東電福島第一原発事故で飛散した放射性物質を含むガラス形態の微粒子について

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森口祐一 @y_morigucci

要約2:発表概要 ○事故直後に,つくば市で採取された大気粉塵の中に強い放射能を持つ微粒子を発見 ○SPring-8において複合的なX線分析を行った結果,核燃料であるウランとその核分裂生成物を含むガラス粒子であることが判明 ○粒子の化学的性状から,事故当時の炉内の状況等を考察可能に

2014-08-09 21:41:57
森口祐一 @y_morigucci

要約3:本研究の目的 【目的】「セシウム・ボール」の化学的性状の解明 化学組成:どんな元素が含まれているのか 化学状態:含まれている元素はどんな状態にあるのか 結晶構造:粒子自体は結晶構造を持つのか

2014-08-09 21:42:37
森口祐一 @y_morigucci

要約4:分析した試料 気象研究所で原発事故後に採取された放射性大気粉塵粒子 通称セシウム(Cs) ボール全3点を分析 3/14夜~翌朝にかけて捕集された大気粉塵フィルター上から,強い放射性を持つ粒子(Csボール)を3点採取 電顕により観察⇒ 全て球形で,粒径2 μm前後

2014-08-09 21:45:33
森口祐一 @y_morigucci

要約5:Cs以外の重元素を含むと何が言える?(その1) 揮発性の高いCsだけでなく,U燃料や多くの核分裂生成物も粒子中に含まれる⇒事故当時,「燃料であるUが大気粉塵粒子として外部へ直接的に飛び出す程度に,格納容器が損傷していた可能性」を示唆

2014-08-09 21:46:20
森口祐一 @y_morigucci

要約6:Cs以外の重元素を含むと何が言える?(その2) 粒子に含まれていたのは燃料由来の元素だけでない(ケイ素Si, 鉄Fe, 亜鉛Znなど)⇒ メルトダウン時,燃料周辺だけでなく容器や建造物も含めて熔けて混ざり合っていた

2014-08-09 21:46:54
森口祐一 @y_morigucci

要約7: 本研究で明らかになったこと(その1) ・福島第一原子力発電所事故直後に,つくば市で採取された放射性大気粉塵(通称セシウムボール)を大型放射光施設「SPring-8」で分析 ・核燃料であるウランとその核分裂生成物を含むガラス粒子であることが判明

2014-08-09 21:48:29
森口祐一 @y_morigucci

要約8: 本研究で明らかになったこと(その2) ・この粒子の放出当時,燃料だけでなく容器など構成物も含めて熔融状態にあり,それが直接的に大気中に放出される程度に格納容器が損傷を受けていた可能性→直径2μmの粒子の非破壊分析から,事故の初期状況に関わる重要情報を引き出すことができた

2014-08-09 21:50:03
森口祐一 @y_morigucci

要約9:課題・今後何をすべきか(その1) 放射性物質そのものの性状に関する正確な理解は,事故後の放射性物質の放出・拡散シミュレーションモデルの精度向上に繋がる

2014-08-09 21:50:42
森口祐一 @y_morigucci

要約10:課題・今後何をすべきか(その2) ○粒子の危険性の正確な評価や起源の検証を行うには,ウランを含む各元素の具体的な濃度など,より定量的なデータの提示が必要となる⇒ 現在さらなる研究を進行中 ○同様の性状を持つ粒子がつくば以外の地域にも存在しているはず⇒ 分析・比較

2014-08-09 21:51:35