【新・日本推理小説体系・総解説】《第1期》下

松井さんの【新・日本推理小説体系・総解説】《第8巻》から《第13巻》までのまとめです
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松井和翠 @WasuiMatui2014

《第13巻》 【戸板康二】 「車引殺人事件」 「等々力座殺人事件」 「松王丸変死事件」 「団十郎切腹事件」 「奈落殺人事件」 「滝に誘う女」 「加納座実説」 「文士劇と蝿の話」 「密室の鎧」 「一人二役」 「臨時停留所」 「美少年の死」

2015-12-30 16:00:31
松井和翠 @WasuiMatui2014

「グリーン車の子供」 「目黒の狂女」 「お初さんの逮夜」 「妹の縁談」 『第三の演出者』 『浪子のハンカチ』

2015-12-30 16:00:48
松井和翠 @WasuiMatui2014

第13巻には戸板康二の長編1作品と連作短編集1作品および短編14編を収録した。 推理作家協会賞・直木賞を受賞した看板探偵・中村雅楽を持つ作者は、当然の如く収録作のほとんどが雅楽ものである。

2015-12-30 16:10:31
松井和翠 @WasuiMatui2014

よく“元祖・日常の謎”と言われたりする作者だが、初期のころは折り目正しい本格短編を執筆していた(例「車引殺人事件」)。しかし、次第に芸に関する狂気を扱った作品が増えていく(「等々力座殺人事件」「松王丸変死事件」「美少年の死」等)。

2015-12-30 16:29:59
松井和翠 @WasuiMatui2014

こうした過程を経てたどり着いたのが協会賞受賞作「グリーン車の子供」である。殺人を扱わないことから、“日常の謎”の元祖とみられているが、実は歌舞伎界を背景としないと成立しない話でもあるため、我々読者にとっては“非日常の謎”であることが面白い。

2015-12-30 16:32:48
松井和翠 @WasuiMatui2014

この方面が、やはり作者には書きやすかったようでその後「お初さんの逮夜」「妹の縁談」といった名作を生んでいる。

2015-12-30 16:35:36
松井和翠 @WasuiMatui2014

中村雅楽は、典型的な短編型探偵であるが故に長編は僅かに2作品しかない。それが『松風の記憶』と『第三の演出者』である。本巻では後者を採った。決して派手さはないが、滋味溢れる秀作であると思う。

2015-12-30 16:38:32
松井和翠 @WasuiMatui2014

また、ノンシリーズの連作として『浪子のハンカチ』を採った。夏目漱石「坊ちゃん」樋口一葉「たけくらべ」等、明治・大正期の文学作品をパロディ化・推理小説化したものであり、作者の隠れた傑作として珍重すべき作品である。

2015-12-30 16:41:19