- love_kamome
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《植物園の女》side-A 290 あー...。 早よ帰りたい。 まだ終わらんの...。 セットの外ではスタッフさんたちが忙しそうに動いてる。 これ何待ちなんでしょう?って聞きたいけど、なんやそれもイヤミったらしいしな...。
2016-01-24 23:28:01《植物園の女》side-A 291 もう家着いたかなぁ...。 ひとりで待たすのかわいそうやしなぁ...。 嘘。 俺が会いたいねんもん...。 年度末と春の準備で忙しそうだった彼女が、やっと休みになった。 今日の夜は久しぶりにゆっくりできると思ったのに。
2016-01-24 23:28:10《植物園の女》side-A 292 「ちょっと、何かあったんですか?」 ADさんは「はい、ちょっと、すいません」ってごにょごにょ言って、どっか行った。 だからそれを言えゆーとんねん...。 はぁ...。 いつ終わるんかわからんな、これ...。
2016-01-24 23:28:17《植物園の女》side-A 293 彼女と付き合って...もう1年。 すこぶる順調。 かわいくってぽやぽやしてんのに実はしっかりしてて、めっちゃ尽くしてくれる、ほんま俺にはもったいないくらいの子やと思う。
2016-01-24 23:28:32《植物園の女》side-A 294 今日も帰ったら、掃除も洗濯も終わってて、ごはんもできてて「今日のごめんなさい、失敗しちゃった...」ってうつむく彼女をぎゅーっとして慰めてるうちに辛抱たまらんようになってきて、ベッドになだれ込んで、結局メシ食わんと朝まで...。
2016-01-24 23:28:41《植物園の女》side-A 295 そこまで妄想して、よだれ出そうになってんのに気づいて、咳ばらいでごまかした。 彼女は...。 あんな感じなのに、だからつまり、いつもふわふわにこにこしてて、おとなしい子やのに、夜になるとびっくりするっていうか...。
2016-01-24 23:28:52《植物園の女》side-A 296 例えば、めっちゃ清楚な感じのワンピース脱がしたら、黒のすっけすけのTバックだったりとか、逆にオトナっぽい感じの日はフリフリのレースいっぱいリボンいっぱいの白い下着だったりする。 それ! だってもう、俺がそんなん好きって分かってやってるやん!
2016-01-24 23:28:58《植物園の女》side-A 297 なんも知りませんみたいな、もうめっちゃ恥ずかしいみたいな顔して! で、そんな顔のまま、おクチでしてくれたりすんねんけど、これがまぁ......。 ...めっちゃ上手い。
2016-01-24 23:29:04《植物園の女》side-A 298 疲れてる時とか、キスして触られただけでもう全然あかんのに、でもそんな時に限ってノドの奥ぐーっと締めるように挿れてきたりして、情けないことに声が漏れてしまって、それ聞いたら彼女は妖艶な笑みを浮かべて余計にねっとり攻められて...。
2016-01-24 23:29:13《植物園の女》side-A 299 情けないことにそのままおクチに出してしまった時も、美味しそうに飲み干す。 んで、丁寧におそうじしてくれんの。 で、これまた情けないことにすぐ復活させられる。 こーなったらもう彼女のペース。
2016-01-24 23:29:25《植物園の女》side-A 300 「見ちゃダメ」って、恥ずかしそうにかわいく囁いて、上になって。 華奢な腰をゆっくりグラインドさせる。 自分でおっぱい揉んだり、繋がってるとこ見せつけるようにしたり、めっちゃエロい...ってがっつり見てるやん、俺。
2016-01-24 23:29:34《植物園の女》side-A 301 でも、彼女はそんなんも承知の上っていうか。 俺が見てないから、だから大胆なことしちゃってるっていうテイで、ほんまは見てんの気づいてるけど、ワザと見せてるんちゃうのって思う。 あれ、何言うてんのか分からんなってきた。
2016-01-24 23:29:40《植物園の女》side-A 302 とにかく、彼女のそんな、ちょっとえっちなサプライズに、俺は年がら年中24時間身も心も骨抜きで...。 あー、早よヤりたい。 ......あ、嘘ですウソウソ。 会いたい。
2016-01-24 23:29:47《植物園の女》side-B 205 そーっとベランダの窓を開けると、ほのかに沈丁花の香りがしてようやくホッとした。 だって...留守番って苦手。 子供の頃からそうだった。 お父さんもお母さんもお兄ちゃんもお姉ちゃんも、このまま帰ってこなかったらどうしよう。
2016-01-25 22:29:25《植物園の女》side-B 206 不安になって泣きだした頃、みんなが帰ってきて、バカだなぁって。 私ってほんと、昔っからめんどくさいんだな。 だから今も...。 隆平くん、帰ってこなかったらどうしよう。 そんなありえないことずーっと考えて、簡単に泣きそうになってる。
2016-01-25 22:29:39《植物園の女》side-B 207 思いっきり息を吸い込んで、春の香りで気分を紛らわそうとしたとき。 ポケットに入れたままのスマホが震えてるのに気づいた。 「ごめぇん、まだ終わらんねん...。ってかいつ終わるか分からんから...」
2016-01-25 22:29:50《植物園の女》side-B 208 「じゃあ...」 今日は帰るね、って言おうとした。 「あかんあかん!あかんよ、今何時や思ってんの」 だって...まだ10時だもん...。 「先寝とって?」 隆平くんは少し心配性...というか、過保護なとこがある。
2016-01-25 22:30:01《植物園の女》side-B 209 通勤電車は女性専用車両に乗るように、とか、スカートのまま自転車のったらだめとか、元々男友達なんてそんなにいないけど、他の男のひとと話すのも極端に嫌がる。 それって立派な束縛じゃない。大丈夫? 友達はそういうけど...。
2016-01-25 22:30:12《植物園の女》side-B 210 ちゃんと私、まだ隆平くんのものなんだなぁって実感できるから、私は少し、嬉しい。 「でも...」 「こんな夜中に外でたら危ないやろ?」
2016-01-25 22:30:23《植物園の女》side-B 211 この間の記念日にくれた芍薬の花束。 前にいちばん好きな花は?って聞かれて答えたの、覚えててくれたんだぁって嬉しくて。 それに...時期外れで、お花屋さんには置いてなかったはずなのに。
2016-01-25 22:30:36《植物園の女》side-B 212 どこで買ったの?って聞いても隆平くんは絶対に教えてくれなかった。 芍薬に気を取られてる私に、これ...って遠慮がちにくれたもの。 小さな赤い箱に入った...絹糸みたいに繊細な、ゴールドのアンクレット。 と...その先に通してあった、鍵。
2016-01-25 22:30:47《植物園の女》side-B 213 それを使って隆平くんのいないお部屋に入るのにはやっと...少し、慣れてきてはいるけど...。 ひとりで泊まるのは、やっぱり少し、寂しくて。 「ごめん、や、うん...。朝になるかもしれんけど、ちょっとでも顔みたいねん...」
2016-01-25 22:30:59《植物園の女》side-B 214 ひとりでお風呂に入って、ベッドに潜り込んでみたけど...。 全然眠くならなくて。 あったかいミルクティーに少しだけブランデーを入れて、またベランダを開けた。 バカだなぁ。 自分でもそう思う。 ちょっとお仕事が遅れてるだけなのに。
2016-01-25 22:31:16《植物園の女》side-B 215 こんなに簡単に気持ちが不安定になる理由は、分かってる。 この恋が、ほんのちょっとの行き違いで、少しの気の緩みで、消えてしまうものだって、知ってるから。 春の夜風はまだ冷たい。 くしゃみをひとつして、カーディガンの前を合わせた。
2016-01-25 22:31:30《植物園の女》side-A 303 家に着いたのは3時半。 そーっと鍵開けたら、玄関のすみっこに彼女の靴が置いてあってホッとした。 のも束の間。 リビングのドア開けて電気つけたら、ただならぬ気配を感じた。 カーテンが...揺れてる。 ベランダの窓は開けっぱなしで...。
2016-01-26 22:39:48