横山部長①【再会】

村上部長シリーズ 番外編 横山部長のお話
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クラゲの秘密のお部屋 @04_kurage

【横山部長 sideY ①】 "来週は突然の雷雨に気をつけて下さい" 何となく目にした週間予報は 8月の第1週の土日まで映してて そこが雨の予報だと聞いて思い出す 15年も前の事 そして同時に思うのは あの日2人で見れなかった花火の事 あの花火大会まだあるんかな

2016-01-14 00:39:04
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【横山部長 sideY ②】 そんな事を思いながら部屋を出た 「横山部長おはようございます」 会社のエレベーターの前で一緒になった安田 「おはようさん」 「今日ですよね?支社から人が移動してくるの」 「あ、忘れてた」 「すっごい美人って噂ですよ!」 何しに会社に来とんねん

2016-01-14 00:39:06
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【横山部長 sideY ③】 自分の席で移動してくる子の確認をする 全然情報やら見てなかった 「え?!」 まさかな、 アイツと同姓同名とか 田中なんて苗字いっぱいあるし違うはずや 『あのー…営業二課はこちらでしょうか?』 そう言って入ってきた子を見て俺は書類を落とした

2016-01-14 00:39:08
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【横山部長 sideY ④】 『あの…今日から配属されました田中です』 「噂通りの美人さんやん!」 なんていきなり言ってる錦戸にめっちゃ照れてる彼女 「部長ならあの人やで」 指の指された先にいる俺を見て 一瞬驚いた彼女 『よろしくお願いします』 止めを見ていった

2016-01-19 22:27:02
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【横山部長 sideY ⑤】 全然変わってない彼女 でも大人になって 綺麗になってた 15年ぶりの再会 ずっと会いたかった 俺の記憶から消えた事の無い彼女 あの日何で居なくなったんか 聞きたい事が思わず口に出そうになる 「よろしくな」 上司として迎え入れた

2016-01-19 22:27:16
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【横山部長 sideY ⑥】 会社の案内を他の子に任せる 「綺麗な人やねー」 と安田 「めっちゃタイプや」 と錦戸 「ええから仕事せえ」 2人に悟られへんようにするのが精一杯な俺 それから どうにか2人で話が出来ないか模索してみるけど 仕事中はあくまでも上司と部下で

2016-01-19 22:29:56
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【横山部長 sideY ⑦】 昼休みは仲良くなった子とご飯食べてるし 定時でスムーズに帰って行くし もしかしたら俺の事忘れたんやないかと思うくらい 彼女が来て1ヵ月くらい経った頃 「部長、今日田中さんの歓迎会しましょうみんな予定空いてるんで」 と言った

2016-01-19 22:30:03
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【横山部長 sideY ⑧】 急過ぎるやろ ディスクに置かれた書類の山を見つめる みんなに 「絶対来てくださいね」 って言われてる中 後ろで俺を見つめる目に気づく しばらく目が合ったあと出ていった彼女 静かになったオフィスで1人仕事をするけど

2016-01-19 22:30:10
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【横山部長 sideY ⑨】 全然集中出来ひんくて 幼い頃の記憶と彼女の表情が重なる 「あー。もうええわ」 適当に書類をカバンに詰めて会社を出る あの日みたいに会えないのだけは勘弁してや そう思って錦戸の指定した店へ急いだ

2016-01-19 22:30:31
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【横山部長 side S ①⓪】 支社から異動した日 本社に来たのは入社式以来で 緊張しながら異動先の部署に行く 入口でちょっと色の黒い錦戸さんが案内してくれて 「あの人が部長やで」 って言われて見たその先にいたのは 紛れもなく 1番会いたくて 1番会いたくなかった人

2016-02-03 02:56:31
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【横山部長 sideS ①①】 あれから15年 あの頃と変わらない白い肌の侯君 でも 仕事のできる 大人な男の人になってて 私の事覚えてるのかも分からないし 話しかけることが出来ないまま 何となく侯君を避けて過ごす 「田中さん、金曜日空いてますか?」

2016-02-03 02:56:33
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【横山部長 sideS ①②】 錦戸さんが歓迎会をしてくれるって言ってくれた 侯君は 「行けると思う」 って言って仕事の山を見つめてた 毎日残業してるみたいで 皆が帰る時間になっても仕事の手を止めてるのを見たことない 結局 「先行っといて」 って言っててみんなでお店に向かう

2016-02-03 02:56:35
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【横山部長 sideS ①③】 1時間経っても来ない侯君 あの時の想い出が蘇る 侯君約束守った事無いからな そんな事を思って進められるがまま沢山飲んだ 『すみません。ちょっと電話してきます』 足元がちょっとフラフラしながら店の前に出る あの日の事侯君は覚えてる?

2016-02-03 02:56:37
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【横山部長 sideY ①④】 店までの道をとにかく急ぐ 着いたと思った店の前に誰かしゃがんでて 近づくと彼女やった 「何してんねん」 俺の声で下を向いてた顔が 上を見て 嬉しそうに笑った 『あー。侯君だー』 相当酔ってるらしい彼女が 俺のスーツのジャケットの裾を摘んだ

2016-02-04 00:27:00
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【横山部長 sideY ①⑤】 「何してんねん」 2度目の問いかけに 『侯君待ってたのー。侯君遅いよー。あの時みたいに来ないかと思った』 「お前な」 『私ずっと待ってたんだから』 「は?俺も待ってたし」 お互い驚いた顔になる 聞きたい事は沢山あんねん 「おい、行くぞ」

2016-02-04 00:27:03
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【横山部長 sideY ①⑥】 店に俺だけ入って ビービー言ってる錦戸と安田を 諭吉さん置いて黙らす 外で大人しく待ってた彼女をたたせてゆっくり歩いていく 『侯君どこいくの?』 「送ってくねん」 彼女の手を引いて歩く 中学入る直前くらいから彼女は家に住むようになった

2016-02-04 00:27:05
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【横山部長 sideY ①⑦】 事情はわからへんかったけど 元々母親同士が仲良くて 小さい頃から知ってるし 何の抵抗もなかった 一緒に勉強したり 妹ができたみたいに嬉しくて 『侯君!』 っていつも笑顔の彼女がめっちゃ可愛くて 中学に上がると益々可愛くなって行った

2016-02-04 00:27:07
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【横山部長 sideY ①⑧】 だから 高校生になると一緒にいるだけで アカン目で見てしまうし よう一緒におられへんかった なのに 彼女も高校生になってすぐに 『侯君と同じところでバイトしたい』 って言ってきた でも恥ずかしいし シフトずらしたりしてた

2016-02-04 00:27:09
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【横山部長 sideY ①⑨】 やけど結局は心配で 彼女がバイト終わる時間に迎えに行くのが俺の日課になった 高校3年の夏休み 受験勉強にも励む中 『侯君、一緒に花火大会行こう?』 ここ数年はお互いの友達と行ってて 何年も一緒には行ってなかった 「ええけど」

2016-02-04 00:27:11
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【横山部長 sideY ②⓪】 『やったー!』 嬉しそうな笑顔で喜ぶ彼女を見て あー俺はやっぱりこの子が好きやって思った 『18時に神社でね』 わざわざ待ち合わせする事にして 少し早めに家をでた 途中露店で彼女に似合いそうなアクセサリー見つけた

2016-02-04 00:27:12
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【横山部長 sideY ②①】 「これ、下さい」 彼女の喜ぶ顔が見たくて そっとポケットにしまう 時間になっても来ない彼女 携帯なんてないし 境内で待つ俺 19時からの花火は開始10分前に降り出したゲリラ豪雨で中止になって 雨の中俺は家まで走った

2016-02-04 00:27:14
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【横山部長 sideY ②②】 家に帰っても 彼女がおるんかわからへん 部屋からは一切の物音もせんくて 机の上に買ったブレスレットを投げて 彼女に会う事なく寝た 翌朝 起きた時には家に誰も居らんくて ご飯の上に乗ってた 母親からの “美樹ちゃんを駅まで送ってきます” のメモ

2016-02-22 02:02:57
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【横山部長 sideY ②③】 その横に置いてあった彼女からの手紙 俺は急いで机に投げたブレスレット持って飛び出したけど 丁度見送りを終えた母親らが帰宅してきたところで それから先 彼女からの連絡もなくて あの日行けんかった花火大会が 近づく度に彼女を思い出してた

2016-02-22 02:03:00
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【横山部長 sideY ②④】 『ねぇ、いいの?飲み会』 「ええねん。お金置いてきたし」 手を握ったまま 路地を歩いて行く 『侯君が部長になってるなんて思って無かったし、まさかあの会社にいるなんて』 少し酔っ払ってる彼女が饒舌には話す 俺の家を出てから何してたんやろか

2016-02-22 02:03:01
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【横山部長 sideY ②⑤】 聞いてもええのか迷ってたら 少し下を向きながら彼女が話してくれた そもそも何で俺の家に住んでたのかから 幼くて知らなかった事や 会えなかった日々 ずっと手を握ったまま話を聞いてた

2016-02-22 02:03:03