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SakawaH @SakawaH
高浜原発仮処分に関電社長「到底承服できない」 逆転勝訴したら住民に損害賠償請求「検討対象に」 - 産経ニュース sankei.com/life/news/1603… @Sankei_newsさんから この「一般的に逆転勝訴した場合、損害賠償請求は検討対象になる」という部分。
SakawaH @SakawaH
まず前提として、今回の「差止め」は民事保全法に基づく仮処分。保全というのは、訴訟(判決手続)に先行して、「暫定的に」、「仮に」一定の権能や地位を認める、というものです。訴訟には時間がかかるからですね。保全には仮差押えと仮処分がありますが、(続)
SakawaH @SakawaH
(続)今回の差止め決定のような類型は「仮の地位を定める仮処分」(民事保全法23条2項)に属します。まあ、いずれにせよ、あくまで「仮」の手続なので、基本的には、その後の訴訟(判決)手続を取ることが予定されています。これを保全との対比で「本案訴訟」といったりします。(続)
SakawaH @SakawaH
(続)で、保全はあくまで暫定的な手続なので、訴訟よりも全体に軽い手続になっており、基本的には債権者(本案訴訟で原告になる人)の権利を簡単に認めるようになっています。といっても「保全の必要性」という要件あるので、必ず簡単に申立てが通るかというとそうではありません。(続)
SakawaH @SakawaH
(続)簡単にいうと、1保全○本案○、2保全○本案×、3保全×本案○、4保全×本案×、という4パターンの組合せがあり得るわけですが、今回、保全が○になったので、上記1か2のいずれかになるわけです。1で最後(最高裁)まで判決が確定すれば差止め確定ですが、2になる可能性もあり(続)
SakawaH @SakawaH
(続)この場合にどうするか、が問題の前提状況ですね。というあたりまでは法クラの人には当たり前すぎて書くまでもないことです。(続)
SakawaH @SakawaH
(続)保全○本案×、というのは、簡単にいうと、暫定的には債権者(=本案の原告)の権利があると判断されたが、じっくり審理してみたところ原告の権利は認められないという判断になった場合、というわけです。しかし、暫定とはいえ仮処分等の決定の効果はいったん生じているので、(続)
SakawaH @SakawaH
(続)今回のように、仮処分では原発差止めが認められた(○)としても、今後の本案訴訟で逆転(×)の判決、つまり差止めは認められないとなった場合、債務者(関電)は運転を再開するでしょうが、それまでの間は原発を稼働できず、それにことによる損害というのが考えられます。(続)
SakawaH @SakawaH
(続)このような場合を、「違法な保全命令」とか「不当な保全命令」などと呼びます。「違法」か「不当」かでは通常意味が違うのですが、ここではあまり「言葉遣いによる違いはない」ようで(本間「不当な民事保全と損害賠償」(民事保全講座1)506頁)、まあ結論として、(続)
SakawaH @SakawaH
(続)要するに、「保全○本案×」の場合に、このような「後からみると理由のなかった保全命令」によって債務者(=本案被告)の被った損害を債権者(=本案原告)に賠償させるかどうか、どういう場合に損害賠償を認めるか、ということが問題となります。(続)
SakawaH @SakawaH
(続)これは一般的には民法709条の不法行為の問題であるとされています。リーディングケースである最高裁昭和43年12月24日判決は、「仮処分命令が、その被保全権利が存在しないために当初から不当であるとして取り消された場合において、(債権者が)右の点について故意または過失…」(続)
SakawaH @SakawaH
(続)「…のあったときは、(債権者は)民法709条により、(債務者が)その執行によって受けた損害を賠償すべき義務がある…」としました。学説上は、このような場合には債権者が「無過失責任」を負うのだとする説も有力ですが、最高裁は過失責任主義をとったことになります。しかし、(続)
SakawaH @SakawaH
(続)最高裁判決は、続けて、「…本案訴訟において原告敗訴の判決が言い渡され、その判決が確定した場合には、他に特段の事情がないかぎり、(債権者)において過失があったものと推定するのが相当である。」として、債権者に「その挙に出るについて相当な事由」があったか否かを問題にします。(続)
SakawaH @SakawaH
(続)この最高裁の立場は、「無過失責任」説と「過失責任」説の折衷的な立場ととして、「本案で逆転した場合、債務者による損害賠償請求を認めるには、債権者に過失がなければならないが、その過失は本案で逆転したことで事実上推定され、債務者側で相当性を立証しなければならない」と(続)
SakawaH @SakawaH
(続)いう形で理解されています。すなわち、前ニュースにおける関電社長の「一般的に逆転勝訴した場合、損害賠償請求は検討対象になる」という発言は、少なくとも一般的な法律論としては、十分に正しい主張ということになります。(続)
SakawaH @SakawaH
(続)また、この場合に賠償されるべき損害の範囲は、不法行為の一般理論に依拠する以上は、「相当因果関係のある全損害」ということになり、営業ができなかったことによる逸失利益は通常その中に含まれます。その後調整が必要であれば過失相殺などによって行うこととなります。(続)
SakawaH @SakawaH
(続)というところまでが教科書的理解ですが、実のところ、こっから先の話が錯綜していて検討不足のためよく分かりません、というところでいったんおしまい。ぇ(了)
SakawaH @SakawaH
@holmesdenka 「従来、『不当な保全命令』との表現が用いられることが多かったが、要するに不法行為となる場合ということであるから、結果的に違法とされた保全命令ということで『違法』の語を用いたほうがわかりやすい」(瀬木・新訂版76頁)と理解したのですが、いかがでしょうか…
papadenka @holmesdenka
@SakawaH 手続き的に違法な保全命令との区別がつかず(後者はそれこそ国賠の対象になります)、正しくありません。
papadenka @holmesdenka
@SakawaH 違法な命令がありえない、違法な執行もありえないというのはおごりであり、現実には存在していることを考えると、手続的に違法な保全と手続的には適法だが、実体的に不当な保全とを明確に区別していく必要があります。
papadenka @holmesdenka
@SakawaH 現に、その区別が曖昧になっているからこそ、あの発言がスラップであり、本来なら国を訴えるべきであるところ、住民を威嚇するのはけしからんという専門家ならありえないコメントを弁護士や大学教員がすることになるのでは?
SakawaH @SakawaH
@holmesdenka そうすると、手続き上の違法がある場合を「違法な保全命令」、実体的な要件を欠いていたため取り消されたものを「不当な保全命令」と区別して呼ぶとして、「不当な保全命令」のうち不法行為となるものを「不法行為法上違法となる不当な保全命令」とする、では。
papadenka @holmesdenka
@SakawaH (そんなコメントを今朝の新聞で見ておったまげているところです…
papadenka @holmesdenka
@SakawaH 不当保全は原則損害賠償の対象となり、特段の事情はほとんど認められない…のですよ…
papadenka @holmesdenka
@SakawaH 不当保全が全て損害賠償に対象になるわけではないからこそ、違法な、と呼ばず、不当な、と呼んでいるとも言えますが。ちなみに、わたしは民訴260条2項類推説なので、最高裁とは立場が違います。
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コメント

モナコグランプリ一位入賞経験がありません @hissitwfghj 2016年3月19日
まとめの趣旨とは関係ないけれど、(「従来、『不当な保全命令』との表現が用いられること・・・)の部分で抜けがあるんじゃないかな。と
小川靖浩 @olfey0506 2016年3月19日
一応九電でも川内原発の仮処分請求の際、「本案で原告敗訴が確定した場合は損害賠償を請求する」と声明を出して原告側で半分だったか取り下げてましたなぁ…
houritsu_study @houritsu_study 2016年3月19日
http://www.chunichi.co.jp/kenmin-fukui/article/kenmin-news/CK2016031302000210.html 高浜の原告については「弁護団長の井戸謙一弁護士によると、全員が鹿児島地裁での経緯の説明を受けて納得した上で、申立人になったという。」とあるね。
ちぱうよ @chipauyo 2016年3月20日
なるほど、わからん。
RING @schwartzkatze 2016年3月20日
非常にわかりやすかった。 しかし、何度読んでも今回の差し止め(ここで言うところの”保全”)は横車のように思える。 実際、今回の申し立てで多大な損害を受けるのは、関電だけじゃなくその他大勢の住民だろうに。 「少数派の利益(安心感?)が多数派の利益(金銭的。場合によっては生存権まで脅かされるおそれ)に優越する事態」が生じるとは思えないけどなぁ・・・。
八代泰太 @clockrock4193 2016年3月20日
schwartzkatze そこは「『原発停止による安心感を求める一般市民の方が、原発再開して儲けたい電力会社より多いに決まっている』と考える裁判官」が当たるまでガチャ引き続ければ良いわけで。
柿葉美和 @kakihabi 2016年3月21日
債務者が行為を継続するにあたって過失責任を課されているならば、債権者がその行為を阻止する行為にも過失責任が課されることは、公平の見地から当然と言えるだろうね。ただ本件では、電力会社が原子力発電事業を行うにあたっては免責ないし責任軽減されることもあるから(原賠法3条1項ただし書き、17条)、債権者に対してのみ常に過失責任を課すのは不公平となるね。ここでS43最判の「特段の事情」が考慮されれば、バランスは回復するけど。
Flying Zebra @f_zebra 2016年3月27日
高裁で逆転するのはほぼ確実として、関西電力が損害賠償請求をしたとしても全額(数百億円?)が認められることはまずないだろうし、実際に請求を起こすかどうかも分からないけど、当然の権利として損害賠償請求を検討することを表明しておくのは大切だと思う。形のない「安心」を求めているだけの債権者と違って、電力会社は多くの電気利用者の実際の生活と経済を支えているのだ。工学的な「安全」を定量的に判断できない「住民」による濫訴が続けば、社会の「安全」は確実に遠のく。
vaceba @vaceba2012 2016年3月27日
「形のない安心」というけど福島という「形のある危険」の可能性を排除しようとしているということだと思う。電力会社は地域独占、総括原価方式で費用をすべて価格に転嫁できるからこそ原発費用も払える。自由化されるとは言え、そういう状態はしばらく続く。電力会社がそういう形で社会からリスク低減を許されている一方でその電力会社による危険を排除しようとする方が賠償責任を課されるというのは社会的公平からははずれるような気がする。
Flying Zebra @f_zebra 2016年3月27日
発電用原子炉の過酷事故というリスクを下げるための様々な対策とその妥当性を判断するにはそれなりの専門知識が必要で、だからこそ原子力規制委員会という独立機関が審査を担当している。その審査の内容も実際に取られている対策も何も理解しようとせず、「危険に違いない」という思い込みだけで債権者は差し止め訴訟を起こし、判事も同じ思い込みに基づいて仮処分の決定をした。それが法の運用として妥当だったかどうかはいずれ高裁で判断される。まだその前の地裁の異議審すら始まってないけど。
vaceba @vaceba2012 2016年3月29日
実績として500炉年に1回の過酷事故を起こしていることは素人でもわかる。規制委がそこからどれだけリスクを低減したかは専門家にしかわからない。であれば実績に基づいて素人がリスク低減の訴訟を起こすことはおかしくない。電力会社は地域独占、総括原価方式によりそのような危険設備の投資回収のリスクを社会に低減してもらっている。であれば危険設備のリスク低減のコストもそこに入れるべきではないのか?
大文字隼人→比叡晃司(垢転生) @daimonji_hayato 2016年4月11日
この仮処分で電気代値下げ見送りになった結果、確実に損害受けている貧困層や中小企業からすれば腸煮え繰り返るのは容易に想像可能。内臓売ってでも支払う覚悟はあるのね?
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