英語におけるピリオドと引用符の順序——イギリス方式とアメリカ方式との違い

いちご泥棒氏とakihito suzuki氏とのやりとりが大変興味深かったので、備忘としてまとめました。
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いちご泥棒 @strwberry_thief

英文校正の見直し、勉強になる…。あめりかでは引用文のピリオドは引用符の中に打つんだよ!って教え諭したうえで執拗な訂正が入ってる

2016-01-30 10:52:53
akihito suzuki @akihito_suzuki

@strwberry_thief とりあえず指導と訂正に従ってください。恐らくアメリカ方式のスタイルだと思います。イギリス方式では、その引用にもともと存在するピリオドか、引用を含む文章のピリオドなのかで、ピリオドと引用符の順序が変わってきますが、アメリカ方式でいいです。

2016-01-30 11:05:40
いちご泥棒 @strwberry_thief

@akihito_suzuki ええーっ、大英帝国ではまた違うのですか!! 無理です頭が溢れますっ! とりあえず校正者様に従います…

2016-01-30 11:11:28
akihito suzuki @akihito_suzuki

@strwberry_thief いや、このスタイルの違いについては、イギリス方式のほうが合理的ですよ。もう一度私のコメントを読んでみてください。でもこの場面では、合理性より校正者に従うのがいいです(笑)

2016-01-30 11:24:51
akihito suzuki @akihito_suzuki

ピリオドと引用符の順序は、イギリス英語とアメリカ英語のスタイルが違う。イギリス英語では、ピリオドが引用された文の一部であれば、ピリオドを打ってから引用符で閉じる。逆に、そのピリオドが地の文を終わらせるためのものなら、引用符を打ってからピリオドで閉じる(続)

2016-01-30 11:44:38
akihito suzuki @akihito_suzuki

一方、アメリカ英語のスタイルでは、ほとんどの場合において、ピリオドを打ってから、引用符で閉じる。これがイギリス英語の規則より簡単なのは、その通りである。しかし、アメリカ英語においても、疑問符と感嘆符においては、イギリス英語がピリオドについて使っている規則を用いている。

2016-01-30 11:51:55
akihito suzuki @akihito_suzuki

David told us "[she] does not agree"! と David told us "[she does not agree!" では、感嘆符と引用符の順序が違い、異なる意味となる。前者では語り手が感嘆符をつけ、後者では David が感嘆符を使っている。

2016-01-30 11:54:54
akihito suzuki @akihito_suzuki

これは、イギリス英語がピリオドについて使っている規則を、アメリカ英語が感嘆符と疑問符について使っているが、アメリカ英語はピリオドについてはその規則を無視しているということになる。この点については、アメリカ英語は「いい加減」であり、そう考えているアメリカの言語学者も多いとのこと。

2016-01-30 11:58:13
akihito suzuki @akihito_suzuki

私が持っているシカゴ・マニュアルの14版の5.13では、<たしかにアメリカ英語の規則はいい加減である、しかし、一世紀半にわたって用いられてきたこの規則で、深刻な誤解が発生したことは、ピリオドについてはないだろう>というような内容のことを言って、正当化している。これも一つの考え方。

2016-01-30 12:03:01
The Chicago Manual of Style

Univ of Chicago Pr (T)

akihito suzuki @akihito_suzuki

ピリオドと引用符の順序について渾身の力を込めた解説をした。どちらが合理的とかについて、私はイギリス英語の方が合理的だと思っているから大演説をしたけど、そんなことどうでもいいから、校正者の指示に従って原稿を仕上げましょう(笑)

2016-01-30 12:08:06