140ssログ3月

Twitterで書いてた雑多ssのログです。刀です。男同士です。
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やまたに @mw_snc

本当に僕が好きだねぇ。兄者が笑う。そうだな。正直に頷いた。可愛い。そう言って手のひらが頬を撫でてくる。されるまま暖かい体温を味わった。僕の弟。甘くとろりとした声に絡め取られるようだ。ところで、兄者も同じように絡まっているのを知っているか。まるで蜘蛛の巣のように。俺の兄者。(髭膝)

2016-03-02 19:09:37
やまたに @mw_snc

嫌いだ。と青江が呟く。いつもいつも、子供扱いして。だって、君が可愛いから。いつもいつも僕の気持ちなんか無視して。愛しくて体が勝手に動いてしまうんだ。いつもいつも僕を庇って。大事な君を守りたいんだよ。それで大怪我する君なんて大嫌いだ。ああ、泣かないでおくれ。(石かり)

2016-03-03 06:54:51
やまたに @mw_snc

駄目だ、と弟が言う。明日は出陣だ。代わるよ。兄者をひとりで行かせるなど。六人で行くんだよ。俺がいない。お前は毎回ついてくるね。う、と言葉に詰まったから、そのままちゅうと唇を吸った。じゃあ、ふたりでお休みしよう。とびきり甘く囁いて。駄目かな。だめ、じゃない。はい、終わり。(髭膝)

2016-03-03 06:59:10
やまたに @mw_snc

好きだ、と子供が言う。愛してる。周りの音に負けないように大声で。聞きたくないと耳を塞いだ手は剥ぎ取られて。ぎゅっと瞑った瞼の向こうで子供が叫ぶ。あんたを好きで、幸せだった。恐る恐る開いた瞳は天井をただ映す。夢だ。悪い夢。宗三はひとつ涙を落とした。燃えた子供に、記憶はない。(薬宗)

2016-03-03 07:04:22
やまたに @mw_snc

よしつねこうが、幼子のように弟は口にした。よしつねこうが、しんでしまった。そうかいそうかい、可哀想に。あにじゃ、どうしてよしつねこうは。勝手をするからいけないのさ。かまくらどのにさからったから。そう、お前はいいこだよね、僕の弟。はい、以外の返事はいらないよ。(髭膝)

2016-03-03 21:39:27
やまたに @mw_snc

椎茸一つ、牛蒡一つ。箸で取って宗三は弟の小さな口へ運んでいく。兄様、自分で食べられるよ。困り顔の弟は無視をして、鶏肉。人参を差し出すと、嫌そうな顔。嫌いですか。聞くと違うと首を振る。子供じゃない。そう、と笑って自分の口へと人参を放り込む。これ全部、僕は嫌いなんですけど。(左文字)

2016-03-04 07:13:22
やまたに @mw_snc

厳格な家長に聞き分けのいい子供。そんな姿で兄と弟は家族として成立した。一緒に寝るし、ご飯を食べる。歯磨きの姿勢はよく似ている。そんなふたりから手を伸ばされて、宗三は背中を向けた。家族なんて、今更、と。うちの次男は反抗期ですね。でも、優しいよ。そんな会話は聞こえない。(左文字)

2016-03-04 07:20:29
やまたに @mw_snc

兄者、頼みがある。正座のまま頭を下げて、弟がそう切り出した。なんだろう、ごくりと唾を飲み込んだ。このようなこと、烏滸がましいと罵られるやも知れんが。いいから言ってごらん。く、口吸いしてもいいだろうか。待って、そんなこと。こちらから触れてやれば、弟は幸せそうに目を細めた。(髭膝)

2016-03-04 07:26:49
やまたに @mw_snc

さむい朝がようやく去った。それ自体は喜ばしいのですが、と江雪は嘆いた。寒い、と一つの布団に潜った体温が、暖かくなったから消えたのだ。溜息を吐く兄を見て宗三は部屋を出る。仕方のないお兄様。小夜、小夜。兄様がまだ朝は寒いそうですよ。さて、いつまでこの言い訳が持つでしょうか。(左文字)

2016-03-04 09:30:47
やまたに @mw_snc

ひとりで平気だと、強がる子がいる。だから。石切丸殿。神有月に見た顔をすり抜けて。石切や。美しき同派の太刀に首を振って。そうだね、君が源氏の刀じゃない方が僕にも都合がいいなぁ。双剣に拘る刀に頷いて。青江、おいで。全て捨てて君を選んだこと、きっと君は知らないね。(石かり)

2016-03-05 21:46:04
やまたに @mw_snc

兼さん、と呼んで部屋からひとり消えた。いち兄。ふたり消えて。あとの繋がりは誰だろうと探して、探して。いっそ無銘ならば、そんな馬鹿なことも考えて。石切丸。君が、あのとき僕を選んでくれたから。青江、おいで。今日も手を差し伸べる、僕の一番最初の特別なひと。(石かり)

2016-03-05 22:05:50
やまたに @mw_snc

監視はいつでもそこにいた。薬研兄。一番小さな弟とか。薬研。酔った短刀とか。せっかくここに来ても、あんたの手を掴めもしない。中に入って、一緒に燃えるまで見届けることもできやしない。ただ、ふたりきりで話すことさえも。薬研、行くぞ主が待っている。ああ、今日はあんたの邪魔か。(薬宗)

2016-03-05 22:29:00
やまたに @mw_snc

兄者、どこだ、兄者。薄闇の中で弟が呼んでいる。ただでさえ探し物の下手な弟は、夜目も効かないのだから尚更だ。隠れているつもりはないのに、まるで隠れ鬼のよう。こっちだよ。呼ぶと駆けてくる君は、鬼には全く見えないけれど。そう、弟は悲しいくらいに鬼にならない。(髭膝)

2016-03-06 18:04:59
やまたに @mw_snc

妬いてはならぬ、と戒めた。兄が誰といようと、誰と笑おうと邪魔などしてはいけないのだと。俺だけを見てくれ、それは過ぎた願いだ。身を弁えねば鬼になる。ならぬ、と自分の心を殺す。兄者が鬼を切らぬように。そう、再び刀を切ったと言われぬように。俺は何事もないふりをする。(髭膝)

2016-03-06 18:11:38
やまたに @mw_snc

彼の話し相手は意外と多い。脇差は言うに及ばず、三条の面々ともいつの間にか認められて。それはいいことなんだろうけれど、と石切丸は思う。少しだけ面白くないのは、寄る辺なかった彼を知っているからか。私だけのではなくなって、寂しいからか。君が楽しそうだから言わないけれどね。(石かり)

2016-03-07 06:51:20
やまたに @mw_snc

彼は最初から色々と持っていた。能力は高く、神格も。知り合いも多くて、と青江は懐かしく思う。初めは不信と不安だった。どうして僕と、と。一年かけて、そんなもの消えてしまったけれど。僕が他のひとといると、君も不安だって気付いたから。ねぇ、そういう意味で見てるのは君だけだよ。(石かり)

2016-03-07 06:55:27
やまたに @mw_snc

過ぎた嫉妬でなきゃいいと思うけど。大脇差の言葉に髭切は首を傾げた。羨ましいと思ってする努力もあるよ。羨望と嫉妬は紙一重だ。そうだねぇ。そうかもしれないねぇ。でも、と髭切はひとつ名を呼んだ。駆け寄る人影。兄者、どうされた。僕はね、妬く意味自体わからないんだ。必要ないからね。(髭膝)

2016-03-07 14:28:37
やまたに @mw_snc

塗り薬をくれるかい。医務室に青江が訪れた。戦の怪我なら大将に。ちょっとした日常のだよ。なら、火傷か。擦り傷か。言いながら、薬研は手元の液体を保存瓶へ詰め替える。裂傷、かな。なにして。ちょっと。どこを。にやりと笑うと、ようやく嵌められたことに気付いて真っ赤になった。(石かり+薬研)

2016-03-07 18:00:34
やまたに @mw_snc

あなたのせいです。開口一番に言われて薬研は頷いた。頷くしかなかった。俺が出せる最高級品質だ。綺麗な硝子の器に入れた薬を目の前に置くと、少しだけ表情が緩む。あなたのせいですから。おう。返事は。はい、俺のせいです。くすり、と下げた頭の上から笑い声。責任取って塗ってくださいな。(薬宗)

2016-03-07 18:04:36
やまたに @mw_snc

尻が痛い。獅子王の訴えに薬研は笑う。色気がないと思って。軟膏か、痛み止めの丸薬がいいか。からからと、苦そうな色の丸薬を詰めた瓶を振ると、獅子王の顔まで苦くなる。じいさんにはりきり過ぎだって言っとけよ。すると彼は言いにくそうに。いや、御手杵と野球したら尻餅ついた。(じじしし+薬研)

2016-03-07 18:10:59
やまたに @mw_snc

君はいつだって僕の意思を汲むから。兄者がいいなら、兄者のいいように。したいこともしたくないことも。それでも願うことには、よいだろうか、と必ず聞くから。だから。兄者、怒ったか。馬鹿だね、君がどうしてもしたくてした不意打ちの口付けに、耳まで熱くなったのを隠したいだけだ。(髭膝)

2016-03-07 21:49:07
やまたに @mw_snc

体温が低いくせに、と素の指先を捕まえた。手のひらで擦って、はぁ、と息を吐きかけると少しだけ赤みが差す。もっと暖かい格好しろよ、お姫さん。からかうと、つい、と足が太ももをなぞって。こっちも寒いか。あなたの足も大概ですよ。じゃあ、と擦り合せるその先は、まぁ布団の中が丁度いい。(薬宗)

2016-03-11 06:50:15
やまたに @mw_snc

寒さに弱い弟の体を後ろから抱き込んだ。ほう、と心地よさそうに息を吐くから可愛くて、項にちゅ、と唇を落とす。シャツ一枚の肩にも。そこだけ赤く染まった耳にも。繰り返し、繰り返し。その内、腕の中の方が熱くなって、ありゃと軽く笑う。ねぇ、これでは反対にお前の熱が僕に移されそうだ。(髭膝)

2016-03-11 06:55:44
やまたに @mw_snc

ひとの本能だもの。欲望だもの。そう無邪気に髭切はにこりと笑った。まるで、ひとがたを持たせたことが悪いと言うように。悪いのは、それだけだと言うように。駄目だ。弟が首を振る。駄目じゃない。無意味だ。無意味なのはお前の抵抗だろう。組敷かれて逃げないのはだあれだ。(髭膝)

2016-03-14 17:29:50
やまたに @mw_snc

もう寝ましょう。そう、切り出されて、薬研は唇を尖らせた。まだ前田も寝ない時間だぜ。布団は敷いてありますよ。他に約束でもあるってのか。酔いに任せて疑えばいいえ、と。子供扱いか。いいえ。くすくすと笑う声に、ならなんだとつぶやこうとして唇を塞がれて。薬研、寝ましょ。ああ、うん。(薬宗)

2016-03-14 17:42:25
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