- tasobussharima1
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ガンジーは耳を疑った。得度兵器から徳ジェネレータを取り出して、使えるようにした?僅か半日足らずの間に? 「……お前、何者なんだ」 「ノイラ・H・S。今はそれ以外の何者でもない」 「うさんくせぇ……」 思わず本音が言葉に出る。この女が只者ではない事実だけが積み上がっていく。
2016-02-06 21:32:04「失礼だな。私はこう見えても、君達よりはだいぶ年上だぞ」 「じゃあ、幾つなんだ?」 「乙女の秘密だ」 「乙女って年じゃねぇだろ……」 相変わらずの、どこかピントのずれた会話。得度兵器を破壊する戦闘力も、分解する知識も。まるで彼女にとっては当たり前のことのようだった。
2016-02-06 21:36:03それが歪さを際立たせる。彼女が『有るはずの無いもの』である歪さを。だが、そこでガンジーの思考は一度途切れた。 「女性に年齢を聞いてはいけない。まして、歳の話で馬鹿にしてはいけない。これは旧時代からのエチケットでな?」 後ろに回り込まれている。身体が動かない。腕を押さえられている。
2016-02-06 21:40:06「やめろ!ちぎれる!物理的に腕がちぎれる!」 万力のような力で、みしみしと腕に力が加わる。膝の上のガラシャは、そんなことをお構いなしに寝息を立てている。 「わかったか?」 「わかった!わかった!」 「ならよし」 腕の力が緩められる。ガンジーは嘗て無い身の危険を感じていた。
2016-02-06 21:44:02…当人が周囲より低いとはいえ、高徳度社会に生きてたガンジーは、強さに対して脅威を感じる事が出来ない…いや、かった? あの戦闘力がこっちに向いたらどうなるか、なんて人間的なモノに対して考えられなかったか #徳パンク
2016-02-06 21:45:06ここまでミラルパ老と一緒に暮らしてた人以外ほとんど女性が出てこなかった反動が一気に来てるかのようだw #徳パンク
2016-02-06 21:46:01「ハァーっ……ハァ……付いてるよな?俺の腕、まだ肩に付いてるよな?」 思わず腕を確かめるガンジー。 「安心するといい。卵を割る程度の力加減は出来る」 悪びれないノイラ。 「それ力加減できてねぇんじゃねぇのででで!降参!降参だからやめろ!その関節はそっちには曲がらねぇから!」
2016-02-06 21:48:03…そう、これだけの力関係… こんなウェイストランド級世紀末文明消滅社会だったら、隷属させられて不思議のない状況なんすよ… #徳パンク
2016-02-06 21:49:59喧騒で目を覚ましたガラシャが、寝ぼけた顔でガンジーを見上げる。 「君のようなタイプの人間は、最初に身体に言い聞かせるのが一番だと知っているのでね。今後、私に失礼な言動をしないと誓うか?」 「はい」 少なくとも、逆らう真似だけは絶対にしまいとガンジーは深く心に刻み込んだ。
2016-02-06 21:52:02「それより、会議に出なくていいのかよ」 「話し合うことも特に無いのでね」 「いや、でもあのデカブツの分け前とかあるだろ……」 「得度兵器の炉心を改造して、徳エネルギーが使えるようにはした。残りのパーツは代金代わりに頂く。後は知らん」 「そういうもんか」 「それ以外に、何がある?」
2016-02-06 21:56:02あ、そういう形になったのか。とりあえずこの街もいきなりエネルギー難ということにはならずに済んだんだな。良かった良かった #徳パンク
2016-02-06 21:57:26ガンジーはノイラという人間……人間?の異質さに触れたような気がした。 彼女は、一人で完結してしまっているのだ。徳という倫理観を歯牙にもかけていない。果て無く徳を積み上げる人間でも、徳に背を向け足掻く人間でもない。 だからこそ異質であり、だからこそ……どこか、恐ろしいのだと。
2016-02-06 22:00:16