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2011年1月25日

共同通信・竹田昌弘氏による,実名報道・匿名報道のメリット・デメリットについてのつぶやきまとめ

共同通信社会部編集委員・竹田昌弘氏(@TAKEDAmasahiro)による,事件報道における実名報道・匿名報道が社会に与えるメリット・デメリットと,報道各社のガイドラインについての連続tweetをまとめました.
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竹田昌弘 @TAKEDAmasahiro

きょうも実名・匿名が話題だったのですね。「@関連」にTWがいくつか入っていたので、@aphros67さんがまとめられたものを読みました。昨日の連続TW(http://togetter.com/li/92423)を踏まえ、もう少し具体的に実名報道の必要性について書いてみます。続く

2011-01-25 03:11:02
竹田昌弘 @TAKEDAmasahiro

(続2)昨日書いたように、新聞で最も読まれている記事はTV欄を除けば「社会・事件・事故」です。理由はいくつか考えられますが、社会のことを知りたいという人間の欲求が向かう大きな分野が犯罪であり、知人・公人の変事を実名で伝える事件報道はその欲求にかなっていることが大きいと思います。

2011-01-25 03:12:04
竹田昌弘 @TAKEDAmasahiro

(続3)名誉毀損罪の特例を定めた刑法230条の2には「公訴が提起されるに至っていない人の犯罪行為に関する事実は公共の利害に関する事実とみなす」とあり、被疑者の実名報道を同罪から事実上除外しています。いうまでもありませんが、これは多数決の国会で成立した法律です。

2011-01-25 03:12:39
竹田昌弘 @TAKEDAmasahiro

(続4)一方、多数決では守られない少数者の権利を憲法に基づいて救済する裁判所でも「社会の正当な関心事」などとして、少年被疑者の実名報道を容認する高裁判決(堺通り魔事件)があるほか、「逆転」訴訟で最高裁は条件付きで「前科公表も許される場合がある」としています(条件外で被告は敗訴)。

2011-01-25 03:13:35
竹田昌弘 @TAKEDAmasahiro

(続5)国会も裁判所も、事件報道が社会の大きな関心事で、実名報道を求める有権者が多いことや実名報道が真実性を担保していることなどを踏まえた対応だと思います。次に匿名にするとどうなるか、いくつか実例を挙げてみます。

2011-01-25 03:14:48
竹田昌弘 @TAKEDAmasahiro

(続6)産地偽装事件で強制捜査前の業者名を匿名にしたところ、無関係の会社から「疑われて困る。社名を書け」と苦情が相次ぎました(08年、兵庫)。山梨県警は恐喝未遂被害者の主婦から「特定されないようにしてほしい」と頼まれ、30代なのに「46歳」と虚偽を発表しました(05年)。

2011-01-25 03:17:20
竹田昌弘 @TAKEDAmasahiro

(続7)熊本県警は息子が父親を監禁した事件で、父親を匿名として、実名の被疑者は「知人の男性」と虚偽の説明をしました(04年)。匿名にすると、こんなことが起こっています。事実がまげられてしまう恐れがあります。

2011-01-25 03:18:50
竹田昌弘 @TAKEDAmasahiro

(続8)また匿名だと地元で犯人捜しが始まる恐れもあります。実名報道でも福島県××市△△1丁目の佐藤○○さんが逮捕された際、1丁目に同姓同名同漢字の人がいて「地番まで報道しろ」と苦情が来たと聞いたことがあります。自分たちで事実を確認できる実名報道を望む人は多いと思います。

2011-01-25 03:22:31
竹田昌弘 @TAKEDAmasahiro

(続9)もちろん人権の面から匿名が要請される場合は多くありますが、匿名にして権利義務関係があいまいになり、逆に人権を侵害するケースもあると思います。次に犯罪被害者の方で、実名報道を望む方の話をします。

2011-01-25 03:23:38
竹田昌弘 @TAKEDAmasahiro

(続10)広島の小1女児殺害事件の遺族は「『小1女児』ではなく、世界に一人しかいない『木下あいり』なんです」として、大阪池田小事件の遺族の一人も「匿名では一人の人間として生きてきた子供の人生の価値や意味を奪ってしまう」として、それぞれ実名報道を求めました。

2011-01-25 03:24:50
竹田昌弘 @TAKEDAmasahiro

(続11)桶川のストーカー事件では、埼玉県警が被害届の受理を渋り、関係書類を改ざんしました。被害者の遺族は「『被害者の希望だから』とか『捜査に支障があるから』といって被害者名を公表しないと、警察にとって都合の悪いことが隠されても追及できなくなる」と話しています。

2011-01-25 03:26:02
竹田昌弘 @TAKEDAmasahiro

(続12)桶川事件では、報道が警察の犯罪を暴きました。同様に報道が捜査や捜査機関の対応を検証し、世に問うたケースは、昨年の大阪地検証拠改ざん事件、被害者保護法の契機の一つとなった片山隼君事件、北海道警や高知県警の裏金、古くは弘前大教授夫人殺し、菅生事件など、たくさんあります。

2011-01-25 03:27:17
竹田昌弘 @TAKEDAmasahiro

(続13)こうした取材は数百件のうち一件くらいしかものになりませんが、きょうも全国各地で志のある記者は取材していると思います。なお実名・匿名の問題は日弁連が1976年に「人権と報道」と題する報告書を公表して以来、今日まで議論がずっと続いています。

2011-01-25 03:28:35
竹田昌弘 @TAKEDAmasahiro

(続14)別件逮捕や重要参考人、微罪逮捕の被疑者については、日弁連の要請に従い、匿名になりました。最近も08年に新聞協会は事件報道の新しい指針を策定し、報道各社はそれを具体化した指針やガイドラインを作成しています。こうした取り組みもできれば知っていただければと思います。

2011-01-25 03:34:17
竹田昌弘 @TAKEDAmasahiro

(続15)指針やガイドラインの中で、逮捕を報じた被疑者が不起訴や処分保留となった場合、取材して報道するよう定めている会社はいくつもあります。できる限り、当事者側に匿名、実名の希望を聞くことや処分保留のときは当事者が望めば処分も報じることなどを求めている会社もあります。

2011-01-25 03:35:38
竹田昌弘 @TAKEDAmasahiro

(続16) @nyanmayu さんたちのご批判の趣旨は分かりますが、実名報道、事件報道の意義も併せて考えてみていただければ幸いです。今回の連続TWは、新聞協会刊「実名と報道」、山田健太氏「法とジャーナリズム」などを参考にしました。(了)

2011-01-25 03:39:15

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