- tasobussharima1
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「ねぇ、いいことしよう?」 夢だ。今は夢の中に居るという自覚がある。自分の部屋のベッドの上で女の子に馬乗りにされている夢だ。我が夢ながら、なんという芸の無さだろう。 ちなみに夢だとわかるポイントは、実際自分の部屋にはベッドなどという小洒落たものは無く、一家全員オール布団な点だ。
2016-03-13 21:04:07そして健全な男子高校生なら、この手の夢の一回や十回や百回は見ることもあるだろう。だから別段どうということはない。自分も人並みのスケベ野郎だったのだなぁ、という妙な感慨を抱くくらいだ。折角後腐れのない夢なのだし、目一杯楽しみたい所存。 でも、この女の子は……一体誰なんだろうか?
2016-03-13 21:08:03夜中、ふと目が覚めた。妙に身体が重い。何かにのしかかられているような感触だ。ははぁ、これは噂に聞く金縛りというやつだろうと思い、目を凝らすと…… 目の前に、坊主頭があった。 「うおわああモゴーッ!モゴーッ!」 思わず叫ぼうとするが、口を塞がれる。手足も押さえつけられている。
2016-03-13 21:12:06妙に重いのはこれが原因か。嘗て無い恐怖に、身体が強張る。 俺を押さえつけて何をする気だ?危害を加えるなら、幾らでもチャンスはあった筈。なら、何を……ナニを? 「モゴーッ!!モゴゴーッ!」 嫌だ!やめろ!絶望的な想像を打ち払うべく、目一杯身体を暴れさせる。だが、動けない。
2016-03-13 21:16:03「すまない。だが、落ち着いて話を聞いて欲しい」 「モゴーッ!」 無理だ!この状況で落ち着いて話ができるか! 「私は、自分の街へ帰らねばならない。だから少々協力して欲しい」 「モゴモゴ!」 それと、俺を組み敷くことに何の関係が! 「ついては、まずは服を脱いで貰いたい」
2016-03-13 21:20:03さようなら、俺の貞操。 せめて……せめて、夢の通りこれが美少女なら。美少女でさえあったなら。 だが現実は動かない。目の前に居るのは俺より少し年上のいい体をした坊さん(同性)であるし、何故か脳裏には『僧侶の間では男色が盛んだった』という歴史トリビアが思い起こされている。
2016-03-13 21:24:02もはや俺には天井の染みを数えることしか出来ないであろう。うちの家は築年数が結構経っているので、数える染みには事欠かないのが救いなのか何なのか。最早自分の思考がわからない。 「今、ここから退く。服を脱いで貰いたい。確認したいことがあるだけだ」 ……?無理矢理脱がせないのだろうか?
2016-03-13 21:28:02俺は頷く。ここで下手に抵抗しても、状況を悪化させるだけだ。一対一の格闘で勝てる見込みは無い。相手が紳士的なうちは、被害を出さないようにするのが吉だろう。 宣言通り坊さんは身体の上から退く。そういえば『確認したいことがある』とも言っていた。性的暴行が目的ではないのかもしれない。
2016-03-13 21:32:08