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竹村京さん(@kyou_takemura)の書いてくださった、落ちぬい二次です! 今回は艤装と艦娘、その強化手術の関連性のお話と、叢雲の話。わりと艤装設定部分は、近いことを作者本人も考えていた感じです。 ぜひぜひおたのしみください! 続きを読む
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はじめに

竹村京 @kyou_takemura

#落ちぬい二次 、はじまります。本作は #不知火に落ち度はない の二次創作であり、オフィシャルではありません。意見、指摘などは #落ちぬい タグでお願いします

2016-01-15 20:50:21

本編

竹村京 @kyou_takemura

今日のナノテクノロジーの進歩は目覚ましい。 艦娘の実用化前後までは精々が鞭毛を模したナノモーターくらいしかなかった。だが必要は成功の母と言う。艦娘と艤装を接続する上で必要とされたため、急速に技術が発展したのだ。#落ちぬい二次

2016-01-15 20:51:50
竹村京 @kyou_takemura

初期の艦娘は艤装を動かすために有線接続をしている。つまりは脊髄などの神経の要点にコネクタを取り付けて、艤装と接続している。#落ちぬい二次

2016-01-15 20:53:47
竹村京 @kyou_takemura

この場合は脊髄に外科的処置でコネクタを装着するため、僅かな失敗でも半身不随となる危険性があった。この処置の成功率が四割程度。残りの六割は、手足なり、下半身なり、左右の半身なり、あるいは全身が不随となってしまう。#落ちぬい二次

2016-01-15 20:55:26
竹村京 @kyou_takemura

これが艦娘候補生の間では拡大解釈されて六割は死ぬ、と実しやかに囁かれていたが、あながち間違いではないことであるし、あえて「六割は死ぬのではなくどこかしら不随になる」などと生々しく正すよりは都市伝説的なままにしておいた方が候補生の精神衛生上よいだろうと判断された。#落ちぬい二次

2016-01-15 20:59:23
竹村京 @kyou_takemura

最初の艦娘である三笠の場合も、奇跡だったと言えるだろう。彼女の場合は当時の日本にあった技術をベースにしていたのでもともと艤装は非侵襲型で作り、操作も当時の義肢と同じように皮膚から微弱電流を読み取る方式で行っていた。#落ちぬい二次

2016-01-15 21:00:58
竹村京 @kyou_takemura

艤装の試験や最初のテスト戦闘の際はそのままだったが、後に実戦レベルでの正確かつ迅速な操作ができないことが判明し、実戦投入に際して侵襲型に改められ、彼女の身体にはいくつかの小さなジャックが設けられることになった。#落ちぬい二次

2016-01-15 21:02:25
竹村京 @kyou_takemura

国内で最も優秀な外科医に執刀させたので結果は成功ではあったのだが、彼女の手足が正しく動くかどうか判明するまで気が気ではなかった。 ともあれ、こうして実用レベルに漕ぎ着けた艤装と人体の接続技術だが、この四割という成功率の低さは人的リソースの浪費を意味していた。#落ちぬい二次

2016-01-15 21:04:02
竹村京 @kyou_takemura

せっかく艦娘としての適性があるのに、技術的なハードルで六割を無駄に潰してしまうのでは技術者としては怠慢と罵られても仕方がない。#落ちぬい二次

2016-01-15 21:06:11
竹村京 @kyou_takemura

また処置が成功したとしても、コネクタが海水によって腐食したり、それによって感染症を引き起こしたりという不具合もあり、メンテナンス性は悪く、出撃後の洗浄にも多くのマンパワーが掛かっていた。#落ちぬい二次

2016-01-15 21:10:23
竹村京 @kyou_takemura

現在からすると信じがたいことだが、最初期の艦娘は自由に入浴すらできなかったのだ。女性が他人に体を清拭されるという状況は、艦娘のメンタルケアの観点からも望ましいとは言えなかった。#落ちぬい二次

2016-01-15 21:12:28
竹村京 @kyou_takemura

副次的にではあるが退役後の日常生活に支障をきたすという人権上の問題、より詳しく言えば人権団体に突き上げられる危険性もまた、無視できるものではなかった。#落ちぬい二次

2016-01-15 21:14:16
竹村京 @kyou_takemura

そこで目を付けられたのがナノテクノロジーである。 非侵襲型は成功率は高いが精度が低い。侵襲型は精度は高いが成功率が低い。ならば非侵襲型の精度を上げればよいという発想だ。もともと日本で発展していたのが非侵襲型の技術なので、自然な原点回帰と言えるだろう。#落ちぬい二次

2016-01-15 21:15:41
竹村京 @kyou_takemura

現世代の艦娘は艤装と紐付けられた個体識別用のICチップを皮下に埋め込み、あとはナノマシンの注入で済んでいる。ナノマシンが神経の電流を読み取り、電解質で満たされた人体をアンテナにして艤装に伝える。これによって施術の成功率は飛躍的に上がり、ほぼ十割となっている。#落ちぬい二次

2016-01-15 21:17:50
竹村京 @kyou_takemura

同時にブドウ糖などのエネルギー源ををナノマシンに結合させておき、必要な時に供給する事で連続稼働時間も向上した。 ケッコンカッコカリと通称される、指揮官と艦娘の間に思考リンクを結ぶ技術も無線で艤装を操作する技術の延長線上のものだ。#落ちぬい二次

2016-01-15 21:19:37
竹村京 @kyou_takemura

だが、どんなに技術が進んでも不具合というものはなくならない。#落ちぬい二次

2016-01-15 21:21:10
竹村京 @kyou_takemura

作戦行動中に艦娘が行方不明になった。KIA――轟沈ではない。会敵していない通常の航海中にいつの間にか消えていたというのである。無線封止下、大きく散開しての偵察を兼ねた訓練だったそうだ。#落ちぬい二次

2016-01-15 21:23:26
竹村京 @kyou_takemura

どういうわけかその情報が技術研究本部にまで回ってきたのはつい先程の事だった。それには高度に個人的な情報が含まれているため通常は開示されない、艦娘の艤装ではなく人体の方の稼働ログも含まれていた。 そのログを検めているのは、艦娘システムの開発者である藤郷技監である。#落ちぬい二次

2016-01-15 21:26:23
竹村京 @kyou_takemura

「寿命ですね、彼女は」 無感情に言う。藤郷の後ろに控えた年かさの女性――最初の艦娘であり藤郷の妻である三笠が心配そうに返した。 「寿命、ですか。でも確かこの子はまだ……」 「ええ。処置から一年弱。実戦投入から四か月程度。あまりに早い」#落ちぬい二次

2016-01-15 21:28:15
竹村京 @kyou_takemura

稼動ログをスクロールしていくと、MIAの艦娘の軍歴は始まったばかりだった。 負傷や生理的な反応の変化などで艤装との適合値が低下し、最終的に艤装を動かせなくなる事を艦娘の寿命と言う。このMIAの艦娘の場合は状況が違うが、似たようなものだと判断した。#落ちぬい二次

2016-01-15 21:30:12
竹村京 @kyou_takemura

「が、実際にそうとしか考えられません」 当該の艦娘のデータを呼び出す。藤郷は首から下が動かないため、視線デバイスでの操作だ。 叢雲。吹雪型5番艦。初期に製造された艤装を使用する、現在二代目の艦娘。適合率、成績、ともに平均。 艤装の構成は――#落ちぬい二次

2016-01-15 21:31:34
竹村京 @kyou_takemura

「これですよ、原因は」 旧いのだ。 初期に製造された艤装を初期に処置を受けた艦娘が使うなら問題はない。だが、二代目の艦娘に施された処置はナノテクノロジーの発展を反映して初期とは大きく異なるものになっており、艤装もそれに合わせて改修されている。これが良くない。#落ちぬい二次

2016-01-15 21:33:36
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