読書 『外国語としての日本語 その教え方・学び方』(佐々木瑞枝)

スラムダンク論に脱線。
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It happens sometimes @ElementaryGard

『外国語としての日本語 その教え方・学び方』(佐々木瑞枝)。新書。ずいぶん前に買って、日本語がこんなに難しい言語なのかと衝撃を受けた。

2015-12-29 11:02:45
It happens sometimes @ElementaryGard

中三のとき、英語で受身形を習った。「私は彼に本をあげる」の受身形を作ってみよ。はい。「彼は私によって本をあげられた」「本が私によって彼にあげられた」 日本語だとヘンテコ。機械的に済ませればいいと割り切れればテストで点が取れる。

2015-12-29 11:05:20
It happens sometimes @ElementaryGard

ただ腑に落ちなかった。それが後に日本語文法を学んでのみこめた。日本語における受身形は特殊ゆえに英語の受身形がなかなかわからないのだと。例えば「雨に降られた」は受身としては本当はおかしい。「彼女を殴った」を「彼女は殴られた」にするのはおかしくないのに。

2015-12-29 11:07:36
It happens sometimes @ElementaryGard

日本語の受身形には、①英語でいう受身形、②英語ではありえない受身形 の二つがあって「雨に降られた」が②。これは「迷惑の受け身」という。「いきなり仕事を頼まれた」がそうですね。なんでいきなり持ち掛けてくるんだ少々迷惑だなあニュアンス。

2015-12-29 11:09:33
It happens sometimes @ElementaryGard

今振り返ると、中学英語の授業でこういう日本語文法の話はかけらも出てこなかった。それでつい日本語の感覚で英語を理解しようとしてしまい、挫折者をどっさり生んでしまうのです。

2015-12-29 11:10:44
It happens sometimes @ElementaryGard

二足歩行ロボット開発をとおして、人体の理解が深まったという。例えば膝から下の部位をひねるメカニズムは、技術者たちが実際に自分の足にギブスをはめて体で確認しながら発見された。今まで医学の世界でもろくに研究されていなかった。これが二足歩行のカギだと気が付いた。

2015-12-29 11:13:38
It happens sometimes @ElementaryGard

母語についても同じことがいえる。「迷惑の受身」なんて仕組み、誰もいちいち意識しない。けれどもごく日常で使っている。「雨に降られた」「彼女に振られた」「自宅の真ん前にでかいマンションを建てられた」等。

2015-12-29 11:15:20
It happens sometimes @ElementaryGard

日本語が流ちょうな外国人がたまにこんな言い方をしてしまう。「図書館で辞書が盗まれました」。?それは「図書館で辞書を盗まれました」でないとおかしい。ではどうして「辞書が」はだめで「辞書で」だといいのか説明できるでしょうか。まず誰にもできない。

2015-12-29 11:16:40
It happens sometimes @ElementaryGard

ニュースだと「安保法制が審議されました」など、抽象名詞でも主格の「が」で受身形が許されるけど、日常で「辞書が盗まれました」とは言わない。

2015-12-29 11:18:02
It happens sometimes @ElementaryGard

この場合の「が」は主格の「が」なのか対格「を」の代行としての「が」なのか?辞書は自己意思を有しないモノであるから主格「が」ではおかしい。ということは対格「を」の代行「が」と考えられるけれど、主格「が」と区別がつかないのでここは「を」が好ましい…そんな風に日本語話者は判断する。

2015-12-29 11:23:20
It happens sometimes @ElementaryGard

こんなめんどくさいこといちいち考えてツイッターなんてふつうしませんよね。ところが意識していないだけで実際に私たちはこういう複雑な判断を瞬時に行っているのです。感動的でしょ。

2015-12-29 11:24:40
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流川くんだっていちいち考えてジャンプシュートしてるわけではない。 pic.twitter.com/fCTtHOUTUz

2015-12-29 11:28:12
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しかし桜木君にはどうしてもできない。 pic.twitter.com/8mT05dXltG

2015-12-29 11:28:56
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そこで安西先生は噛んで含めるように、体の各部位をどう動かすといいのかを伝授していく。 pic.twitter.com/92h7j1nuAZ

2015-12-29 11:31:35
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It happens sometimes @ElementaryGard

学校文法とは違う文法があって、格助詞は八種類とされています。「で」は具格、「に」は位格。後者は静止した場所や位置を指します。「お椀に蠅がいる」。前者は手段。「ちょんまげの恰好でたけしは現れた」twitter.com/wotakucom/stat…

2015-12-29 12:51:10
It happens sometimes @ElementaryGard

ああ補足すると「に」は位格、与格(「くみにノーベル賞を授ける」つまり間接目的語)、奪格(「くみに文法を教わる」つまり「から」と同意)の三種類。@kumi_kaoru

2015-12-29 12:59:31
It happens sometimes @ElementaryGard

「図書館に辞書を盗まれた」では変に聞こえるのは、この「に」が位格ではなく奪格に響いてしまうからでしょう。@kumi_kaoru

2015-12-29 13:06:14
It happens sometimes @ElementaryGard

そういう指導法こそが英語嫌いを増やしてしまっていると思います。twitter.com/angel_p_57/sta…

2015-12-29 13:07:03
angel (as ㌵㌤の猫) @angel_p_57

「日本語で考えたらアカン、英語で考えな」とは聞いたんだけど、どうアカンのか学校ではね… .@kumi_kaoru さんの「読書 『外国語としての日本語 その教え方・学び方』(佐々木瑞枝)」をお気に入りにしました。 togetter.com/li/918559

2015-12-29 13:03:19
It happens sometimes @ElementaryGard

母語を捨て去ることはできません。だからこそ「日本語で考えたらアカン」ではなく「日本語を考えなアカン」な語学指導のメソッドが必要なのです。@kumi_kaoru

2015-12-29 13:10:43
It happens sometimes @ElementaryGard

こういう格助詞の仕組みを、小学生のうちにクイズ感覚で慣れさせて、中学にあがったら英語のカリキュラムと連動するように国語の授業で日本語文法を教えていく…そういうのが一番ナチュラルで挫折のない語学教育になると考えています。

2015-12-29 13:16:18
It happens sometimes @ElementaryGard

それから完了形(中三で習う)がどうしてわかりにくいのかというと、明治の言文一致運動で日本語から完了形が消えてしまったのも関係しています。 twitter.com/wotakucom/stat…

2015-12-29 17:46:37
It happens sometimes @ElementaryGard

今の日本語は、明治の言文一致運動や標準語や法律文の開発を経て人工的に再編されたものなので、枕草子とか徒然草とかとはもう別の言語。それを強引に同一視しているのが学校文法。言語ナショナリズム。それで使い勝手が悪いうえに外国人に教えにくい。

2015-12-29 17:52:22
It happens sometimes @ElementaryGard

けりとかなむとか助動詞を習わされましたが、ああいうのが文法として体系化されたのは戦後です。昭和2△年に東大が「あうむいとあはれなり 人の言ふらむことをまねぶらむよ」の和訳問題を出したら誰一人「らむ」を訳せなかった。文法が体系化されておらず高校の先生たちも知らなかったから。

2015-12-29 17:56:04
It happens sometimes @ElementaryGard

「オウムってかわいいわ。ひとの言うことをまねするんだって」 「らむ」を伝聞の助動詞に分類する考え方は当時学会でもできたてのほやほや理論だった。高校の国語教師も知らなかった。つまり古典文法なんて戦後の産物だった。

2015-12-29 17:57:56