【レッズ・エララ神話体系】時雨とエヴィル ~人斬りお嬢と変態天才黒魔術師 第1話「エヴィルの手記」
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「いいか、学問も、魔術も、ひとつの”見方”に過ぎん。世界をよりくまなく見通せるレンズじゃないんだ。お前さんがこのままいくら魔術や学問を覚えていっても、そのままではどこへもいけない」 「……バカにしてんのか」
2016-02-29 01:05:06「バカにしてる奴にこのことは言わん。このナイスガイはな……お前にもっと広く、深く、圧倒的に世界を見通してほしいと願っているんだ」 「え……」
2016-02-29 01:10:03「学問も、魔術も、一つの見方だ。だが、それが一つの見方だと知るには、他の見方も知らなきゃならない。そもそもだな。魔術に白/黒って区分けがある時点で、魔術のなかにも無数の”見方”があるって証左だろう。弱めの黒魔法・ファイアと強めの白魔法・暖気法は実際のところは同じ……ってことは、
2016-02-29 01:13:07「いいか、まったく同じことがセカイにおいても言えるんだ。お前が学問や魔術的にレベルが高い、と思っているものが、実は他の体系から見て、実はすっげえレベル低い、ってことがある。逆もまた然り。あるいは、もっと他の見方からしたら、どっちもどっちのレベルの低さってこともあるんだ」
2016-02-29 01:19:02「統合比較学際的アプローチ……」 「たとえば、学問の世界では、その言い方は適切だが、普通の世間では、その言い方は不適切なんだ。わかるか?」 「物事を全部、世間なみに簡単にいえっていうのか?」
2016-02-29 01:23:02「その世間を、お前さんの天才で、もーーーーーーっと深く探ってみてはどうか?って話だよ。お前、こういう世間とかバカにしてんだろ」 「そりゃそうだろ」
2016-02-29 01:25:02「ところが面白いものでな。数学の確率論がバクチのテクニックから始まったように。あるいは経済学の欲望選択がバクチの精神からはじまったように」 「……」 「まあようはネタは世界中にあるってだけの話だ。お前は、どうも学問や魔術という領域の見方しか持ってないように見えるからな」
2016-02-29 01:29:02レッズ・エララ神話体系 中世篇「時雨とエヴィル ~人斬りお嬢と変態天才黒魔術師」 第1話「エヴィルの手記」(3)ナイスガイは師匠だったのか!!! (4)に、第1話、もうちょっとだけつづきます。
2016-02-29 01:31:03第1話(4)「肉体で思考する人間、の示唆/エヴィルの師匠」
【告知】レッズ・エララ神話体系は、まだ模索中の小説アカウントです。たぶん一生模索し続けることと思います……文体を。語るべき内容は決まってるんですけどねー。で、んなわけで、これから更新しますが、前回までと文体がおおいに違っています。チャレンジスピリッツと思ってください。
2016-02-29 12:01:47レッズ・エララ神話体系 中世篇「時雨とエヴィル ~人斬りお嬢と変態天才黒魔術師」 第1話「エヴィルの手記」(4)「肉体で思考する人間」の示唆
2016-02-29 12:02:33物乞いナイスガイとの問答は一週間続いた。ナイスガイ「肉体で思考する人間は強いぞ」エヴィル答えるには「それって脳筋ってだけじゃねえのか」「ハハハッ。だが、この手を極めた人間は強いぞ……例えばこのナイスガイやお前が思考するのが三秒だとしよう」「しよう」「奴らはコンマ1秒」「1秒」1
2016-02-29 12:09:18ナイスガイ「あいつらは”動く”ことで、我ら知者と同じ結論に至る。即断即決。悩みはない。何故なら”動く”ことが思考だからだ。論理の道筋は、指先の動き。反証は、身体の捻り」「……まさかそこまでは」「いるんだよ。そして覚悟決まったら、相手を蹂躙するだけ。覚悟とは結論の異名に過ぎない」2
2016-02-29 12:12:29エヴィル「そこに言語化がねえじゃねえか」「いや、それがミソなんだ。言語は崩せる。だが肉体は崩せない。よって肉体思考は原理的に、頭脳思考よりも強い……一度、こういう奴と長く接してみることを薦めるぞ。”知の最果て”ってもんをわかる」「脳筋に毒されてるだけじゃねえか?」「ハッハッハ」3
2016-02-29 12:14:48ほかにナイスガイと話したこと。エヴィル「どーしてナイスガイは物乞いしてんの」「人間を知るためだな」「普通に知れよ」「低きに自らを置くとな、どんな美少女も美女も美系も、馬脚を現すんだよ。なぜなら「堕ちた者は救われない」って価値観だからだ。お前もそうだろ?」「……」答えられん俺様。4
2016-02-29 12:17:02もちろん俺様(エヴィル)とナイスガイは、魔術の話もした。だが、ナイスガイは魔術の技術を教えず、心構えを教えてくれた。「一番危険視するときは、”魔術そのものが使えなくなるとき””魔力が完全に封鎖されるとき”だ」「それって空気が無くなるって話と同等だぞ」「……あったんだよ。怖え…」5
2016-02-29 12:19:20エヴィル「怖えな……」「だからこそ”そんなときでもどーにかする”技法ってもんを身につけなくてはならない。魔力を常日頃から、外部アイテムに貯めておくとかな。もっとも、”魔力絶ち・魔力斬り”をされたら、お前は丸腰だ」「あんのかよ」「脳筋……じゃねえ、”肉体思考”の連中は、稀にする」6
2016-02-29 12:21:57やがて、ナイスガイは、次の町に行く俺様を見送った。潮時だとかいうてた。「そろそろ凝りもほぐれただろ?」「マッサージかよ」……考えてみれば、ナイスガイは俺様にとって、初めての「師匠」だった。あの時は疑問に思っていなかったが、時が過ぎるにつれて、何度となくこう思った。それは……
2016-02-29 12:23:48「ナイスガイはどうして、俺様をそんなに気にかけてくれたのか?」 ……いくら天才とはいえ、13の餓鬼が、路頭に迷ってノタレ死ぬことくらい、あの賢人にはどーだっていいはずだ。なのに、ナイスガイはあんなにまでしてくれたのか。その理由を、俺様はこの手記を書いてる間ずーっと考えた。8
2016-02-29 12:25:34ひとついえることは。ナイスガイが言ったように、「肉体で思考する人間」に、次の町に至るまでの街道で、出会ったことだ。ナイスガイの指摘がなかったら、俺様はその人間を通りすぎていただろう。 ーーきっとナイスガイは今も物乞いをしてるか、あるいはもっとみっともないことを、わざとしている。9
2016-02-29 12:28:07ーー実は、その後の人生で、ナイスガイとはもう2回会うこととなったのだが、それはまた別の話。あのときの恩を返そうとしたが、二回とも呵呵大笑された。 ともかく……俺様は、ナイスガイが好きだった。俺様のはじめての師匠のことを。俺様がはじめて敬った他人のことを。10
2016-02-29 12:30:58レッズ・エララ神話体系 中世篇「時雨とエヴィル ~人斬りお嬢と変態天才黒魔術師」 第1話「エヴィルの手記」(4)「肉体で思考する人間」の示唆/エヴィルの師匠 第1話、終わり。 ーー次回、第2話「時雨との出会い」につづく……
2016-02-29 12:33:16【振り返り】最初の【告知】でいったように、文体を変えてみました。というかリアルタイムでtwitter執筆しました。今まではオフラインで書いてたものを投稿していたのです。どちらのほうがtwitter小説的グルーヴ感があるか、など、ご意見ありましたら、リプなり、タグなりでお寄せ下さい
2016-02-29 12:35:29