10周年のSPコンテンツ!
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NJSLYR / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
【ア・グレイト・ディスカバリー・オブ・ファッキン・シリアス・ニンジャ・パワー】
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「ファーック!」マナブはシャッターを全力で閉めながら、カビ臭いガレージの中で叫んだ。「ファーック!」もう一度叫んだ。「ファーーーック!」さらに叫んだ。「チッ、うるッせえなあ」ガレージの隠し扉の奥で、スゴイヘッドは舌打ちし、ヘッドホンをかけてヘンタイオイランポルノの視聴を継続した。
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「ファーック!」マナブはガレージの隅に設置された監視カメラに向かって、攻撃的サインを作り叫んだ。「ファーック!」さらに左の中指も立てて叫んだ!「ファックオフ!暗黒管理社会ファック!オーーフ!」「勘弁してくれよ全くよ……」スゴイヘッドはため息をつき、ヘッドホンのボリュームを上げた。
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マナブは隠し扉を開け、スゴイヘッドのいる隠しガレージへと入ってきた。「ファーック!」そしてパーカーフードを脱ぐ。頭からは怒りの湯気が立ち上らんばかり。背負った大型リュックを長テーブルに放り投げる。「また返品だクソッタレめ!これも!これも!これも!」リュックの中にはTシャツが山程。
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「クソーッ!」マナブは酒専用冷蔵庫からケモビール缶を一本取る。そして堪えきれぬ怒りを冷ますように、一気に飲み、握りつぶした。「プハーッ……クソッタレめ……」「お疲れさん、ナブ」スゴイヘッドは画面から目をそらさず手でアイサツする。『ンアーッ!』ヘッドホンからは甘ったるい電子音声。
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「また返品の山だぜ、見ろよ!ブルタル・ショーギ・サイボーグのTシャツとかはまだ解る、放送禁止だからな。暗い都市部のTシャツも返品!この芸術的ファックオフTシャツも返品!」マナブは一枚ずつTシャツを広げ、小型ビデオTVで旧世紀ヘンタイプログラムを見続けるスゴイヘッドの視界を遮った。
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「わかったよ、もう」スゴイヘッドは手でTシャツを払いのける。「ケツ・ノ・アナTシャツも返品!」「だからわかったって。もうヤバイ音楽とか反体制的なのはムリなんだって」「これもだ!お前の自信作のネコネコハードコアセルガTシャツも返品だぞ!」「だから俺のせいじゃ無いって、勘弁してよ」
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「プハーッ!」マナブは二本目を飲んだ。『ンアーッ!』「いいね、ここ」「いいか、スゴイヘッド。そんなの見てる場合か?次はそれでTシャツ作るのか?」マナブはヘッドホンを取り上げて投げた。「そうだよナブ。リバイバルっやつ。このスケッチ。わかる?夜景にコラージュしてさ、サブリミナルで…」
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「売れんのか?」マナブが三本目を空けて睨んだ。スゴイヘッドは自分で刺繍したジーザスII野球キャップを被り直しセル眼鏡を輝かせた。「実際自信作」「売れんの?」「店がビビらなければ」「おい、どうにかしろ、どうにかしろよ、マジでどうにかしろ、スゴイヘッド」マナブは懇願めいて肩を叩いた。
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「マジで、このまま返品が続いたらな、オレらは終わりだぞ。ファック…」ビールが周り顔が真っ赤になったマナブは、パーカーを脱ぎ捨てた。汗だくになったジェット・ヤマガタTシャツと、逞しい腕が露わになる。このTシャツもスゴイヘッドの4年前の作品で、今もマナブの一番のお気に入りで、誇りだ。
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「いいか、ナブ、だからこれも全部暗黒管理社会のせいなんだって。俺たちチーム・イディオットのTシャツは絶対ブレイクするはずだった」「ファーック!」マナブは表ガレージに出た。そして壊れた監視カメラに中指を立てて叫んだ。「くたばれ暗黒管理社会!」本当の言葉を叫べる場所は、ここしか無い。
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ひとしきり叫ぶと、マナブは酒に酔った足でトボトボと歩き隠し部屋に戻った。輝かしきチーム・イディオットの秘密の工房へ。棚という棚に返品Tシャツが詰め込まれ、もはや過剰積載自爆寸前の火薬庫の如き場所へ。「スゴイヘッド、今月も家賃が払えなきゃな、追い出されて工房もバレるぞ」「マジで?」
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「お前金の事全然考えねえしな。オレが先月金の話した時もずっと音楽聴いてたろ、どうせ」「…たぶん」スゴイヘッドは深刻な顔を作り、キャップを目深に被った。「…それか、ヘンタイとか映画見てた、ゴメン」「次が最後だ。だからもっと無難で売れるT作れよ。お前はテンサイだ。できるはずなんだよ」
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「俺テンサイだと思うけどさ」彼は自分の頭をピストルめいた二本指で差した。「無難で売れるのなんて、無理だよ、矛盾してるよ」「ファック!矛盾しねえよ!もうこの際ネコネコのライブ盗撮映像でもそのまま使って作れよ!」「ダメだって」彼は首を振った。「俺たちのポリシー的にそんなのダメだって」
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「ファーック…!」マナブは頭を抱え、長テーブルを叩き、6本目を空けた。彼は逞しく、カラテの心得もあり、数件隣のリアルオイランパブにたむろするゴロツキ連中とも談笑できる程度にはガラが悪い。「ゴメン、ナブ…」だがスゴイヘッドに暴力をふるう気配は無い。中学からの友人で、今彼らは30だ。
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「スゴイヘッド、会議すっぞ…」マナブは泥酔しながら、まだビールを飲み、チョークを持って薄汚い黒板に向かった。「いいか…新製品何にするか…アイディア出し合うぞ……まずネコネコカワイイT……」「旧世紀ヘンタイT」「ダメ」「ハイデッカーT」「ダメ」「49課T」「ダメ」……「ダメ…」……
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「…ファック…」マナブは長テーブルに突っ伏して眠っていた。「うーん…」スゴイヘッドもビールを飲み眠っていた。だがスゴイヘッドの眠りは浅かった。深夜に一人目覚め、苦しみながら何時間もスケッチし、ビデオを見た。そして不意に、思い出した「あれだ」雷撃に打たれたかのように「あれがある!」
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朝「ファックチクショウ…眠っちまった……今日も仕事だってのに…」マナブは眠た目を擦り、あたりを見た。スゴイヘッドがいない。物音が聞こえる。工房からだ。そこかしこに謎のスケッチが転がり、吊るされている。デジャヴ。テンサイの仕事が始まったのだ。「おい、もしかして徹夜して何か作っ…!」
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ゴミクズとビール缶と画材とポルノ本と詩集と布キレが転がる床の上、明滅するタングステン灯の下、ヘッドホンで音楽を聴くスゴイヘッドは背を向け、トルソに着せた試作Tに最後の仕上げを施していた。「おい、何だこりゃ、何だこりゃあ…」マナブは声を失った。「こいつはファッキン……シリアスだぞ」
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その黒地Tシャツの胸には、禍々しくも躍動感のある書体で、大きく「忍」「殺」の白い漢字が躍っていた。
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朝「ファックチクショウ…眠っちまった……今日も仕事だってのに…」マナブは眠た目を擦り、あたりを見た。スゴイヘッドがいない。物音が聞こえる。工房からだ。そこかしこに謎のスケッチが転がり、吊るされている。デジャヴ。テンサイの仕事が始まったのだ。「おい、もしかして徹夜して何か作っ…!」
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ゴミクズとビール缶と画材とポルノ本と詩集と布キレが転がる床の上、明滅するタングステン灯の下、ヘッドホンで音楽を聴くスゴイヘッドは背を向け、トルソに着せた試作Tに最後の仕上げを施していた。「おい、何だこりゃ、何だこりゃあ…」マナブは声を失った。「こいつはファッキン……シリアスだぞ」
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その黒地Tシャツの胸には、禍々しくも躍動感のある書体で、大きく「忍」「殺」の白い漢字が躍っていた。
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コメント

オスツ🍣 @alohakun 2016年3月21日
ア・グレイト・ディスカバリー・オブ・ファッキン・シリアス・ニンジャ・パワー #2 http://togetter.com/li/952708