原発停止の仮処分で、「逆転勝訴した場合に」申し立てた住民側に損害賠償することについての法律家の検討

まとめてみました。
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penben @penben2020

(続)の考え方のようにも思えます。しかし、そうだとすると、損害の発生が切迫しているような場合でも(本件が具体的にどうかはおいておいて)、莫大な担保を積まない限り、公害の発生を止め得ないのか、というとこれも極論のように思われます。(続)

2016-03-19 16:33:56
penben @penben2020

(続)そもそも、一般論としては、公害系の事案では、基本的な構図として債権者は少数派であり、債務者は(企業規模等を通じて)多数派の多数利益を代表しています。この構図で債務者に発生する損害を債権者に担保(賠償)させること自体に、何らかの無理があるように思えます。(続)

2016-03-19 16:36:06
penben @penben2020

(続)少数派の利益が多数派の利益に優越するのは、たとえば前者が生命身体に関する利益、後者が金銭的な利益というように、利益の性質が端的に異なる場合は比較的受け入れやすいかもしれません。しかし、この一般的な図式も、実は原発の場合には当てはまらないように思えます。(続)

2016-03-19 16:38:32
penben @penben2020

(続)一つには、「現に排出されて健康被害をもたらしている汚染物質」のような現在進行形の事象でないこと。もう一つは、「もし致命的な事故が起きたら、債権者も債務者も基本的に日本全国一蓮托生」になりかねない事象、つまり損害の偏在が少ない事象であること。(続)

2016-03-19 16:40:37
penben @penben2020

(続)そう考えると、原発の問題は、たとえば「騒音被害を受けている隣地住民vs莫大な利益を上げている巨大工場」のような図式とはずいぶん違う部分があるように思えます。こういう場合にも一般論としての司法的優越が妥当するのかは、実はいささか疑問なところがあります。(続)

2016-03-19 16:42:36
penben @penben2020

(続)というわけで私の考えたことは(当該仮処分決定の当否の論評とは別に)おおむね以上のようなことでしたので、とりあえず終了。(以上)

2016-03-19 16:44:03