Love me Do(後編)

りえぷぅ @riem124blue

222 錦戸「あっ、甘酒あるぅ♪寒いからさ、飲まへん？」 ◇◇「うん、飲む！」 錦戸「ほな、そこ座って待っとって！」 言われた通り近くのベンチに座る。 その時、隣に誰か座ってきて、話しかけられる。 「誰か待ってはるんですか？」 どこかで聞いたことある声。

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223 ◇◇「部長！」 隣に居たのは、ニヤニヤした部長！ 渋谷「なんや、おまえ、肌ツヤえぇんちゃう？」 ◇◇「なっ！なんですか、それ！」 渋谷「幸せそぉで良かったな、ってことやんけ。」 部長がいるってことは…。 慌てて亮くんの後ろ姿を確認する。 あぁ…やっぱり…。

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224 彼の隣には□□の姿が。 やだっ……亮くんの隣で笑わないで…！ 渋谷「……おまえ、なんでアイツのこと嫌ってんねん？」 ◇◇「……えっ……？」 渋谷「意外か？俺が知っとんの。」 “意外”って…そんな問題じゃない…！ 隠し通せてる自信あったのに…よりによって部長に…！

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225 じゃあ…□□も知ってるってこと…？ “トモダチのフリして何？”って思ってた…？ 渋谷「どんだけアイツのこと見てる思てんねん…そらアイツに向けられる好意とか敵意も…ちゃんと分かるわ…。」 そんな……。 渋谷「…安心せぇ…アイツも…亮も気付いてへんわ。」

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226 でも部長は気付いたんでしょ…？ だったらあの２人だって…ホントは気付いてるのかもしれない…。 渋谷「……ヨコがな……、その…おまえ入って来た時、随分変わった子入れよったなって、俺は思てん。なんや、素直なようで作られたようで…亮にあんな言われて…普通ヘコむやろ。」

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227 確かに随分な態度、言われようだった。 渋谷「でもおまえは、全然怯まんと、いつも全力やった。よっぽど好きなんか思たけど…なんかそうでもないってか…たまに業務的みたいな…よーわからんけど、なんか変やなって。そしたらアイツを見る目…正直ギョッとしたわ…。」

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228 見られてないと思ってたのに…。 渋谷「でもな、今までヨコの人選に間違いは１回もないねん。やから…おまえは悪いヤツとちゃう。なんか…事情があるんとちゃうか？」 ◇◇「・・・・。」 そんなの、言えるわけない。 渋谷「告げ口なんか悪趣味なことせーへんから、言うてみ？」

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229 ダメ……言えない……！ 渋谷「……ま、えーわ…言いたなったらいつでも聞くから…１人で抱え込まんといつでも言いや…？その方が気がラクになるんとちゃうか…？」 部長の目は真剣で、どんな心も見透かしそうなくらい真っ直ぐで鋭かった。 でも、声は優しくて落ち着いていた。

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230 錦戸「おまたせー！！部長！あけましておめでとうございます！！」 渋谷「おぉ、おめでとー。」 □□「おめでとう！」 あたしに向けられる言葉。 真っ直ぐ見れず、小さい声で返した。 錦戸「はい！あったかいで！」 受け取った甘酒はあったかくて少しホッとした…。

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231 錦戸「こんな人いっぱいやのに、会うやなんて、」 渋谷「行くわ。」 錦戸「え？！」 渋谷「せっかくのデート邪魔するほど野暮ちゃうわ。俺やって邪魔されたないし！じゃあ、明日会社でな！」 部長は早口でそう言いながら立ち上がった。

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232 たぶん２人は気付かなかったけど…あたしの肩に優しく手を置いてから去ってった…。 錦戸「なんやーもぉー…。ふふ…それにしても、ほんま仲えぇな？」 ◇◇「…りょーくん…、」 錦戸「どしたん？！なんか元気ないやん！具合悪なった？寒い？！あ、人に酔ぉた？！」

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233 ごめんなさい…なんか、デートを楽しめるような気分じゃなくなった…。 ◇◇「…そうかもちょっと疲れちゃったみたい…。」 錦戸「ほんなら、帰ろ！！行こ！！」 せっかく並んで買って来てくれた甘酒もそこそこに、彼に腕を引かれて立ち上がった。

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234 車に戻って、そのままウチに向かって走ってくれる。 部長にあんなこと言われて、頭の中はグチャグチャなのに、やっぱり亮くんと離れるのはイヤだな…。 明日またすぐ会えるのに…。 あっという間に到着。 錦戸「大丈夫？車酔わへんかった？」 ホントに優しい…。

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235 ◇◇「大丈夫だよ。」 シートベルト外して、心配そうな顔で覗き込んでくる彼に、精一杯の笑顔を見せた。 錦戸「そんならえぇけど…。」 それでも心配そうにして、背もたれに背中を戻した。 帰りたくないなぁ…。 無言の車内。 なんだか素直に車降りれなくて…。

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236 でも、このままこうしてるわけにもいかないし、グチャグチャになった頭の整理して、明日はきちんと仕事しなきゃ…。 小さく息を吐いてシートベルトを外した。 ◇◇「亮くん、行くね？」 錦戸「……行くん……？」 なんか、泣いちゃいそうな顔…。

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237 ◇◇「やだ……そんな顔しないでよ…。」 言いながら手を伸ばして彼の肩に顔を寄せた。 錦戸「…俺どんな顔しとるん…？」 優しく抱きしめてくれる。 ◇◇「帰したくないって顔…。」 錦戸「ふっ、ほんま？…ダッサイな、俺…。」 ◇◇「そんなことないよ、嬉しい…。」

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238 錦戸「なんやろ俺…たった２泊だけやのに、おまえがおるんにすっかり慣れてもーたみたいや…。」 ◇◇「さびしいってこと？」 錦戸「アホか…そんなんちゃうわ…。」 アホって何回も言われたけど、今までとはホント違う…なんとも優しい“アホ”…。

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239 抱き合ったまま、また無言になっちゃう…。 ダメ…このままじゃ、ホントに帰れない…。 ◇◇「亮くん…、」 彼の胸を押して、離れようとした。 でも後頭部に手を当て引き寄せられ、キスされた。 長くて甘いキス…。 やっと唇が離れたと思ったら、おでこがコツンとぶつかった。

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240 錦戸「…ほんなら、また明日…会社でな？」 ◇◇「……ん……。」 彼の腕から手を離しかけたら、もう一度チュッと短いキスをして、彼は笑った。 あぁ…もぉ…色々考えてた自分が馬鹿みたいだ……。 変わりたい…………。

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241 ―――――― 横山「あけましておめでとうございますー。えー、短い正月休みでしたけど、とりあえず今日初売りやって、あとは各々、なるべく被らへんように、２日休み取ってもらってえぇんで…予定表は？…あ、☆☆が予定表作ってくれるんで、それでも見て決めてな？」

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242 そうか、あと２日、通常公休にプラスして休めるってことか…。 チラッと亮くんを見る。 真剣な顔で社長の話を聞いてる…あ、あたし見てるの気付いた。 あっ！ こういうの、また怒られちゃう！ 慌てて目を逸らした。 村上「ほんなら店開けてやー！」

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243 専務の声で亮くんと安田さんがシャッターを上げた。 渋谷「亮、ヤス、今日外回りないんやろ？」 安田「行っても誰もいてへんし(笑)」 錦戸「なんかあるんすか？」 渋谷「特売品の品出しとか色々手伝って。」 錦戸「もちろんえぇですよ！」 亮くん、お店にいるんだ…。

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244 あ、いけないいけない！ 今は仕事中！ 結局、お店に一緒にいても、話をすることもほぼ無いまま、お昼も別々で、１日が終了した。 でもなんか、チラチラと彼の顔を見ることができて、それはそれで幸せな気分だった。 シャッターを閉めて、いつものようにみんなで「お疲れさま」。

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245 このまま帰るのかな…って亮くんを見ると、彼もあたしを見ていた。 彼が何か言おうと口を開きかけた時、それより先に安田さんの声。 安田「ちょっと！お２人さん、お話あんねんけど！」 錦戸「はぁ？」 ◇◇「えっ？」 腕組みして仁王立ちの安田さん。

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246 安田さんのすぐ後ろで〇〇さんはくすくすと笑ってる。 安田「ちょ、大倉んとこ付き合うて！」 錦戸「…えぇけど…店開けとんの？」 安田「はっ！！聞いてへん！どぉかなっ？！」 仁王立ちから慌てて電話をする安田さん。