歳をとるのは難しい・・・男性の不器用さ
- ShinShinohara
- 16191
- 53
- 3
- 4
まだ定年退職のことを考えるには早すぎるけれど、祖父母や両親をはじめ、年配者の様子を見ていると、「年を取る」ということは相当難しい。もちろん放っておいたって歳は取るのだが、心の平安を保ちながら年を取るということは結構難しいことのようだ。特に男は。
2016-01-25 18:46:56人間には「居場所」がとても大切らしい。自分自身も、他人からも、「そこにいるのが当然、そこにいていいよ、いやそこに居るものでしょ」と承認されている場所。それは単に住居という意味ではなく、「役割」と言い換えてもいい。他人から期待されている仕事、役割がある。それが居場所。
2016-01-25 18:50:00歳を取ると居場所を失う。いや、もちろん住居はどうにかなる。でも、近所づきあいもなく、ただそこに住んでいるだけ、食べて寝ているだけ、誰にも必要とされず、ただ一人生きているだけ。そうなりがち。宇宙空間に浮遊するような、頼りない感じの孤独。
2016-01-25 18:51:44会社勤めをしていたり、何か自営業をやっていたら、仕事が自分を求めてくれる。仕事を通じて社会とつながれる。しかし仕事を辞めてしまうと、人とのつながりが断たれてしまう。社会のネットワークから外され、虚空に浮かぶ感覚になってしまう。仕事をしていないので相手にしてもらいづらい。
2016-01-25 18:53:15仕事人間だと、余計に退職後の「心のよりどころ」を見つけられずに苦しむ。人は、誰かとつながらずにはいられない。つながりを続ける口実が欲しい。仕事の場合は、自分も他人も承認せずにはいられない口実がある。しかし仕事以外では、つながりを続ける理由としては弱く思えてしまう。
2016-01-25 18:55:11女性の場合、結婚すると仕事の縁が切れてしまう、という歴史的経緯があるためか、ある種ノウハウを蓄積している(友人知人から心構えを聞かされる)。だから、仕事の縁が切れても、別の縁を形成することで心のよりどころを維持する工夫を重ねる(うまくいかないケースも最近は多い)。男は全然ダメ。
2016-01-25 18:56:57仕事一徹で生きてきた男性には、仕事以外のつながり、たとえば趣味でのつながりは「しゃらくさい」ように思えてしまうらしい。なんだか軽薄なつながりのように思えて、つながりを大事にする気が起きない。もっと使命感を感じられるようなつながり、心の居場所が欲しいと考えてしまう。男は不器用。
2016-01-25 18:58:28退職後も仕事で生きようとしても、色々厄介なことがある。パートに応募しても、煙たがられる。自分より若いとみると、キャリア40年をひけらかして説教しにかかることがしばしば。若造から指示を受けて仕事をするということを屈辱に感じて、素直に指示に従えない。
2016-01-25 19:00:27女性の場合、社会的理不尽に耐えてきた長い蓄積があるためか、柔軟に対応できる人が多い。どれだけ過去にキャリアがあっても、仕事は仕事と割り切って、パートの仕事に就き、指示通りの仕事ができる人が多い。内心は舌を出していたとしても、仕事は仕事と割り切れる人が多い。女性は強い。
2016-01-25 19:02:37男はどうも、年を取ればとるほどプライドが肥大化する生き物らしい。自動車の運転で興味深い話。女性は年を取って目や耳が弱くなると、狭い路地を嫌がるようになり、夜や雨の日は運転しないようになる。しかし男性は年をとっても「昔取った杵柄」で狭い路地も夜の雨も運転する。そして事故を起こす。
2016-01-25 19:04:29「老いては子に従え」これは女性に「三従」(「幼にしては父兄に従い,嫁しては夫に従い,夫死しては (老いては) 子に従う」)を強いるひどい言葉なのだが、見方によってはこれができてしまう女性は大変な精神の柔軟性を備えていると言える。男はこれができる人がほとんどいない。硬直的。
2016-01-25 19:07:54男性は、幼少期から「俺が一番!」という願望を大なり小なり抱えていることが多い。学校での集団生活、社会人生活でその願望を抑え込むのだが、何十年もの社会人キャリアと、年配者への敬意という社会儀礼を武器に、幼少期の願望が再度頭をもたげてしまう。「俺が一番!」
2016-01-25 19:10:05退職してしばらくは「長らくのお勤めお疲れさまでした」といういたわりの言葉もあるし、年配者への敬意を皆が払ってくれるので「俺が一番!」という幼少期以来の願望が肥大化しやすい。しかし時間が経つと、仕事もなく社会的ネットワークから外れているので、その願望の根拠が失われてしまう。
2016-01-25 19:11:36「俺が一番!」という肥大化した願望と、社会的ネットワークとのつながりが奪われているという現実。「俺が一番!」を証明するものを示すことができない焦り。しかし未熟な若者に頭を下げるような仕事は今更やりたくない。願望と現実とのギャップがどんどん大きくなってしまう。
2016-01-25 19:13:13女性は年をとっても手芸や英会話、旅行などを友達と楽しんで、緩やかなネットワーク形成に成功する人が多い。居場所をしっかり形成する。仕事一徹で生きてきた男性にはそうしたつながりが「しゃらくさい、仕事と比べて何の役にも立たない」と軽蔑すべきものに映る。そして自分が孤独になってしまう。
2016-01-25 19:15:50男性は仕事の中で生きてきたために「使命感」をついつい大切にする。女性は「今、この時」を大切にすることができる人が多い。こうした性質の違いが、退職後に社会的つながりを形成するのが、男性の方が圧倒的に下手、という結果につながるらしい。
2016-01-25 19:17:30社会的ネットワークとのつながりが断たれ、「俺が一番!」という幼児的願望が肥大化し、そのギャップに苦しむ結果、「俺は何十年とこの仕事をしてきた」というキャリア自慢となる。「最近の若者はだらしない」となる。お説教というポジションを得ようとしてしまう。しかしどうもうまくいかない。
2016-01-25 19:25:41お説教すればするほど、今の若い人は離れて行ってしまう。男性は孤独に陥りやすい。女性は年配者としてどれだけキャリアを積んでいても、「あなた若いのにすごいわねえ!私、若いころにそんなことできなかったわ」と若い人を立てる。このためか、女性は年齢差を超えた「友達」ができやすい。
2016-01-25 19:27:49なぜこんなに退職後の男性が生きづらくなったのだろう?一つには地域から「利害」が失われたことが挙げられる。昔はサラリーマンが今ほど多くなく、自営業者が多かった。地域住民とのつながりはそのままお店の利益にも直結した。地域自治は商売とも深く関係していた。だから町内会も元気だった。
2016-01-25 19:31:10しかし自営業が急速に減少し、勤め人が増えた。会社は住むところから離れていることが増えた。会社は給料をくれるが、地域からは何の利益も得られない。だから地域自治を面倒くさがる人が増えた。地域に「利害」が失われると、自治力も失われた。 www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je11…
2016-01-25 19:33:09町内会は利害を追い求めるものではないが、自営業が多い時代は、町内会からにらまれれば自営業は成り立たないから、町内会に遠慮する地域住民が多かった。しかし住民がみな会社勤めになると、町内会からにらまれても怖くない。町内会は形骸化し、男性が「居場所」とするには、やや弱い場所となった。
2016-01-25 19:35:10退職後に男性は心の居場所をどう確保したらよいのか。非常に難しい。私は年老いても自分の心の主でいられるだろうか、心もとない。私だって「俺は昔…」と自慢したくなるだろう。若者をお説教したくなるだろう。若造に頭を下げたくなんかないだろう。プライドのカタマリになって扱いにくくなるだろう。
2016-01-25 19:38:02まれに、死ぬ間際までプライドを高く保ったまま生きていられる男性老人がいる。そうした人は、死ぬまで続けられる仕事であることが多い。政治家だったり、職人だったり、小説家だったり。「先生」と呼ばれて尊敬を受け、若者に説教垂れながら死ぬことができる。羨ましいが、みんなできることではない。
2016-01-25 19:40:06ごく普通の男性が、年を取って退職し、社会的ネットワークとつながりにくくなり、一方で精神的なタガが外れて「俺が一番!」という願望が肥大化し、過去の栄光にすがって若者に説教垂れてしまう。ありがちなこのパターンから抜けるにはどうしたらよいのか?自分は大丈夫、なんて思わない方がよい。
2016-01-25 19:43:35男性は女性のマネはなかなかできない、実に不器用で、自己像が肥大化しやすく、鼻持ちならない存在。そんな男性の性質を自分の中にもあると認めたうえで、どう対策を取るか。たぶん、「覚悟」だけではあっさり挫ける。自分で自分をうまくもっていく環境を整えてやらないとうまくいかないだろう。
2016-01-25 19:46:23