プシュケ

はち公。 @funkastic_8er

26 ［とりあえず、最低限は できるようになりましたね。 ･･･隆平に次の段階を習いなさい。］ それだけ言って立ち上がり 部屋を離れた 「･･･へ？」 いまの･･･いまのって 呆然としている私の元に 隆平さんがやって来た 《希子さん？どうされました？》 #プシュケ

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27 「隆平さん！今の聞いてた！？」 《･･･はい》 「いまのって！ お母様なりに少しは 褒めてくださったのかな！？」 《･･･私にはそう聞こえましたよ？》 「やったぁぁぁ！！！」 思わず私はバンザイ！ 「見たか隆平さん！ 私もやればできるのよ！」 #プシュケ

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28 どや！隆平！！ さぞ悔しかろう！！！ その、悔しそうな顔が見たくて 私は彼を見る そしたら･･･ 「え･･･」 今まで見たことないくらい 穏やかに笑ってて 《頑張りましたもんね。 こんなに健闘するとは 正直思いませんでした。》 って･･･ #プシュケ

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29 『隆平は優しいやろ？』 ────あ もしかしてこの人 私の為に厳しかったのかな お母様の迫力に負けないように きつい事言ったのかな そう考えれば この笑顔にも合点がいく 《さ、希子さん。 片付けしましょう。 次は夕飯準備の手伝いですよ。》 #プシュケ

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30 テキパキ片付ける彼に 「隆平さん･･･ありがと」 って呟く そしたら彼、少し驚いて それからまた笑って 《始まったばかりですよ？ 次からはもっと厳しくします。》 その言葉にはもう 悪意を感じなかった #プシュケ pic.twitter.com/EO8kRKzUuY

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31 ･･･その日以来 お屋敷での生活は 少しずつ楽しくなってきて 「隆平さん見て！合格？」 《不合格です。やり直してください》 ドSと思った言葉も平気になったし 何より･･･ 《まぁ先週より 良くなりましたけどね》 隆平さんは前よりも笑うようになった #プシュケ

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32 「隆平さん！次の予定は？ お掃除の手伝いだったかな？」 《元気ですねぇ･･･じゃあ今日は 母屋の掃除でも してもらいましょうか。》 「母屋！？」 それは、私の部屋とは違う場所。 この屋敷の主だけが住む空間。 ────きみくんの部屋もそこにある #プシュケ

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33 《･･･その顔。変な事考えました？》 「え！？」 《今、侯隆様の部屋を 掃除したいと思いませんでした？》 「げ･･･」 ────バレたか。 だってきみくんの部屋見たことない いつも私の部屋に来てくれるから 「怒られるかな？」 きみくん、嫌かな？ #プシュケ

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34 しょんぼりしてると 隆平さんは笑って 《大丈夫でしょう。 きっと喜ばれますよ。》 と、頭をポンポンしてくれた。 ･･･うわ。この感じ。 たまに優しいとカッコイイ/// (きみくんの方がカッコイイけど！) そんなこんなで 私はきみくんの部屋へ･･･ #プシュケ

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35 「ひっろ･･･」 きみくんの部屋は 私の部屋より広くて なんかどこかの大企業の 社長室みたい。 《掃除用具取ってきますから ･･･絶対この部屋を 出ないでくださいね？》 「はーい！」 私は適当に返事して 部屋を見回すのに夢中になった。 #プシュケ

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36 きみくんの部屋･･･ ほとんど帰ってこないだけあって 生活感がない 最低限の家具と 仕事の為の書類や本が整えられた本棚 なんていうか･･･ 「スキがないなぁ･･･」 って感想。 そう言えば何度か行ったマンションも こんな感じだったなぁ･･･ #プシュケ

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37 そうなってくると 何か見つけたくなるのが 人間の悲しいサガで とりあえず本棚の本を手に取ってみる 「エッチな本あったらどーしよ♡」 なんて悪ノリwww ･･･だけどそんなもの 出てくるはずも無く 「ちぇ･･･」 と何冊目かの本を片付けた時･･･ #プシュケ

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38 「ん？」 ･･･ヒラヒラと 一枚の紙切れが滑り落ちた 「写真･･･？」 拾い上げるとそこには 「きみくんと･･･隆平さん」 2人は肩を組んでピースしてて 今とは違う友達みたいな感じ そして･･･ 2人の間で楽しそうに笑う 女の子が1人 #プシュケ

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39 「誰･･･？」 ────呟いた瞬間 ジャラ･･･ 「え？」 金具がぶつかり合う音が かすかに聞こえた たぶん部屋の奥にある 扉の向から 「何の音･･･かな」 恐怖心より 好奇心が勝って ゆっくりと扉に近づく そして ドアノブに手をかけ･･･ #プシュケ

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40 《希子さん！》 大きな声に呼び止められ ビクッと震える 《何してるんです！？ この部屋だけと言ったでしょう？》 隆平さんは 今まで見たことの無い剣幕で 「や、その･･･音が･･･」 なんとか返事をする ･･･隆平さんは 私の手にある写真を奪うと #プシュケ

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41 《こんなもん･･･まだあったんか》 と、ぐしゃぐしゃと握りつぶす 「あ･･･そんな」 《もう、ダメです！ 離れに戻ります！》 隆平さんは私の手首を掴むと そのまま離れまで強引に連れていく 「痛い！痛いよ！！」 そう言っても止まってくれなくて #プシュケ

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42 ようやく私の部屋について 手を離してくれた 「あ･･･」 手首は真っ赤になっていて 《申し訳ありません。 貴方から目を離した私が悪かった》 隆平さんは軽く頭を下げると 部屋を出ようとした。 「待って･･･」 堪らず服を掴んで引き止める #プシュケ

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43 「あの写真･･･何？ それにあの女の子は誰？ あの扉の向こうには何が･･･」 思いのまま問い詰める私を 彼は強引に引き寄せ 「んっ」 力任せにキスして 喋られないようにする 「う･･･ん！！」 ･･･何とか離れたものの 口の中はじんわりと血の味 #プシュケ

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44 睨みつけた先の隆平さんは 初めて出会った時と同じ顔で･･･ 《女はすぐ調子に乗るから ほんまめんどくて嫌いやわ･･･》 「なっ･･･」 悔しくて手を上げるも あっけなく捕まる 《希子さん この屋敷で平穏無事に過ごしたい？》 「そりゃ･･･もちろん」 #プシュケ

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45 《なら･･･簡単なルール覚えとき》 それを聞くのが･･･怖かった 《────この家の者に 深入りするな。 ええか？何でも知りたいバカは 痛い目みるで？》 言い放つその目が ゾクゾクするほど冷たくて 彼が居なくなってからも 体は固まったまま･･･ #プシュケ

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46 「何よそれ･･･」 声が震えてる 「私も･･･この家の者に なる予定なのに？」 いったい･･･何があるっていうの？ ────私が知ってはいけない ふたりの秘密は･･･ 何？ #プシュケ pic.twitter.com/GP1ecKJSrW

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47 ちょうどその翌日は土曜日で きみくんが帰ってきてくれた。 『希子？どないしたん？ なんや･･･元気ないな？』 「あ･･･うん･･･」 聞きたい事は山ほどあるのに 《深入りするな》 って隆平さんの言葉が刺さって 思わず口ごもる。 だけど･･･ #プシュケ

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48 『･･･こら。希子。 俺に隠し事なんか出来へんやろ？ ちゃんと何あったか言うてみ？』 その優しい声と瞳を前に 私は丸裸で 「あの･･･ね？」 少しずつ昨日あった事を ･･･見た事を きみくんに話し始めた。 写真で仲良く映る3人 物音のした扉の向こう #プシュケ

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49 ひと通り話すと きみくんはお腹を抱えて笑って 『そんな事あったんやwww』 「笑い事じゃないよ･･･ 隆平さん、ホントに怖かった･･･」 『ふーん？』 するときみくんは立ち上がり 私を手招く。 「？」 『言葉で説明するより 見た方が安心やろ？』 #プシュケ

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50 そう言うと 私を母屋の部屋に連れてきてくれた。 そして、なんの躊躇いもなく 部屋の奥の扉に向かう。 『普段は鍵かけてんねん』 と、おもむろに出した真鍮の鍵で 錠を解き扉を開く 『さ･･･どうぞ？』 ────ゴクリ 何となく唾を飲んで 私は中を窺う #プシュケ