高橋洋一氏の分析について
- ShinShinohara
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高橋氏の分析 gendai.ismedia.jp/articles/-/471… で一つ、意図的か無意識か分かりませんが、検討していないことがあります。「日銀引き受け」の問題です。
2015-12-29 01:19:43日本は戦時中、戦時国債を発行し、その多くを日銀に引き取らせることで巨大な財政赤字を穴埋めしました。これが戦後のハイパーインフレに繋がったとの反省から、戦後は財政規律を大事にすると共に、日銀引き受けはご法度、とされてきた経緯があります。
2015-12-29 01:20:22高橋氏の分析には、その点が何故か欠落しています。「日銀引き受けの何が悪い?」という論旨になっています。
2015-12-29 01:20:49確かに日銀に国債を全部買い取らせたら「政府の発行した借金を政府系銀行が買い取る」ことになり、ネット上では借金がちっとも増えていないように見えます。こうすれば政府はどんなに放漫財政を繰り返しても同じ政府系の日銀が買い取ってくれるんですから、借金にならない。いいことづくめにみえます。
2015-12-29 01:22:32だから戦時中の日本も喜んで採用した手法なのでしょう。ですが、戦後、二つの副作用が進行することが経験的に判明しました。
2015-12-29 01:23:05一つ目。これは分かりやすいですが、放漫財政になること。いくら借金しても日銀が穴埋めしてくれるので、政府は大盤振る舞いになります。税収と歳出の帳尻が全く合わなくなっていきます。これが2つめの副作用を増幅させることにつながります。
2015-12-29 01:23:442つめの副作用とは、「お金と労働との関係が断ち切られる」ことです。国債を100万円発行するということは本来、100万円の税収で将来お返しします、という約束。
2015-12-29 01:24:29100万円の税収とは、つまり国民の100万円分の労働。すなわち、「100万円分の国債を買ってくれれば、将来100万円分の国民の労働でお返しします」という約束。国民の労働の裏付けがあるから、国債は100万円分の価値がある、と信じてもらえます。
2015-12-29 01:24:52しかし高橋氏が指摘するように、まもなく日銀は発行されるすべての国債を購入するようになるでしょう。すると「100万円分の国債は100万円分の札束と同じ価値があります」ということは意味できても、国民の労働との繋がりが絶たれます。
2015-12-29 01:25:41税収から国債を返す必要がなくなってしまうんですから。国債は札束との関係は維持できても、国民の労働による裏付けを失ってしまい、最終的に、お金が価値の裏付けを失ってしまうのです。
2015-12-29 01:26:11「お金」が裏付けを失うとどうなるか。ハイパーインフレです。すでに日本の財政を見ると、税収の倍近い支出をしています。
2015-12-29 01:27:11国民はしばらくは、1万円札は1万円の労働との等価だと考えてくれるでしょう。しかし税収の倍の歳出をしているということは、すでに政府レベルでは、1万円札の価値が半減していることを示しています。
2015-12-29 01:27:18高橋氏は日銀をひっくるめてネットで計算していますが、ネットで計算してよいかどうかの思慮を欠いています。意図的だとすれば悪辣だし、意図していないのだとすれば粗忽すぎます。
2015-12-29 01:27:58高橋氏は、日銀を政府の子会社と見なして同じバランスシートに載せちゃえば、というのですが、ヨーロッパでは、ある重要な条件をつけています。「財政規律」です。
2015-12-29 01:29:34日銀は通貨を発行できるという特殊機能を持っているため、財政規律がきちんとしていなければ、バランスシートに加えてはいけないものです。中小企業の社長が借金している銀行の資産も一緒に自社のバランスシートに含めてしまうのと同じくらい、拙劣な計算になってしまうのです。
2015-12-29 01:30:19財政規律が厳しく、日銀に全く国債を買い取ってもらっていない、という前提がすでに欠けている以上、同じバランスシートに載せるという話は粗暴すぎる、ということになります。
2015-12-29 01:30:51