FCA(高速臨界集合体)のプルトニウム331kgを引き取りに来た、PNTLの輸送船の武装や警備、そしてプルトニウム回収の理由と背景について

パシフィック・ヘロンとパシフィック・イグレットがなぜ二隻体制で来たのか、どのような武装をしているのか、そもそもなぜプルトニウムを返還することになったのか。「地球的規模脅威削減イニシアティブ」なんていう中二病感たっぷりな単語も出てきます
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Dombury Sofan @DomSofan

@Archangel_HT (承前)前者の理由については画像から否定できる。後者の理由についても、そもそもそこまで取り回しが悪ければ、陸側に着ける船も向きを変えられない、つまり同じ方向になるだろうし、コの字型の岸壁だと該船の停泊中は向こう岸のバースが使えなくなる可能性があるから、

2016-03-23 04:10:28
Dombury Sofan @DomSofan

@Archangel_HT (承前)港側がそんなバースの指定をするとは考えづらい。よって後者の理由も否定してよいだろう。あと考えられる理由としては、さっきも言ったように荷役の都合だけど、俺はタンカーしかわからんから何とも言えん。ただ2杯着けして荷役するか?という疑問はあるけどね。

2016-03-23 04:15:52
Dombury Sofan @DomSofan

@Archangel_HT (承前)ここまで長々と書いたけど、結論としてはその推測は充分ありえるし、突飛ではない、というのが俺の意見。

2016-03-23 04:18:50

その2

ワカゾー @WakazoMarine

@Archangel_HT 普通じゃないです。出港出来る方向へ船首を向けることを「出船着け(付け)」と言いますが基本的に出船着けであることも間違いありません。ボクのTLの方で連投し基本出船着けの理由を解説しときましょう。

2016-03-24 06:56:59
ワカゾー @WakazoMarine

船は何故、出港出来る方向へ船首を向ける"出船着け"なのか?と言えば「出船着けの理由は天候が関係しているのです。天候というのは未だ人智による完全予測は不可能で、まさに青天の霹靂(霹靂とは雷)と申しましょうか、急な嵐に見舞われることが船乗りをやってると何度かはあるわけです。

2016-03-24 07:00:22
ワカゾー @WakazoMarine

その予想だにしない悪天候となった場合に船は船体や港の設備を守るため即断即決の離岸出港を行わなければなりません(そのため係留策を切断する斧も法定艤装として装備されている)。これが「港の奥へ船首を向ける入船着け(付け)」だと出港までの時間が出船着けよりも掛ってしまうわけです。

2016-03-24 07:03:42
ワカゾー @WakazoMarine

更に言えば「入船着けだと船は"その場回頭"を行って出港しなければならない」わけですが、以前にクラブボーリング(錨回頭)解説した際に言ったように「大型船は強風の圧力で出港できないことがある」のです。そのような強風下でその場回頭など不可能であり、せねばならないとしても大変危険です。

2016-03-24 07:08:50
ワカゾー @WakazoMarine

ですから船は設備上の理由がない限りは出船着けを基本としており、特に理由もなく入船着けは絶対にはしません。

2016-03-24 07:10:37
ワカゾー @WakazoMarine

ちなみに諸説あるようですが「右舷をStar boardと呼び、左舷をPortと呼ぶ」のは「過去の船では右舷で天体観測を行い、着岸を左舷で行った」からそう呼ばれるようになったというのが定説のようです。ただやはり船乗り的には着岸舷を固定する意味が無いと感じますので説は説ですね。

2016-03-24 07:18:28
ワカゾー @WakazoMarine

個人的にスターボード&ポートの説としてコレかなぁ?と感じるのは「Steerboard(ステアボード)が訛った説」です。昔の船はステアつまりSteer=操舵輪が中心でなく右舷へ備え付けてありステアのある右舷側をステアボードと呼んだが訛ってスターボードとなったという説があるのです。

2016-03-24 07:26:58
ワカゾー @WakazoMarine

まぁ諸説あることからも何でそうなったのか?が不明なので興味のある人はいろんな説を調べてみると良いかも知れませんね。

2016-03-24 07:31:08
ワカゾー @WakazoMarine

ふぅ・・・なんか久々に船乗りおじさんを真面目にやった気がするなぁ。普段は「ぜかましは貧乳なのではなく速力を出すためカッターバウを備えてるだけなんだよっ!」とか言ってるアカウントなのでフォローには注意が必要です

2016-03-24 07:34:40

3,今回のプルトニウムのアメリカへの返還のそもそもの理由

地球的規模脅威削減イニシアティブとその現状

林司@るーしゃんず @Archangel_HT

そう言えば、FCAのプルトニウム返還が決まったとき、「傾化する安倍政権が核兵器を作れないようにするためだ!!!」とかフいてた呟きや記事あったな。実際のところ、1970年代から核拡散防止体制の強化が謳われてたのに(インドの核実験が契機

2016-03-23 18:53:31

余談:アメリカが核燃料サイクルや高速増殖炉から手を引いたのも、このインドの核実験とそれによる核拡散防止体制強化が原因。

林司@るーしゃんず @Archangel_HT

特に9.11以降、核テロ防止のため「地球的規模脅威削減イニシアティブ(GTRI)」というのが2004年提唱されて、世界各国から高濃縮ウランやプルトニウムを米露に返還するのが進んでる。今回のも単にそれの一環でしかないと思うんだけど… mofa.go.jp/mofaj/gaiko/at…

2016-03-23 18:54:16
林司@るーしゃんず @Archangel_HT

このグラフは1kg以上の高濃縮ウランを持っている国の数の年次変化だけど、見ての通り、GTRIが始まった2000年代半ばから一気に20カ国ぐらい減ってる。例えばオーストリア、ジャマイカ、ハンガリー、チェコ、ベトナムとか。 pic.twitter.com/fDkyw5vTGn

2016-03-23 18:55:53
拡大

グラフ出典:Frank von Hippel, "Banning the Production of Highly Enriched Uranium," Report of the International Panel on Fissile Material, March 2015
http://fissilematerials.org/library/2016/03/banning_the_production_of_high.html

なおこのレポートについては、下記に詳細をまとめました。
高濃縮ウランの製造は禁止できるのか -HEUの用途と、LEUへの転換についてのIPFMの研究 http://togetter.com/li/951534

林司@るーしゃんず @Archangel_HT

2014年にイタリアベルギー、2009年から2012年にはスウェーデンから高濃縮ウランとプルトニウムを回収してる。 fissilematerials.org/blog/2014/03/h… fissilematerials.org/blog/2014/03/h… fissilematerials.org/blog/2012/03/s…

2016-03-23 18:57:01
林司@るーしゃんず @Archangel_HT

高濃縮ウランだけでなく、当然プルトニウムも回収されている。今回の日本のFCAとほぼ同時の2月に、スイスから約18kg、ドイツから30kgのプルトニウムがアメリカのサバンナリバーに送られた、とされてる。 fissilematerials.org/blog/2016/02/u…

2016-03-23 18:56:22
IPFM @fissilematerial

United States brings plutonium from Germany, Switzerland, and Japan fissilematerials.org/blog/2016/02/u…

2016-02-22 21:08:01
林司@るーしゃんず @Archangel_HT

ちなみにこのIPFMのブログ"HEU minimization Category "で、核燃料の輸送についてまとめているけど、"fresh"(未使用), "spent"(使用済み), "irradiated"(照射済み)がちゃんと分類されていることに注意な。

2016-03-24 06:11:01