- tasobussharima1
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「……成る程、それはさぞかし、ご苦労されたことでしょう」 「……はい」 二人は、寺の方丈(注:住職の住んでいる建物)の一室へと案内されていた。外には、見事な枯山水が広がっている。あの廃寺にあったものとは違う、完全な形のものだ。
2016-01-17 21:04:05二人は(というよりも、主にクーカイが)、これまでの事のあらましと街の窮状を一通り住職に告げた。但し『仏舎利』のことは除いて。 「ミラルパ老……宗派こそ大きく違えど、大変徳の高い方であったと耳にしておりました」 二人の前には茶が出されている。恐らくは、この街で自給されたものだろう。
2016-01-17 21:08:04嗜好品にまで手が回るほど、この里は徳カリプスの惨禍から回復しているのだ。 「補給と整備については、後ほど詳しい者に頼みましょう」 「かたじけない」 ここまでの道中、燃料・食料もそれなりに消費している。補給は必要だった。住職はそれすらも無償でするという。
2016-01-17 21:12:07確かに素晴らしいけど、何か秘密が隠されてる感じがするな… 前回でガンジーも違和感を抱いているみたいだったし。 #徳パンク twitter.com/tsbslion/statu…
2016-01-17 21:16:43「そちらの街については……人を遣るとなれば、皆で話し合わねばなりますまい。暫くこの寺へ逗留なされませ」 「……本当によろしのですか。何か、対価などは」 あまりの徳の高さに、クーカイも思わず萎縮していた。 「そうですな。では、街……外の話を、改めて詳しくお聞かせ願えますかな」
2016-01-17 21:16:05「……承りました」 話が一段落し、三人は茶を啜る。結果としては情報と交換、と取れなくもないが、恐らくそれすらも住職の気遣いであろう。 「しかし……見事なお庭だ。住職はかなりの徳をお持ちの筈」 クーカイは外を見遣る。手入れの行き届いた枯山水。 「滅相もない」
2016-01-17 21:20:03「滅相」とは四相の一つにして、真如が常住にして寂滅であることを示す… 簡単なセリフの中で物語の行く先を暗示する、ワザマエ! #徳パンク twitter.com/tsbslion/statu…
2016-01-17 22:24:07「エネルギーを狙う不届きな輩や、得度兵器に襲われることもあるのでは?」 クーカイは、ひっそりと核心を口にした。横で完全にふてくされていたガンジーが、ピクリ、と反応する。 この街に着いた時から感じてた違和感。何故、この街が徳に満ち溢れたままでいられるのか。
2016-01-17 21:24:01「……そのような者も時折参りますが、エネルギーを分けてお帰り頂いています」 「そうですか」 徳エネルギーの性質上……人間相手ならば、それである程度通じるだろう。しかし。 「あの得度兵器……あの狂った機械については、どのように」 一瞬の、しかし確かな沈黙。
2016-01-17 21:28:02