Hitachi

隣で、ユダカの真似をして飲み干したカシイが咳き込んでいる。「ダイジョブか?」「なんか、ぐらぐらする」ユダカは陽気に笑った。「俺も最初そうだった」カシイにケモ・ビールの瓶を渡す。カシイは、ビールを飲む友達の横顔を見る。 10

2015-12-27 20:46:25
ひたちえぼ @EVO_Hitachi

こんなユダカは初めてだ。二人で色んなバカ騒ぎをしたが、こんな静かで満ち足りた顔はしなかった。「ユダカ、普段こういう所来てたのか」ユダカは頷く。「好きなんだ。こういう所」薄ぐらい箱に万華鏡めいた光と音楽が溢れ、頭から爪先まで浸かるとき、世界がマシなものに見えた。 11

2015-12-27 20:49:39
ひたちえぼ @EVO_Hitachi

「お前が気に入ってくれるか、わかんないけど」「気に入ったよ、俺。スゴイいいところだよ」アルコールと音楽の高揚感で、カシイは即答した。実際のところ、カシイは音楽に詳しくない。ユダカが、気に入りの場所へ自分を招いてくれたことが嬉しかった。 12

2015-12-27 20:52:19
ひたちえぼ @EVO_Hitachi

「やっぱり、ユダカはクールな奴だよ。すげえよ」「よせやい」照れくさそうにユダカは笑う。それから誤魔化すようにビールを飲み、思い思いフロアで揺れたり、カウンターテーブルでどの女がどうマブなのかを真剣に話し合った。 13

2015-12-27 20:55:30
ひたちえぼ @EVO_Hitachi

「ところで、今日何してたんだよ。ケマリ部と」話の切れ間にユダカが尋ねる。本当はこれが聞きたかったのだ。「あいつらが気にいらねえ事言ったから、ケンカ売った!」「連中、なんて?」「何人も病院送りにしてるサイコ野郎が、クール気取っててむかつくって」ユダカは瓶をあおって笑った。 14

2015-12-27 20:59:25
ひたちえぼ @EVO_Hitachi

「あいつら、くっだらねえな。でも、アリガトな」実際、ユダカの容赦なさはユダカに返り討ちに遭った連中の間では語りぐさだ。やられたからやり返した、シンプルな話だ。けれど、それを目の当たりにした友人達は引き潮めいてユダカから遠ざかった。 15

2015-12-27 21:04:22
ひたちえぼ @EVO_Hitachi

今ではユダカにこうして付き合ってくれるのはカシイだけだった。どう仲良くなったかも覚えていないが、自分の代わりに腹を立て、一緒に笑ってくれる奴だ。「カシイ。もう一本いくか?」「いいね」ユダカが、ビールをもらいに行こうとフロアの入り口へ視線を移す。なにやら騒がしい。 16

2015-12-27 21:10:27
ひたちえぼ @EVO_Hitachi

ユダカはフロアから出るのをやめた。「どうした? ユダカ」「なんかヤバそうだ」ややあって、フロアで揺れていた人波が割れた。そこからモーセめいて現れたのは、脱色した髪を威圧的チョンマゲヘアーにした男。カシイが二人分ぐらい収まりそうな太い胴回り。 17

2015-12-27 21:16:10
ひたちえぼ @EVO_Hitachi

そいつは『ノー容赦』『御殿場』などの威圧的な刺繍が施されたトップクを羽織った取り巻きを引き連れ、一直線にユダカ達へ向かってくる。トップクとは、無軌道ヤンク達のイクサ装束であり、刺繍を施した派手な色のロングコートである。即ち彼らはヤンクなのだ。 18

2015-12-27 21:22:03
ひたちえぼ @EVO_Hitachi

面倒なことになりそうだ、と、ユダカは思った。チョンマゲヘアーがふたりを見下ろす。「ユダカ=サン。弟のスユキが世話になったじゃねえか」なるほど、スユキの兄貴か、と、ユダカは思った。確か、スモトリ部崩れの兄貴がいたと聞いている。その兄貴にチクったのだ。 19

2015-12-27 21:27:56
ひたちえぼ @EVO_Hitachi

「覚えがないんだけどな」「ザッケンナコラー!」とぼけるユダカが肩を張られてよろめく。ユダカはさり気なくケモビールの瓶を持ち替えた。「何だよ。良い気分台無しにしやがって」そう言いながら、ビール瓶を振りかぶる! しかし、それはスユキの兄が組み付いてきたことで阻まれた。 20

2015-12-27 21:33:22
ひたちえぼ @EVO_Hitachi

「ドッソイ!」スユキの兄は、強引な抱え投げでユダカをフロアのカウンターテーブルへ叩き付けた。「グワーッ!」「アイエエエ!」フロアを、音楽ではなく暴力と悲鳴が満たしていく。「ユダカ!」投げ飛ばされたユダカに気を取られたカシイを、強烈な張り手が襲った。 21

2015-12-27 21:38:02