【抄訳記録】米クルーグマン教授が2016/3/22の『国際金融経済分析会合』で語ったこと(日英併記完全版)
- tkatsumi06j
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【訳者あとがき】10. ⑥後の質問で、ドイツに余力がある理由の一端が難民をケアするコストがそれほど高くないからだと判る。が、安倍総理は難民対策は財政出動に見合うのかと頓珍漢な質問をしている。それに見合わないからこそ、ドイツは政治的には余裕がなくても財政的には余地があるのだろうに。
2016-04-04 18:25:33【訳者あとがき】11. ⑦消費税については「VAT」として話しているが、理解が十分に浸透していないのではないか等、消費増税よりも政府の広報努力を暗に批判している。その上で、消費を圧迫する消費税よりも財政出動に力を入れたらどうかと提案している。増税延期の是非には全く触れていない。
2016-04-04 18:27:12【訳者あとがき】12. ⑧麻生副総理の「戦争特需」発言は最後まで尾を引いておりそれは難民対策に対する最後の発言にも表れている。教授は、まさか政府が本気で「戦争特需」に匹敵する財政刺激策を検討しているのであるまいという思いから、「難民問題は違うよ」と諭しているつもりなのだろう。
2016-04-04 18:28:23【訳者あとがき】13. ⑨この会合の肝は、安倍総理の冒頭発言にある通り、サミットに向けた準備にある。消費増税の先延ばしは内政的な議論で、問題は議長国として日本がどう経済優先の姿勢を明らかにしてリーダーシップを発揮し、もってそれを参院選のポイントに繋げることにある。したがって、
2016-04-04 18:29:16【訳者あとがき】14. 最も重要な議論は最後の教授との集中ディスカッションの中にある。つまり、G7各国と連携して財政出動を行うことであり、それをどうやるか、どう説得するかが肝であったということだ。結果、政府は「新成長戦略」を発表した。headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160404-…
2016-04-04 18:30:12【訳者あとがき】15. 今回の精読作業で改めて分かったのは、政府は枝葉の批判は全く意に介さず独自のアジェンダでサミット戦略を進めているということだ。消費増税は内政上の議論としては重要だが、サミットという外交イベントでは議長国としてどんな成果をその功績として残すかに重点が置かれる。
2016-04-04 18:31:29【訳者あとがき】16.① 麻生副総理の「戦争特需」発言や②「消費増税延期」の支持獲得、③ドイツとの財政出動連携の交渉に関するオフレコ発言という話題になっているポイントの中で政府が一番重要視しているのは③だ。①②は枝葉の議論にしか過ぎない。それが分かる有意義な作業だった。
2016-04-04 18:32:05【訳者あとがき】17. ⑩クルーグマン教授はアベノミクスの長年の支持者だったが、今回の会合で方向転換を促していたことは間違いない。コンセプトとしては理想なのだが、その実践がバランスを欠き、金融政策一辺倒になっている。そのことに関する危機感を露わにした会合だったといえるだろう。
2016-04-04 18:33:05【訳者あとがき】18.いくら「忌憚のない意見」を求められても、 公式な会合の場で政府首脳本人を前にしてあからさまな「非難」はできない。日本人は『察する文化』を信奉するくせに他国の人間がそれをやると「察する」ことができない。日本外交の致命的な欠点の根源がそこにある。
2016-04-04 18:34:15【訳者あとがき】19. こうして全体を俯瞰すると、たしかに今回のクルーグマン騒動」は、『日刊ゲンダイ』がすっぱ抜いたように、日本政府首脳の低レベルぶりを明らかにしてしまった「暴露事件」といえるかもしれないが、それは表層に過ぎない。 nikkan-gendai.com/articles/view/…
2016-04-04 18:40:42【訳者あとがき】終. 今回の一件で、マスコミや左派は政府には枝葉末節でしかない問題を取り上げ祭騒ぎとなったが、政府には明確なサミット戦略があり、会合内容のリークにも動じずに着実に自らの政治アジェンダを進めてみせた。戦略の実現性はともかくとして、敵ながら天晴れというしかない。以上
2016-04-04 18:47:21(余談)『訳者あとがき』を書いた後で『現代ビジネス』の”独占インタビュー”を読んだのだが、その内容は翼賛メディアによる間接的なダメージコントロールとしか思えない。ただ、一点、クルーグマン教授の台詞として信憑性のあるコメントがあった。 gendai.ismedia.jp/articles/-/483…
2016-04-04 18:51:20「金融政策だけではなく、いま日本政府が決断すべきは強力な財政政策だ。日本はいまだアベノミクスの第2の矢を放っていない」 gendai.ismedia.jp/articles/-/483… これは、議事録を精読して翻訳した立場としてはまさにその通りだと思う。だが、次の──
2016-04-04 18:52:46「金融政策と財政政策を合わせて出動し、さらに予定している消費増税もやめるべきだ。そこまでしなければ、日本はインフレを実現できない」 gendai.ismedia.jp/articles/-/483… というこの文は、いささか信用できない。「消費増税をやめるべき」と断言している場面などない。
2016-04-04 18:53:24とてもではないが、消費増税の延期が今回の対談の2大ポイントだったとは思えない。もしかしたら、これは【的外れな質疑応答】の中で失われたしまったフォーカスなのだろうか?なぜそれをクルーグマン教授が【暗示】しかしなかったのか。そのことのほうが気になるくらいだ。
2016-04-04 18:55:54冒頭のプレゼンでは、これは「ざっと訳」の記事がまとめているように、4つのポイントに絞って話が進められていた。その中では消費増税は「暗に勧められない政策」というニュアンスしかなかった。 lite.blogos.com/article/170289/ pic.twitter.com/i6ldkbByb6
2016-04-04 18:58:58だからロイターですら「事実上」いう表現で逃げているのだ。 jp.reuters.com/article/krugma… それを「これは今回の会談で、安倍総理に必ず伝えなければいけないと決めていたものです」と教授自身が語った? およそ信じ難い。 確認する方法は一つしかない。 余談は以上
2016-04-04 19:01:56最後にクルーグマン教授に直接確認
(※返答あれば掲載します)
@paulkrugman Dr. Krugman, I read your exclusive interview with Gendai Business and was taken by great surprise… twishort.com/zVpkc
2016-04-04 19:16:27