大まかなあらすじ
普段は住む世界の違う上司と部下でしかない、マフィアと班長。ある日、班長は血だらけで倒れているマフィアを見つける。捨て置けず闇医者に見せると、怪我の他に目に傷があるという。連絡先も分からず、班長は仕方なくマフィアを自分のアパートに連れ帰った。 「あんたは……」
2016-02-27 03:17:54班長は彼に「一」と名乗る。住む世界も違う、生きている場所も違う、そしてなによりマフィアに関わる気はなかったのだった。目の見えないマフィアを匿いながら、二人暮らしが始まった。 思いのほか、その同居生活はうまくいった。マフィアは「一」に感謝し、手持ち無沙汰の話し相手を求めた。
2016-02-27 03:22:25マフィアは組織に連絡を取れないことを危ぶんでいたが身一つで倒れていた彼にはどうしようもなかった。敵対組織に足が付けば班長にも迷惑がかかる、後で必ず礼をするから、と頼み込み班長と同居を頼み込んだ。本当は出て行って欲しかった班長だが、帰った家に点いた灯と「おかえり」は気をくじかせた。
2016-02-27 03:25:52班長の仕事は過酷だったが、子ども時代ですら経験のない「人との生活」は暖かく、班長の心をひどく潤した。マフィアは闇社会の人間とは思えないほど「一」に対しては人間的だった。かつて工場で見た非人間的な彼もまた彼の一面だと心に留めながら、班長は彼との生活がかけがえのないものになってゆく。
2016-02-27 03:28:07「一、君は何をしている人なんだ?」「ただのしがない努め人だよ」「そうか、俺は」「いい、いい。どうせろくな仕事じゃないでしょ」「うっ、そう言われると返す言葉もないな」「僕も深入りしないから。さっさとご飯食べなよ」「ああ、ありがとう。美味しいな」「……そう」
2016-02-27 03:31:54そんな日々が終りを告げたのは、あと少しで目の包帯も取れようとする、秋の終わりだった。マフィアの敵組織にマフィアの居場所を知る者として捕らえられたのだった。班長は咄嗟にマフィアに警告を送るが、囚えられて拷問にかけられそうになる。 班長の警告にカラ松は包帯を外して味方に連絡を取る。
2016-02-27 03:39:23「生きてたのかお前!」「悪い兄貴、あとで説明する。俺を助けてくれた奴が例の組織に捕まったんだ、助けてくれ」「はあ? お前カタギに匿われてたの?」「ああ、そうだ。彼がいなければ死んでいた」 兄に助けを求め自分も銃を携えて班長の後を追う。 見つけたボロ工場でマフィアは班長を助け出す。
2016-02-27 03:43:56初めて彼の顔を見ようとしたとき目が痛み始める。治りかけの無理が祟ったのだろう。「一」は彼に駆け寄って支える。初めてこれほど傍に寄り、マフィアの鼻を擽ったのはどこか覚えのある匂いだった。しかしすぐに味方が到着しマフィアと班長は引き離される。それ以来マフィアは彼に会うことはなかった。
2016-02-27 03:47:43そのあと数ヶ月ぶりに工場の視察をするときに「一」の匂いがここの匂いと同じだったことに気がついたり、巧妙に住所を隠されていて探せないことに気がついたり、班長と顔を合わせるけど、マフィアは気がつかなかったり、一人さみしい家でさみしさに打ちひしがれそうになってる班長がある。
2016-02-27 04:06:11そのあとで、班長が「一」だったってことに気がついて、ハッピーエンドになるといい話。 カラ一とか一カラにするんだったら、目の見えない状態の時に体の関係があったり、実はマフィアの小奇麗さに憧れてた班長がいたり、恋人みたいに同居してた時期があったりと+αでご要望にお答えできます。
2016-02-27 04:08:54実は六つ子なんだけど、施設にバラバラに放り込まれてて、全く別の人生を送ってる六つ子とかね。長男は養子先がマフィアで、次男も別のマフィアで今は統合。三男は心の壊れた人形官僚で四男はブラック工場班長、五男は警官、末弟はずるずるとホストしてるとかかな。
2016-02-27 04:12:39イベント
傷跡と慈しみ
一松の半生と傍聴者カラ松
マフィ班イベントその一。ある夜に班長の半生を聞くことになる。交通事故で両親を亡くし、兄弟と離れた施設に入ることになった班長は、しばらくは幸せな生活をしていた。兄弟には合いたかったが、いつか会えると信じて日々を過ごしていた。変化したのは、施設の院長が変わってからだった。
2016-02-28 22:56:47過度に利益を追求しようとするあまりに、引き取りすぎた児童で施設の環境は悪化し、職員の手も足りずに子供の素行も悪化、班長は当時年長の部類に入り、子供の面倒をよく見ていたが、それが院長の目にとまってしまった。
2016-02-28 22:58:49院長は彼の性質に目をつけ、様々な雑用を押し付け、人に引き取られることのないように自分の養子にまでした。子供たちは「寄付金」と引き換えにろくな調べもなく様々な家庭に引き取られていった。院長の浪費グセによって借金を抱え込むようになったのはそれからすぐだった。
2016-02-29 00:26:11班長が中学3年の夏の事だった。借金でいよいよ首が回らなくなった院長が、班長の内蔵を売る契約をしていた。腹を裂き、肝臓を三分の二、腎臓をひとつ、誰ともしれぬ御曹司のために売り渡した。直後の敗血症で死にかけているうちに、中学は卒業式を過ぎていた。
2016-02-29 00:30:28院長が首を吊って死んだと言う知らせを告げたのは、院長が金を借りた闇金融の男だった。男は班長にのしかかった借金を告げて去る。施設に帰るが、院長の養子であった班長に向けられる目は冷たいものだった。
2016-02-29 00:35:41行き場を無くし、借金を抱える班長に闇金融の男(いやみ)が差し出したのは、ブラック工場の推薦状だった。班長は当座の返済のために、背中の皮膚を切り取られて、ブラック工場に叩き込まれた。
2016-02-29 00:37:04逃げる場所も帰る場所も、出て行って生きる場所もなく、班長はそれからずっとブラック工場で働いていた。 そうマフィアに告げると、マフィアは痛ましげな表情を浮かべた。しばらくの沈黙のあと、君の傷を見せて欲しいという。
2016-02-29 00:40:11見せるといっても、彼の目はまだ包帯で覆われている。マフィアの男の願いに負けて、班長は服を脱いでそれに応じた。深夜、灯もない小さな部屋の中でマフィアの男の手が班長を労わる様に肌を滑った。班長が経験したことのない奇妙な感覚だった。慈しまれている様な感覚に身じろぎをする。
2016-02-29 00:44:51この十年のうちに幾度かに分けて切り取られた体の皮膚の境目を、マフィアは撫でるようになぞり、腎臓と肝臓の手術跡にも指先をすべらせた。心地よいからこそ、恐ろしくて逃げ出したくなるような触れ合いに、班長はひたすら身を強ばらせるばかりだった。(からいちルートに入る場合はおせっせする)
2016-02-29 00:48:32四号機を点検せよ
マフィ班イベントその二。ある日、班長がひどく憔悴した様子で帰ってくる。いつも入って帰る銭湯でも洗い流せない血の匂いに、臨戦状態になりかけるマフィアを制して、班長は「機械の誤作動だ」といった。「人が死んだのか」「……ああ、“プレス”された」その言葉にさすがのマフィアもぞっとする。
2016-02-29 00:52:35しかし、班長の憔悴は作業員の事故死が原因ではないようだった。「あいつも、口答えなんかしなけりゃ」酒を煽る班長の言葉に、マフィアは不穏なものを感じて問い詰める。やけ酒を煽る班長は自嘲的に笑って、答えた。「『四番機の点検をしてこい』……そう言われた奴が死ぬんだよ。みんな知ってる」
2016-02-29 00:55:43