【公序良俗】の範囲についてのメモ

2020年版→https://togetter.com/li/1482880 ※正確性の確保になるべく努めてはいますが、専門家とかではないので正確性の保証はできません。 ※別に誰かと話し合いたいわけでない、ごく個人的なメモです。 ※致命的に間違っているならどうにかするけども。
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問題の要点と例の補足

「公序良俗」という言葉は大きく2通りの解釈で誤解に満ちた扱われ方をしている
「原義である法的な用語」である解釈と、「よく広まっている一般な認識」の解釈とで認識にズレが生じてしまっており、そうした誤解によって規約などの重要な文書における解釈が書き手と受け手によって大きな誤差が生まれてしまう状態となっている。
.言葉の解釈については文化上一般的な認識が重要であると考えられるが、法的な解釈としては安易に・勝手に変えてしまってよいものではないと思う。実際の判断は司法が下すものであるはず。

.この認識の差異による問題は特に個人が作品を配布し素材としての利用を許可する時の利用規約において発生しているようである。
利用規約に「公序良俗に反する利用の禁止」以外、補足も別の制限も書かれていない素材で、利用者が「性的な表現作品における利用は制限されていない」と解釈し(※原義的な・法的な意味で解釈すれば制限されていないとも読める)、素材配布者がその利用者に対して「公序良俗に反するため利用を停止してください」と要請するケースがあるようである。
.特に本文中におけるC社の話も同様の問題によって一企業が「解釈の表明」をするに至った時のものである。
.極まった解釈の例としては「(秘部などの露出や性行為などの描写なども無く)成人向けとしての制限を必要とし無さそうな程度のセクシーな表現」(第三者の目においても性的な表現による閲覧制限の必要性などが明確にはないもの)に対して「公序良俗に反する」と利用停止を求めたケースもあるようである。

.おそらくよくある一般的な認識の解釈しか知らない権利者からすればそうした問題は「なんで規約を理解していないのか」、法的な意味に近しい解釈についても「なんで勝手な解釈をしているのか」という認識だと思われる。
.しかし法的な解釈から考えている利用者からすれば、規約に書かれていないことを無理やり要求されているとすら思える。むしろ「そっちの勝手な解釈だろう」という状態。

.一般認識の解釈を法解釈に当てはめた場合、民法90条によって法的に様々な権利を著しく損なう恐れがある点の問題。
.あるいはもし「その法律以外の「公序良俗」は補足が無くとも一般認識を原則とする」としても、今度は性的な表現作品などを扱う場所における規約に矛盾が生じる問題がある。
.ついでに言うと、特に性的な表現作品を日常的に扱う人は(上記解釈による矛盾から)「公序良俗」が単純にエロ表現などを含むのではない、という法的な解釈に近しい認識を持っていることがある。
.「公序良俗に反する利用(過度に暴力的な・性的な内容を含む)」などの補足説明があるならば、規約内容が「そのような解釈である」と明確に分かるものの、そうでなければ正確には「どっちであるのか分からない」という状態になってしまっていると言える。

.こうした解釈上の問題からエロ表現などに使える素材の規約において(エロ禁止という誤解を防ぐために)「公序良俗」という言葉を使っていない場合もある。

個人的な立ち位置について補足

.そうした大きな解釈の違いを招く表現による「規約」自体が正しく機能しているものであると言えるのかどうか?、疑問に感じざるをえない。
.ただしかと言って「利用規約に書かれていないから、権利者がどう言おうと問題ない」というわけではない。権利者の意図は尊重されるべきだと考える。
.こうした理由から『公序良俗』という言葉について広く考えなおされるべきではないか、またそうした規約について書き直されたほうが望ましいのではないかと感じる。

.私は他人とあーだこーだと言い合うのが非常に厳しい体質で、これについて喧伝することは私の心身に甚大な負荷を与えることになりかねないので、これについて私が喧伝することは難しい。
.これについて人の意見を聞くつもりは特にないけれども、もし解釈上の致命的な問題点などがあれば修正はするつもり。

.全くの他人がこのことについて勝手に問題提起を行うこととかは、私を無関係とし、その人が法律等の知識を改めて確認しその人自身が全責任を負って言い始めるとかは歓迎したいです。


再補足

ただし法的な解釈においても「善良な風俗」という部分、「倫理道徳など」という枠組みについては『時代や背景に合わせて変わるもの』であり絶対的な定義は存在しません
法解釈としても、もし仮に「そうしたものの利用に関して一般的な認識として性的な表現などに用いてはならない」と判断された場合には上のお話は与太話の妄言になりえます。

でもそれは「司法などがそう判断した場合」であって、現状の解釈に甚大な差異が見られるという点・拡大解釈とも捉えることができる点についてを解決できる認識ではないと思います。
また司法の立場としても単純な一般認識だけでなく創作表現に対しては表現の自由やその他の慣例を含めて判断しなければならない難しい問題になると思います。

ついでに言うと現状でも作品自体の問題ではなく、権利者から要請があった場合に「権利者の要請に対して無視をする・反故をする」と言った行為に関しては、その行為自体が【公序良俗に反する利用】とされる可能性はありえると思います。なので「規約に書かれていないのだから権利者が何を言っても使っていいはずだ」は通らないと考えます。


◇追記:なぜこの問題は放置され続けているのか?

Philo.Dill📖 @vegel_dimerk

『公序良俗の解釈に関する齟齬』について、「公序良俗を一般的な解釈を主としている人」にとってはその解釈が【不都合な真実】であり、また「法的な解釈を主としている人」にとっては【藪蛇】である。だからろくに議論されることも広報されることも無く、放置され続けている、と思う。

2016-05-14 10:11:27
Philo.Dill📖 @vegel_dimerk

でも私は善意として、あるいは正義感によって【この問題は解決されるべきである】と思っている。この齟齬はどちらにとっても『問題を起こしうる爆弾』であり、現状長きに渡り宙に浮いたまま度々爆発しているのである。そしてそれは時に致命的なことにすらなる。それについて憂いを感じる。

2016-05-14 10:19:38