エリカの挑発に乗ってしまい、怒りを露わにしたまほは、1人テーブルに突っ伏していた。 頼んだコーヒーには1口も飲むことなく、すっかり冷めてしまっている。 そんなまほの居るテーブルに、歩み寄る人間が1人。
2016-03-10 22:56:02顔は見ていないが、まほには聞き覚えのある声だった。 先ほど、口論していた際、聞こえた声によく似ていた。 わざわざ、グループと離れてまで来たのだろう。 そして、話しかけづらくても、声をかけたのだろう。 そう考えると、突き放すこともし辛くなる。
2016-03-10 23:04:53明るい声が聞こえ、よほど不安だったのだと分かった。 それでも、何もかもを許したわけではない。 少しでも同情や、こちらの心に土足で踏み入ろうとすれば、まほは突き放すつもりでいた。
2016-03-10 23:08:22「好き、だが…」 「そうですか! では、好きな戦車を教えてもらえますか?」 「パ、パンターF型…」 「F型ですか! いいですよね、専用砲塔が可愛くて!」
2016-03-10 23:25:27「私は7TPが好きなんですよ! 双砲塔型の!」 「また、マニアックな…」 「えー、可愛いじゃないですか!」 「まぁ、なんとなくわかるが」
2016-03-10 23:31:58いつしか、まほは顔を上げて、優花里と話していた。 それに気づいても、優花里は何も言わずに、普通にまほと話している。 表情は話していく内に、段々と柔らかくなっていき、いつしか笑顔で話していた。
2016-03-10 23:35:38「1輌だけ、F型を買ってもらえたんだ。 まだ、使ってないんだが」 「凄いじゃないですか! 実車を見てみたいです!」 「是非、見に来てほしい、君ならいつでも歓迎…あ、あれ…?」 「西住殿?」
2016-03-10 23:43:28優花里はまほの手を引き、伝票を手に取ると、流れるように素早く会計を済ませた。 そして、人気が少ない公園のベンチへと連れていかれ、座らされるとーー
2016-03-10 23:50:31「す…すま、ない…人と…話すことが少なく…なって…温かいと感じたら…すまない…!」 「いいんですよ。 辛かったんですよね? 誰も見ていませんから、気が済むまで、泣いてください」
2016-03-11 00:05:17