まほゆかの種芋

海苔ご飯さんの作ったまほゆかの種芋
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のりべんとう @norice1204

エリカの挑発に乗ってしまい、怒りを露わにしたまほは、1人テーブルに突っ伏していた。 頼んだコーヒーには1口も飲むことなく、すっかり冷めてしまっている。 そんなまほの居るテーブルに、歩み寄る人間が1人。

2016-03-10 22:56:02
のりべんとう @norice1204

「あの、ここいいですか?」

2016-03-10 22:57:56
のりべんとう @norice1204

誰もが声をかけることをためらう今のまほに対し、優花里はそう尋ねた。 まほは、心底面倒くさそうに、突っ伏したまま口を開く。

2016-03-10 23:00:34
のりべんとう @norice1204

「…ほかにも空いている席はあるだろう?」 「いえ、その…あなたと、お話をしたくて」 「……」

2016-03-10 23:01:40
のりべんとう @norice1204

顔は見ていないが、まほには聞き覚えのある声だった。 先ほど、口論していた際、聞こえた声によく似ていた。 わざわざ、グループと離れてまで来たのだろう。 そして、話しかけづらくても、声をかけたのだろう。 そう考えると、突き放すこともし辛くなる。

2016-03-10 23:04:53
のりべんとう @norice1204

「…少しなら、いい」 「あ、ありがとうございます!」

2016-03-10 23:05:20
のりべんとう @norice1204

明るい声が聞こえ、よほど不安だったのだと分かった。 それでも、何もかもを許したわけではない。 少しでも同情や、こちらの心に土足で踏み入ろうとすれば、まほは突き放すつもりでいた。

2016-03-10 23:08:22
のりべんとう @norice1204

しかし、優花里は明後日の方向から話を振ってきた。

2016-03-10 23:08:53
のりべんとう @norice1204

「早速ですが、西住殿は戦車好きですか?」 「…は?」 「私は大好きです!」

2016-03-10 23:19:33
のりべんとう @norice1204

予想だにしないその発言に、まほの思考は一瞬停止した。

2016-03-10 23:22:14
のりべんとう @norice1204

「好き、だが…」 「そうですか! では、好きな戦車を教えてもらえますか?」 「パ、パンターF型…」 「F型ですか! いいですよね、専用砲塔が可愛くて!」

2016-03-10 23:25:27
のりべんとう @norice1204

思わず答えてしまうと、話はどんどんと続いていく。 少しのつもりが、どんどんと話してしまう。

2016-03-10 23:28:43
のりべんとう @norice1204

「私は7TPが好きなんですよ! 双砲塔型の!」 「また、マニアックな…」 「えー、可愛いじゃないですか!」 「まぁ、なんとなくわかるが」

2016-03-10 23:31:58
のりべんとう @norice1204

いつしか、まほは顔を上げて、優花里と話していた。 それに気づいても、優花里は何も言わずに、普通にまほと話している。 表情は話していく内に、段々と柔らかくなっていき、いつしか笑顔で話していた。

2016-03-10 23:35:38
のりべんとう @norice1204

「1輌だけ、F型を買ってもらえたんだ。 まだ、使ってないんだが」 「凄いじゃないですか! 実車を見てみたいです!」 「是非、見に来てほしい、君ならいつでも歓迎…あ、あれ…?」 「西住殿?」

2016-03-10 23:43:28
のりべんとう @norice1204

それは、自然と流れた。 そして、それに気づいた時、声が震え始め、自分が泣いていると自覚した。

2016-03-10 23:44:51
のりべんとう @norice1204

「す、すまない…すぐ…収まるから…」 「…少し、歩きましょうか?」 「え…?」

2016-03-10 23:45:34
のりべんとう @norice1204

優花里はまほの手を引き、伝票を手に取ると、流れるように素早く会計を済ませた。 そして、人気が少ない公園のベンチへと連れていかれ、座らされるとーー

2016-03-10 23:50:31
のりべんとう @norice1204

「失礼します」 「え…っ!?」

2016-03-10 23:52:10
のりべんとう @norice1204

突然、抱きしめられた。 訳が分からず、まほがパニックに陥っていると、優花里はただ一言こう言った。

2016-03-10 23:59:34
のりべんとう @norice1204

「ここなら、見られる可能性は低いですから、どうぞ」 「え、いや、私は…わた、しは…あっ…ぅ…く…!」

2016-03-11 00:01:30
のりべんとう @norice1204

我慢していたものがあふれ出て、まほは声を殺して泣いた。

2016-03-11 00:02:23
のりべんとう @norice1204

「す…すま、ない…人と…話すことが少なく…なって…温かいと感じたら…すまない…!」 「いいんですよ。 辛かったんですよね? 誰も見ていませんから、気が済むまで、泣いてください」

2016-03-11 00:05:17
のりべんとう @norice1204

唐突ですが、ここが限界です 突 然 の 終 わ り

2016-03-11 00:05:57