眠れない私。

みんな催眠オナニーばっかさせるから!!!
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一輝 @unity_shine

姉が母代わりだった。寝たくないと駄々を捏ねる私に、姉はいつも絵本を読み聞かせてくれた。子供ながらに上手い語り口であったように思う。一度布団に入れられ本を開かれれば、私はたちまち本の世界に夢中になってしまう。けれど、最後まで聞けたことはない。いつも途中でうとうとしてしまって。

2016-03-23 01:59:35
一輝 @unity_shine

あのお話の結末は、どんなものだったのだろう。副隊長の重みに眠れず深夜の街をうろついていて、ふと思う。そんな折、雑貨屋で見覚えのあるタイトルを見つけた。絵本ではなく朗読のCDだったけれど、値段も見ずに買ってしまった。ベッドに入りヘッドフォンを耳につければ、久々の眠りに落ちた。

2016-03-23 02:04:01
一輝 @unity_shine

以来、私はこれを聞かずには眠れなくなった。何晩でも徹夜ができるのに、一度耳を傾ければすぐ眠りの世界へ。姉とは似ても似つかない声の開始数分。それだけの付き合いが、なくてはならないものになった。結末は、まだ聞けていない。昼にでも聞けばいいのかもしれないけれど、スイッチを押せずにいる。

2016-03-23 02:08:07
一輝 @unity_shine

「懐かしい物を聞いているな」。隊長の家に泊まった折。いつものようにヘッドフォンをしながら眠ろうとして、曲目を見られてしまった。「これの絵本、みほに読んでやってたんだ。母様はこういうの好きじゃなかったから」「あ、あの!」。思わず声が出た。「よければ、私にも読んで貰えませんか…」。

2016-03-23 02:21:53
一輝 @unity_shine

思いっ切り笑われたが、意外にも隊長は乗り気だった。情緒的な読み方をする姉と違い、起伏のない平坦な読み方。けれど、不思議と嫌ではなかった。お話の最後までを聞ききった私は、腕に抱かれながら眠りに落ちる。それから、私がヘッドフォンをつけることはなくなった。お泊りの回数は増えたけれど。完

2016-03-23 02:27:47