- tasobussharima1
- 910
- 3
- 0
- 0
故に。『わたしを……たすけて』得度兵器のセンサーは、その声を聞き届ける。優先事項として処理を行う。 助ける、とは何か。彼女を何から助けるべきなのか。救いは目前であるというのに。僅かな徳エネルギーを浪費し、演算は行われる。僅かな綻びを縫うかのように。
2016-01-24 21:40:10最終結論。解脱こそが、人類の至上の幸福である。現状の行動を維持すべし。結論の『再確認』に要したのは、ごく僅かな演算時間と徳エネルギー。だが、その演算時間こそが……明暗を分ける。 ------ 「こ・の・や・ろーっ!!」
2016-01-24 21:44:02ガンジーは、自分でも馬鹿なことをしていると思っていた。 それでも見捨てる選択肢は無かった。ワイヤーを一気に手放し、ガンジーは崖を蹴りながら落下する。今まさに、解脱の光を放とうとしている、得度兵器の手目掛けて。
2016-01-24 21:48:03ガンジーの蹴りが、得度兵器の腕へと炸裂する。 得度兵器の膨大な質量を前に、ガンジーの蹴りはデコピン一発程度の威力も持たぬであろう。それでも『照準』を狂わせるには十分だった。 徳エネルギーの光条は暴発し、クーカイ達の遥か背後を焼く。 「っつー……!」
2016-01-24 21:52:01ガンジーは思わず足を押さえる。 「……もう一度、同じことやれったってできねぇぞ」 何もかもがギリギリであった。しかも、まだ『終わってはいない』のだ。 「ガンジー!」 「クーカイ!」 二人は叫ぶ。 「この馬鹿野郎!」
2016-01-24 21:56:00「助けられといてそれかよ!もういい!上に向かうぞ!」 「ああ!全く、無茶しやがって……!」 ガンジーが垂らしたロープを、クーカイが少女を抱き抱えながら登ろうとする。……その時。 「……まだ動くのかよ!」 得度兵器の腕が、再び動き始める。 「くそっ!」
2016-01-24 22:00:12流石に、もう手詰まりだと。その場の誰もが思った。 ガンジーは、腰の起爆スイッチを見やる。 「心中なんざ御免だが……」 いざとなれば、押すしか無い。上手く行けば……命だけは助かるかもしれない。
2016-01-24 22:04:06ブッシャリオンTips ラマ・ミラルパ20世(1/3) 機械工学の専門家。徳エネルギー技術者。チベット仏教の一分派の高僧。チベット仏教は嘗て転生廃止を巡り分裂したが、彼は転生肯定側に属している。徳エネルギーから回転エネルギーを取り出すマニタービンを開発し徳エネルギーを世に広めた。
2016-01-24 22:12:09ミラルパ20世… 転生廃止肯定で揉められるって事は、最低限この世界ではダライ・ラマ14生の次を探せたのか…一寸安心してしまう #徳パンク
2016-01-24 22:15:35ブッシャリオンTips ラマ・ミラルパ20世(2/3) 徳カリプス発生時は偶然極地に居たために連鎖成仏を免れたが、しかし、その肉体に蓄積された徳は既に即身成仏寸前のレベルにまで到達しており、彼自身が徳ジェネレータに入らなかったのは望まぬ成仏を回避するためである。
2016-01-24 22:16:07