アメリカ某州立大学心理学部における卒論執筆の仕組み
卒論研究だろうとなんだろうと、結果が出れば、当たり前のようにpublication狙うことになる。学部生だろうが研究生だろうが、分け隔てなくチャンスがあるのが いい。周りの反応からみて、これが当たり前みたいだ。
2011-01-24 08:01:30米国に大学から学部留学してる自分の卒論研究について。もしかしたら、院留学の人達はたくさんいても、学部レベルで卒論プロジェクトを開学で留学生として経験した人は少ないのかな?
2011-01-25 07:30:03自分の大学(州立大学)のシステムでは、まず卒論書くためには複数の条件を満たす必要があり、全ての学生が卒論を書くチャンスがもらえるわけではありません。入学時にhonor(特待生?)として在籍するか、departmental honor(学部特待生?)になる場合が主流です。
2011-01-25 07:34:36自分は後者なので(留学生はたいていこっちな気がします)そっちを書きます。まず、departmental honor になる条件はおそらく所属する学部によって違います。でもどの学部でも最低GPAの制限はあります。
2011-01-25 07:39:52僕の所属する心理学部では、1:GPAが3.6以上であること、2:特定の授業でAを取得していること(統計の基礎クラスと科学研究方法論のクラスでした)3, プロジェクトを監督してくれるPIを見つけてくることです。
2011-01-25 07:42:04条件1,2を満たせば、Sophomore(二回生)の終わりの時期にhonor project(いわゆる、卒論研究のプロジェクト)への招待状が来ます。そこから条件3を満たせばプロジェクトに参加できる資格が得られます。
2011-01-25 07:45:12自分の経験則では、半分の生徒がこの時点で既にラボに所属しておりある程度研究活動を手伝ったりしてます。どの程度の作業に参加しているかは、ラボによってかなりバラつきがあります。単純なデータ集める係から、実験をプログラムしたり、解析する作業をまかされてる人もいます。
2011-01-25 07:47:26なので、そんなに厳しい条件ではないですが、僕の学部全体で今年の卒論研究生は13人です。学部生はたぶん1500人以上はいます。条件3のため自分で卒論研究をすることを選択した生徒しか残らないシステムです。参加者ほぼ全員が大学院進学希望者です。
2011-01-25 07:53:25実際にプロジェクトが始まるのはSenior(四年生)からで、卒論研究生だけが取れる授業に参加することが義務づけられます。僕の学校の場合、院レベル一歩手前くらいの難易度の統計の授業と隔週ごことのミーティングの授業です。
2011-01-25 07:57:43ミーティングは研究の進行具合を確認したり、発表する練習をするだけなので大して実がないですが、意欲的な生徒の横のつながりができたのは良かったです。あと、学内でのawadや他大学での学部レベルの学会の情報を教えてもらえるのも助かります。
2011-01-25 08:00:36研究活動自体は、九割くらいお世話になるPIに依存します。トピックはPIと選びます。大抵の場合ラボでやってる研究の上乗せになることを選ぶ人が多いです。いい結果が出れば、publicationにつながるからです。あらゆる側面でペアになってる教授の名前がでるので、大抵の人が協力的です。
2011-01-25 08:03:55このペアに院生やポスドク生が、もっと常駐的な監督の役割として入ります。立ち入り具合もラボによって変わりますが、ほとんど共同研究レベルで院生が参加する場合もあります(その場合、もちろん完成した論文に名前が乗る)。
2011-01-25 08:06:51これは推測ですが、卒論研究生を積極的に自分のラボに入れたい先生が多いように思います。大学から雇われる側としてのメリットがあるのかもしれません。分野によっては、将来の院生を品定めするチャンスでもあるので、そういう意味でも協力的になっておいて損はないはずです。
2011-01-25 08:09:17論文の添削やデータ解析の部分は院生が指導する比重が多いですが、絶対どんなものでも卒論研究に付随するものには教授のチェックが入ります。既存の研究との関連性とか理論的な部分での議論などは特にそうです。
2011-01-25 08:12:54もう言うことねぇ。一般的なことはこのくらい?かな?あと研究楽しいです。楽しんでやってない人はいません。
2011-01-25 08:18:41ちなみに13人中留学生はふたり(たぶん)。僕(日本人)とケニアから来た人だけです。男女差も5:5くらい。研究トピックは、軍での階層構造とfiled strategyとの関係とか、心の理論とか、男女のグループダイナミックスとか、ADHDとか、
2011-01-25 08:26:44Switch Costとか、Perspective takingとか、Conflict adaptationとか、意識に関する哲学理論とかばらっばら。研究方法もonlineのself-report inventory とかEEGとかMRIを併用した行動実験とか、ばらばら。
2011-01-25 08:29:09最終的なプロジェクトの終了条件は、研究を論文にしあげること、卒論研究生の授業内でプレゼン0することだけです。大雑把にいうと、秋学期(立ち上げ)冬学期(実行)春学期(発表)というスケジュールですが、別に四年生になる前から取ってたデータで仕上げても問題ないです。
2011-01-25 08:33:17自分がそうなのでスタンダード型の卒論研究を書きましたが、一般的な大学内のラボ以外にも、大学付属の研究施設を通してデータを取る人もいます。研究費のソースを増やしたり、特殊なsubjectが必要な研究に有効です。刑務所の精神病棟でデータ取ったり、軍のデータバンクにアクセスしたり。
2011-01-25 20:30:23自分がやってることだから無自覚だったけど、学部留学って結構めずらしいのか…。honor論文書くのも。
2011-01-25 20:37:28個人的にこのシステムの一番いい部分は、きちっと研究として生産性を作る可能性があること、やりたい人だけがやること、卒論書くことはかなり評価されることかな。それが相乗効果で、卒論を通じていい教育を受けられるシステムに繋がってる気がする。そもそも自分で学ぼうとしない人がいない。
2011-01-25 20:43:02悪い部分は、このhonor卒論のシステムを知らずに条件を満たせなくなり参加できなくなる人がいること、長期間ラボに所属してる生徒が明らかに有利なことくらいかな…。
2011-01-25 20:46:31といっても条件は、院進学を目指すなら当然満たしてるべき条件だし、そういう人は早くからラボに所属するし(アメリカにはゼミの文化がないので)、本当にプロジェクトに参加したい人は結局できるシステムかなとも思う。
2011-01-25 20:49:36あと、卒論研究を終了する条件を達成できなかったとしても、特にデメリットはありません。卒業時にhonor生だと認められないだけです。年度をまたいで完成させる生徒もいます。米国は学部卒業時にyear offする文化があるので、ラボにだけ在籍してfollow up研究する生徒もいます。
2011-01-25 20:56:45