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hikari♡∞妄想♡
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《植物園の女》side-A 304 「だだだ大丈夫！？ちょ、あかん、これ、け、警察...」 ソファの前の窓のそばにくったり倒れてる彼女...。 「...あ...りゅうへい...くん...？」 「あああ、ぃ生きてるぅ...」 「...わたし...寝ちゃったんだ...」
2016-01-26 22:39:58
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《植物園の女》side-A 305 「寝て...そ......あー、よかったぁぁ」 春の夜の冷気ですっかり冷えた身体を抱きしめた。 「何してんのもぉぉ、アホぉ...」 なんかあったらどうしようかと思った...。 この子おらんようになったら俺もう終わりやもん...。
2016-01-26 22:40:09
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《植物園の女》side-A 306 「...沈丁花...いい香りだなって...」 すうっと息を吸い込んだ彼女につられて深呼吸すると、甘い香りがした。 「桜も...そろそろだね...」 まるで空気に色でもついてるみたいに宙を見る。 「...キレイだろうな、目黒川」
2016-01-26 22:40:25
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《植物園の女》side-A 307 それは............。 俺が、初めて...彼女に...。 気持ちを伝えた場所。 あの時のこと。 急に泣き出した彼女のことも、抱きしめた厚いコート越しの感触も、少し震えてた声も、急に早くなった自分の鼓動も。
2016-01-26 22:40:35
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《植物園の女》side-A 308 さっきのことみたいに、覚えてる。 「満開んなったら、見に行こか」 「...んーん、テレビのニュースで充分」 胸がぎゅーっとなる。 いろいろ、我慢させてんねんなぁって。 「...ええやん、たまには...俺ずーっとこんな顔しとくし！」
2016-01-26 22:40:51
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《植物園の女》side-A 309 全力で変顔したら、吹き出した。 「ありがと...」 ぽそっと言った彼女の唇を捕まえて...。 もうむっちゃくちゃにキスする。 冷えた身体がすぐにあったまってきた。 体質、なんやと思うけど。 キスだけで、すぐ濡れる。
2016-01-26 22:41:02
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《植物園の女》side-A 310 ほんまにびっくりするくらいすぐに。 だからほら、今も...。 下に伸びた手を、ぎゅって握られた。 「窓...閉める...」 窓閉めてしっかり鍵かけて、すぐ腕ん中に戻ってきた。 「向こう行くか...？」 「............」
2016-01-26 22:41:14
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《植物園の女》side-A 311 その無言は今すぐ欲しいってこと...？ そう察したら我慢できんくなって、すぐ押し倒して。 足でテーブルよけたら、小さな白い花が活けてあった一輪挿しがカランて倒れて、フローリングに小さな水溜りをつくる。 気づかないふりをした。
2016-01-26 22:41:28
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《植物園の女》side-B 216 結局、お花見には行かなかった。 もちろん本気で行けるなんて思ってなかったけど...。 でもなんだろう、この感じ。 隆平くんのこと大好きだし、もっと好きになってほしいし、どこにも行って欲しくないけど...。
2016-01-27 22:18:07
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《植物園の女》side-B 217 これ、倦怠期...なのかな...。 絵描きさん...に会ったのは、そんなモヤモヤに蓋をして、見ないようにすることに慣れてきた時だった。
2016-01-27 22:18:17
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《植物園の女》side-B 218 茶色のフチのメガネかけてて、つばのついた紺色のニット帽をかぶった...優しそうなその人は、仕事中の私を呼び止めて、イラストレーターをしてますって名刺を渡してきた。 で...ポスターのモデルになってくれませんかって...。
2016-01-27 22:18:29
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《植物園の女》side-B 219 びっくりして、声も出ない。 それよりなにより、怪しすぎる...。 「や、っていうより、もう描いちゃった...んですけど...」 とても優しくって柔らかい、あったかい感じのする...イラスト。
2016-01-27 22:18:42
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《植物園の女》side-B 220 いちばん最初に思ったのは、隆平くんがイヤじゃないかなってこと。 だけど...なぜか...。 頷いてしまった。 絵描きさんはホッとした顔をして、ありがとうございますって言った。 仕事を終えて、隆平くんのお家に行く。
2016-01-27 22:18:55
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《植物園の女》side-B 221 いつもと違う。 なんでだろう。 知らない男の人の絵のモデルなんて...。 少し罪悪感があるから、なのかな...。 ちゃんと報告しなきゃ。 でも、なんて言えばいいんだろう...。 隆平くん...怒っちゃうよね...。
2016-01-27 22:19:08
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《植物園の女》side-B 222 いろいろ考えてるうちに、すぐお家に着いちゃって。 「なに食べたい？」 エプロンつけて、冷蔵庫開けたけど、何にも思い浮かばない。 「んー...たまには外で食べよか」
2016-01-27 22:19:20
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《植物園の女》side-B 223 声がすぐ近くで聞こえて。 顔上げたら隆平くんが隣にいて、びっくりして手に持ってたにんじんを落としちゃった。 「でも...」 「...お花見、行かれへんかったやん...」 後ろから、そっと抱きしめられる。 「...そんなこと...」
2016-01-27 22:19:54
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《植物園の女》side-B 224 ぎゅうぅって、力が強くなって、纏めた髪のうなじに唇が触れた。 「...りゅ..へいくん...」 「...あ...やっぱ....ちょっと...ゆっくりしてから行こ...」 エプロンのす隙間から手を入れて、器用にブラウスのボタンを外す。
2016-01-27 22:20:10
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《植物園の女》side-B 225 こんなとこで、そんなこと、すごく恥ずかしいのに...。 身体が全然...止まってくれない。 「...っは...エプロンしたままって、えーなぁ...」 下着ズラして、すぐ...。 「....りゅうへい...くん......」
2016-01-27 22:20:25
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《植物園の女》side-B 226 「...あー...もー...めっちゃきもちぃ...」 ............。 ...何か...あったのかな。 隆平くん、最近すごく忙しいもんね...。 彼女...になって、隣に居て、すごく感じる。
2016-01-27 22:20:38
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《植物園の女》side-B 227 隆平くんの顔と名前が、ものすごい勢いで世間に浸透していくの。 だからもう、前みたいにお店で待ち合わせしたり、一緒にスーパー行ったり...。 できなくなった。 でもそれはきっと、嬉しいこと。 いいことなんだよね...。
2016-01-27 22:20:51
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《植物園の女》side-B 228 私には想像もつかないほど大きなお金の動く場所で、ものすごく大きなプレッシャーと戦ってるんだもん...。 だから私...。 隆平くんが悦ぶことなら何だってしてあげたい。 私のできることはそのくらいしか...。
2016-01-27 22:21:02
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《植物園の女》side-B 229 正面向かされて、片足を抱え込まれて、奥を激しくノックされて...。 知らないうちに漏れる声。 床に落ちたニンジンは、見ないふりをした。
2016-01-27 22:21:25
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《植物園の女》side-B 230 結局ポスターのこと、隆平くんには言えないままで...。 もうすぐ、夏が来る。 風は爽やかで、空はスカッと青い。 なのに私は...。 ずっと胸の奥に重たいものがつっかえてるみたい。
2016-01-28 22:28:20
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《植物園の女》side-B 231 ヨガの帰りに友達と寄ったいつものタイ料理屋さん。 彼女はパッタイを頬張りながら豪快にビールを飲み干す。 「そんな...大丈夫でしょ、さくっと報告しちゃえば？」 「だって...」
2016-01-28 22:28:31
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《植物園の女》side-B 232 だってこないだ、春の終わりに...。 菜の花の刈り取りが終わって、土の入れ替えをしてたときのこと。 絵描きさんは出来上がったイラストをわざわざ持ってきてくれて...。 「一目惚れしました」 そう、言われた。
2016-01-28 22:29:34