うがやさん@hirougayaの語る、『堀江貴文』にみる『日本社会』の特質

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烏賀陽 弘道 @hirougaya

メモ代わりに1。「他人が自分のことをどう思うかまったく関心がないし、そんなものに心を砕く価値はない」と正直にツイートしたら、伊藤さんという(たぶん男性)の大学生さんから「烏賀陽さんが極端な人間であることがわかりました」とお返事をもらい「なるほど、ぼくは極端と思われるのか」と学習。

2011-01-22 05:11:05
烏賀陽 弘道 @hirougaya

2。いいきっかけだからと自分を振り返ってみると、ぼくが伊藤さんと同じ大学生、新聞記者に就職する前は確かに「人に好かれるか」とか「他人を怒らせないか」とか「人にどう評価されるか」を考えて振り回されていた記憶がある。

2011-01-22 05:12:38
烏賀陽 弘道 @hirougaya

3 だが、新聞記者〜週刊誌記者で記事を書いてはそのリアクション、フィードバックを受け取るうちに、だんだん疲れてきたのを思い出した。

2011-01-22 05:13:38
烏賀陽 弘道 @hirougaya

4 勤務先の朝日新聞社はとにかく「読者から文句、苦情の来ない記事の選び方、記事の書き方」というのが貫徹していて、「文句言われないようにかわす書き方」を無理矢理に仕込まれる。

2011-01-22 05:15:32
烏賀陽 弘道 @hirougaya

5 「京都の金閣寺は家族連れやアベック(死語)などでにぎわいました」の「など」は「家族連れ」や「アベック」でない人からの苦情回避の「逃げ道表現」だ。これは些細な例だが、そういうのは曖昧だからやめようと書いても全部書き直されるので、うんざしたい。

2011-01-22 05:16:15
烏賀陽 弘道 @hirougaya

6 その新聞社の大きな建前は「読者第一」「読者は神様」「読者とともに歩む」というでした。

2011-01-22 05:17:23
烏賀陽 弘道 @hirougaya

7 だが、実際に読者とメール、手紙、ファクス、電話などでやりとりし、話を聞く、という経験を10数年やって、気付いたのは「読み手は自分が読みたいようにしか理解しない」ということだった。

2011-01-22 05:18:29
烏賀陽 弘道 @hirougaya

8 好意的にしろ否定的にしろ、読者は「自分が読みたいように記事を理解する」のであって、それは自分の認識とは必ずずれる。それは字数とか紙数とかページ数とか、そういうものでもう不可避に発生するとしかいいようがない。メディア情報という間接体験の限界なのだ。

2011-01-22 05:19:52
烏賀陽 弘道 @hirougaya

9 そういう読者体験とは別に、30才代後半になって「人の期待にこたえるように生きてきた自分」にうんざりした、というか、ほとほとイヤになったということもある。疲れてしまったのだ。

2011-01-22 05:21:24
烏賀陽 弘道 @hirougaya

10 例えば会社や職場の期待にこたえようとがんばって努力しても、上司、先輩、同僚、後輩など 誰もそんなことありがたいとも思わないしね。それでだんだん「会社がぼくに期待していることと、自分がやりたいことはズレていて、それは妥協できそうにない」ということに気付いた。

2011-01-22 05:23:37
烏賀陽 弘道 @hirougaya

11 1990年代に合計3年間、ニューヨークで大学院と駐在記者をやって、アメリカ人やそのほか世界の人々とまじわって、「他人の期待」「他人の評価」に合わせようとする傾向は日本文化は強い、そうではない文化もたくさんある、というのを具体的な人間の生き方として見てしまったことも大きい。

2011-01-22 05:26:31
烏賀陽 弘道 @hirougaya

思考があっち行ったりこっち行ったりしている笑。ひとつだけ言えるのは、「他人の期待や評価」に関心を持たなくなってからのほうが生きているのはずっと楽だということ。笑 だからこっちのほうがいい。あのままだったら発狂していたな。きっと。笑

2011-01-22 05:32:55
烏賀陽 弘道 @hirougaya

まあ、純真な青年が、ひねくれたおっちゃんになったということやね。わはは。おしまい。

2011-01-22 05:33:03
烏賀陽 弘道 @hirougaya

もうひとつ付け加えておくと「自分は他者が自分をどう評価する関心がないのが自然である」のに「他者の気持ち、評価を第一に据える建前の企業」に雇用されたので、どこかで馬鹿馬鹿しくなった。つまり自分に正直になることにした。

2011-01-22 06:16:20
烏賀陽 弘道 @hirougaya

正直であることが結局いちばんいい。自分にウソをつかないのがいちばん大事だ。他者にウソをつかないことも。その方が心身の健康にもいい。

2011-01-22 06:17:50
烏賀陽 弘道 @hirougaya

ツイッターがおもしろいのは、書いているうちに思考が膨らんだり、予想しない方向に行って、予想外の場所に連れて行ってもらえること。自分の思考の過程を飛び石のように書いていけるというのがいいなあ。

2011-01-22 06:19:41
烏賀陽 弘道 @hirougaya

自分は「そんなメイクやお洋服なんかちっとも大事とは思えない」「けど」「つまらない人間だと思われたくない」という「自分へのうそのつき方」はあると思う。

2011-01-22 06:21:10
烏賀陽 弘道 @hirougaya

「自分は早く帰ってくつろぎたい」「妻や子どもと時間を過ごしたい」「けど」「飲みの誘いを断って」「つまらない」「野暮な奴だと思われたくない」と自分にウソをつく人も多々あると思う。

2011-01-22 06:24:24
烏賀陽 弘道 @hirougaya

自分にウソをつき続けると、長い間に「自分は本当はどんな人間だったのか」を忘れてしまうのではないか。自分がウソをついていることすらわからなくなる。

2011-01-22 06:26:39
烏賀陽 弘道 @hirougaya

道端のカフェで座って自分の思考をメモしていると、いつの間にか数人がノートを覗き込んでいる。「お、何書いているの」「おもしろいね」「馬鹿なこと考えてるね」と岡目八目が入る。

2011-01-22 06:31:50
烏賀陽 弘道 @hirougaya

まあ数人のうちは顔をあげて「はい、まあ」「ええ、どうも」とか相手をしているのも愛嬌。そのうちに人数が増えて、わあわあ声がでかい。だんだん数百人とかに取り囲まれると、うわあ。これは「ありがたい」ことだがだんだんえらいことに。笑

2011-01-22 06:33:31
烏賀陽 弘道 @hirougaya

「私は環境問題なんかちっとも大事に思えない。それより酒飲んで麻雀やりたい」人は自分にウソつかないで酒飲んで麻雀するのがいい。「本当は風呂が嫌いだ」(臭いと都会の人ごみでは若干困る)「本当は子どもがきらいだ」以下同文。

2011-01-22 06:37:26
烏賀陽 弘道 @hirougaya

「結婚なんかしたくない。一生1人がいい」という人にとっては「親を喜ばせたい」「結婚して初めて世間で一人前と認められるから」「結婚できないと自分がモテないと思われる」などはみんな自分につくウソだ。一生独身でいて何が悪いのだろう。

2011-01-22 06:39:50
烏賀陽 弘道 @hirougaya

同じ理由で、日本人が「不労所得」を蛇蝎のごとく嫌うのではないか。つまり投資、発明特許(これは苦労のニュアンスがあるのでまだ許容される)、不動産所得などを「生産」とみなしていないような節さえある。

2011-01-22 06:46:42
烏賀陽 弘道 @hirougaya

ぼくはホリエモンを日本社会が嫌う(というか社会的に忌避する、消去しようとする)大きな心理的要因は、彼が投資によって「一生遊んで暮らせる巨額」を得たからではないのかと思う。つまり「不労所得者」であり、マジョリティが定義する「苦労」の概念に合致しないのだ。

2011-01-22 06:48:49