横山部長①【再会】

クラゲの秘密のお部屋 @04_kurage

【横山部長 sideS ②⑥】 侯君と手を繋いで歩く 嬉しくて 昔の事を思い出してしまう お母さんとお父さんは昔は仲良くて いつも侯君の家族と遊んだりしてた けれど いつからか お父さんは家にいるの事が少なくなって 久しぶりに会ってもいつもお母さんとケンカしてた

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【横山部長 sideS ②⑦】 お父さんが帰って来なくなって お母さんはおかしくなっちゃって 侯君のお母さんが助けてくれた 侯君の家で暮らし始めて いつかお母さんが迎えにくるって思ってたけど 幼くてわからなかった事がたくさんわかるようになった時には お母さんはいなかった

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【横山部長 sideS ②⑧】 その後 お父さんがどうにか見つかって 侯君の家を出なきゃいけなくなって でも 侯君には言えなくて 花火大会を最後の思い出にしたかったけど… その後も色々あった お父さんは違う女の人と結婚してて その人との間に子どももいて

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【横山部長 sideS ②⑨】 私の居場所はなくて 侯君のお母さんは戻って来てもいいんだからね って言ってくれてたけど できなくて 我慢して 大学卒業と同時に家を出た それから1人 帰る場所も無くて ずっと1人で生きてきた… いつも寂しい時思い出してた 侯君の事…

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【横山部長 sideS ③⓪】 ずっと忘れてなかったから また会えたのかな そう言ったら 少し照れたように笑って 「俺もちゃんと忘れてなかったで」 って 神社が見えてお祭りをしてた 『あの花火大会まだあるの？』 「あるで。もう何年も帰ってないけど」

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【横山部長 sideS ③①】 『侯君来ないんだもん』 「行ったで？神社の境内の階段の上で待ってたし」 『え？私は神社の入り口にいた…』 会えなかっただけ あの後雨で中止になった花火大会 『花火…みたいなー』 そう呟いたら 「行かん？来週末あるねん」

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【横山部長 sideS ③②】 頷く事しか出来なかったけど 本当はすごく嬉しかった 「じゃあまた連絡するわ」 そう言ったのに 週の半ばになっても 侯君からの連絡は まだないままだった

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【横山部長 sideS ③③】 新調した浴衣を着付けて 頭を軽くセットする 昨日侯君から 集合時間と場所の連絡が来て ずっとそわそわしてた そこから眠れなくなって 遅刻しそうになるくらい 慌てて出かける 待ち合わせ時間より少し早く着いて侯君を待つ

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【横山部長 sideS ③④】 着いたって連絡した方が良いのかな… そう思ってスマートフォンを確認したとき 画面に落ちた水滴 『あっ…』 って思った時にはもう予想以上の土砂降りで 人が走って行く 私もどこかに雨宿りを でも また侯君と会えなくなるかも…

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【横山部長 sideS ③⑤】 そんな事を思って立ち尽くす 「何してんねん」 掴まれた腕と 頭の上で雨を防ぐ傘 「ごめん。遅なった」 あっと言う間に侯君もずぶ濡れになる 「とりあえず移動しよ」 だけど周辺のお店は 花火大会に行くはずだった人ですでにいっぱいだった

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【横山部長 sideS ③⑥】 「帰った方が早そうやな。送るわ。車で来てるし」 そう言って歩き出す侯君 『あの…侯君…』 「何？」 『帰りたくない…』 言ってしまった言葉… 「おまえ…まぁ…ん、ほなら…」 車で入ったのはそういうホテル

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【横山部長 sideS ③⑦】 「風邪引いてまう」 言い訳するように入って 大きな画面の前 「部屋決めて」 『私…？』 「うん」 『ここで…』 一番落ち着いた雰囲気の部屋 なるべく普通の部屋を選んだつもり 「これ、着替えい？お湯入れてくるわ」

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【横山部長 sideS ③⑧】 渡されたバスローブ そのまま再び浴室に消えた侯君 そっと浴衣の帯を外して それに着替える 「お湯溜まったし行っておいで」 紳士的な侯君 でももうずっと目を合わせてくれない 浴衣折角着たのにな… 私は顔までお湯に浸かった

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【横山部長 sideY ③⑨】 彼女が話してくれた話 大人になって少しだけわかってたけど あの時もし一緒に花火大会行けてたら ずっと一緒に過ごせてたんやないかと思って ちょっとだけ悔しかった 待ち合わせ場所で見つけた彼女は浴衣を着てて その姿にあの日を思い浮かばせる

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【横山部長 sideY ④⓪】 天気予報通りに降ってきた雨に打たれてる彼女 どこか入るとか無かったんかいな… 咄嗟に腕掴んで持ってきてた傘を彼女にさすと 自分がどんどん濡れていくのがわかった 周辺のお店はどこもいっぱいになってもて 彼女を家に送る事にしたのに

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【横山部長 sideY ④①】 『帰りたくない…』 とか言われて ずぶ濡れの2人が行ける場所はひとつで… 部屋に入るなりお風呂場に直行して バスローブ持って出てくる 彼女がそれに着替えてる間 風呂を入れに行く 蛇口から出てくるお湯見つめて時間稼ぎ

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【横山部長 sideY ④②】 浴衣 あの日着る予定とか言って オカンが縫ったやつ嬉しそうに抱えてたのとは全然違う めっちゃ綺麗やったな… 服の裾摘まれて 帰りたくないとか言われて 勢いに任せた方が良かったんやろか… そもそも彼女の気持ちも 自分の気持ちもよくわからんのに

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【横山部長 sideY ④③】 彼女の話色々聞いたけど こうやってまた会えたのも運命かもしれん やから大切にしたい 今度こそ彼女守れるように それに 一応上司と部下やし 最初っから…まぁ…そんな…なぁ… ちょっとだけ要らん想像してしまう俺…

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【横山部長 sideY ④④】 設定した水位にお湯が溜まったのか ボンって音してお湯が止まる それでハッとして 要らん事考えてたのから 現実に戻る 風呂場を出ると 彼女がバスローブ着てて その姿に更にドキッとしてしまう なるべく見ないようにしながら 彼女をお風呂に促す

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【横山部長 sideY ④⑤】 自分も服脱いでバスローブを着る 乾く位置に服並べて なんとなくテレビをつけて つけた瞬間に 女の人の如何わしい声がして 慌てて電源を切る 冷蔵庫開けて コーラを買って ベッドに座ってプルトルを開ける 俺…大丈夫やろか…

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【横山部長 sideY ④⑥】 20分くらいして上がってきた彼女と入れ違いで そそくさとお風呂に入る 熱いお湯を頭からかけて もう風呂上がったら出よ 家の近くに最近できたおでん屋さんがあるし そこ行って あったかいもん食べよ そうしたらええねん

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【横山部長 sideS ④⑦】 「よし」 と覚悟して風呂場を出る ベッドの端っこに座る彼女 どこに座ろうか迷ってると 『なにしてんの？』 って笑った彼女 彼女と反対側のベッドの端っこに座る 『雨止んだかなー？』 「どうやろな」 『あーあ、浴衣新しいの買ったのに』

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【横山部長 sideY ④⑧】 「え？そうなん？」 『侯君と折角花火大会に行けるって思ってたのに』 ハンガーにかけてある浴衣を見つめる 「来年…」 『え？』 「来年リベンジやな」 『侯君…？』 はぁーっと深呼吸をする 彼女の方を向く

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【横山部長 sideY ④⑨】 「なぁ、もし花火大会行けてたら、家出ること俺に言ってた？」 『それは…』 「せやろ。やけど、こうやって会えてん」 『…ん…』 「俺に会えて嬉しかった？」 『…すごく…嬉しかった…』 「俺も」 ゆっくり彼女の手を握る

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【横山部長 sideY ⑤⓪】 「この手、もう離したく無いって俺は思ってるんやけど」 『侯君…』 頬を伝った涙を拭ってやる 「来年リベンジな？」 『…侯君が…かっこよくて…むかつく…』 涙止まってないし 化粧してない顔は あの頃のままやった 「俺だって大人になってん」