「福島の子供たち:医療検査が招く問題」(シカゴトリビューンの社説"Editorial: The children of Fukushima: When medical tests mislead"をざっと訳してみた

原文:http://www.chicagotribune.com/news/opinion/editorials/ct-fukushima-cancer-thyroid-medical-screening-tests-edit-0326-jm-20160324-story.html シカゴトリビューンの社説 "The children of Fukushima: When medical tests mislead" をざっと訳してみました。 過剰診断と過剰治療の話です。 訳文はこの解説欄にも貼っておきます。       「続きを読む」をクリックしてください。         ------------- 続きを読む原文:http://www.chicagotribune.com/news/opinion/editorials/ct-fukushima-cancer-thyroid-medical-screening-tests-edit-0326-jm-20160324-story.html シカゴトリビューンの社説 "The children of Fukushima: When medical tests mislead" をざっと訳してみました。 過剰診断と過剰治療の話です。 訳文はこの解説欄にも貼っておきます。       「続きを読む」をクリックしてください。         -------------       福島の子供たち:医療検査が招く問題 シカゴトリビューン編集委員会 2016年3月25日 5年前、福島原発事故によって陸と海に極めて有害な放射線がまき散らされた。以来、日本も他の国々も、原子炉が機能しなくなった理由と、同じような災害を防ぐ方法について、多くの教訓を得ている。 中でも最も関心を引く教訓の1つは、過剰な放射線に曝された怖れのある数十万人の日本人の子供に関わるものだ。 日本の公衆衛生当局は、1986年のチェルノブイリの核事故後、ロシアの子供に甲状腺癌が増えたことを意識していた。そこで、研究者らは、福島地域の30万人を超える18歳以下の子供たちに対して、甲状腺癌につながる怖れのある甲状腺異常のスクリーニングを実施した。 科学者が最初に得た知見は不安を呼んだ。検査によって、福島の子供には、原子炉の放射線に曝されていない日本の他の地域の子供に比べて約30倍の初期甲状腺癌の症例が見つかったのだ。多くの子供が生検を受け、さらにその一部は甲状腺を摘出された。この手術はリスクがある上、生涯に渡る甲状腺ホルモン剤の服用が必要になることを意味する。 しかし、その後のデータの精査により、多くの疫学者は下記の理由によって初期の知見を疑うようになった。 ●事故現場に近い最も汚染された地域に住む子供の初期癌の有症率は、遠く離れた地域に住む子供と変わらなかった。 ●幼児と乳児の甲状腺は年長の子供よりも影響を受けやすく、異常所見の率が高いと予想されていたが、高くはなかった。 ●一部の癌はメルトダウン後1年以内に発見された。だが、甲状腺癌が発症するまでには、放射線に曝されてから数年かかる。 疫学者は次のように説明している。癌の所見の大半は、放射線リスクが増したためではなく、何万人もの子供に対して高感度の超音波機器を使って甲状腺癌のスクリーニングが実施されたためである。通常、こうした子供に対するスクリーニングは行われないので、異常は見つからない。 当初、科学者は福島の子供の結果を日本全国の子供と対比していた。しかし、同じ高感度の超音波機器が日本の他の地域の子供のスクリーニングにも使用されるようになると、多数の甲状腺癌が同様に見つかり、30倍の違いはなくなってしまった。 つまり、スクリーニングの規模を大きくすれば、福島の子供に限らず、より多くの初期甲状腺癌が見つかるのである。韓国の医療当局は、政府が1999年に超音波による癌の広範なスクリーニングを導入してからの同様の知見を報告している。 その中に、検査の得失についての注意すべき教訓がある。 甲状腺癌はまれな病気であり、通常はゆっくり進行する。福島の子供に超音波検査で見つかった異常の多くは、治療の必要な癌に進行することはないだろう。原子炉のメルトダウンのせいで子供の甲状腺癌死が異常に増えることはありそうにない。甲状腺を摘出された子供の中には、しばらく経過観察したほうがよかった例があるかもしれない。 福島の子供たちから得られた教訓は、徹底したスクリーニングを行えば、より多くの病気が見つかるが、必ずしも治療すべき病気が増えるわけではないということだ。 この現象を過剰診断と呼ぶ。スクリーニングによって治療する必要のない癌が見つかる。もしあったとしても進行が遅いからだ。放置しておいても、おそらく問題は生じない。だが、些細な異常と最終的に病気になるものを区別するのは困難なこともある。 日本は海の彼方だとしても、医療スクリーニングを受けようと思っているすべての人に次のメッセージを送る。検査によって命が救われることもある。だが、検査が過剰診断につながり、最悪の場合には過剰治療につながることもある。医師に相談することだ。なぜなら、知らなくても無害なこともあるけれど、知るのが有害なこともあるからだ。
gomataro555 2003view 6コメント
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  • gomataro @gomataro555 2016-04-17 21:35:47
    「福島の子供たち:医療検査が招く問題」 シカゴトリビューン編集委員会 2016年3月25日
  • gomataro @gomataro555 2016-04-17 21:35:59
    5年前、福島原発事故によって陸と海に極めて有害な放射線がまき散らされた。以来、日本も他の国々も、原子炉が機能しなくなった理由と、同じような災害を防ぐ方法について、多くの教訓を得ている。
  • gomataro @gomataro555 2016-04-17 21:36:09
    中でも最も関心を引く教訓の1つは、過剰な放射線に曝された怖れのある数十万人の日本人の子供に関わるものだ。
  • gomataro @gomataro555 2016-04-17 21:36:28
    日本の公衆衛生当局は、1986年のチェルノブイリの核事故後、ロシアの子供に甲状腺癌が増えたことを意識していた。そこで、研究者らは、福島地域の30万人を超える18歳以下の子供たちに対して、甲状腺癌につながる怖れのある甲状腺異常のスクリーニングを実施した。
  • gomataro @gomataro555 2016-04-17 21:36:56
    科学者が最初に得た知見は不安を呼んだ。検査によって、福島の子供には、原子炉の放射線に曝されていない日本の他の地域の子供に比べて約30倍の初期甲状腺癌の症例が見つかったのだ。
  • gomataro @gomataro555 2016-04-17 21:36:59
    多くの子供が生検を受け、さらにその一部は甲状腺を摘出された。この手術はリスクがある上、生涯に渡る甲状腺ホルモン剤の服用が必要になることを意味する。
  • gomataro @gomataro555 2016-04-17 21:37:08
    しかし、その後のデータの精査により、多くの疫学者は下記の理由によって初期の知見を疑うようになった。
  • gomataro @gomataro555 2016-04-17 21:37:22
    ●事故現場に近い最も汚染された地域に住む子供の初期癌の有症率は、遠く離れた地域に住む子供と変わらなかった。
  • gomataro @gomataro555 2016-04-17 21:37:32
    ●幼児と乳児の甲状腺は年長の子供よりも影響を受けやすく、異常所見の率が高いと予想されていたが、高くはなかった。
  • gomataro @gomataro555 2016-04-17 21:37:40
    ●一部の癌はメルトダウン後1年以内に発見された。だが、甲状腺癌が発症するまでには、放射線に曝されてから数年かかる。
  • gomataro @gomataro555 2016-04-17 21:37:49
    疫学者は次のように説明している。癌の所見の大半は、放射線リスクが増したためではなく、何万人もの子供に対して高感度の超音波機器を使って甲状腺癌のスクリーニングが実施されたためである。通常、こうした子供に対するスクリーニングは行われないので、異常は見つからない。
  • gomataro @gomataro555 2016-04-17 21:38:07
    当初、科学者は福島の子供の結果を日本全国の子供と対比していた。しかし、同じ高感度の超音波機器が日本の他の地域の子供のスクリーニングにも使用されるようになると、多数の甲状腺癌が同様に見つかり、30倍の違いはなくなってしまった。
  • gomataro @gomataro555 2016-04-17 21:38:17
    つまり、スクリーニングの規模を大きくすれば、福島の子供に限らず、より多くの初期甲状腺癌が見つかるのである。韓国の医療当局は、政府が1999年に超音波による癌の広範なスクリーニングを導入してからの同様の知見を報告している。
  • gomataro @gomataro555 2016-04-17 21:38:49
    その中に、検査の得失についての注意すべき教訓がある。
  • gomataro @gomataro555 2016-04-17 23:17:10
    甲状腺癌はまれな病気であり、通常はゆっくり進行する。福島の子供に超音波検査で見つかった異常の多くは、治療の必要な癌に進行することはないだろう。
  • gomataro @gomataro555 2016-04-17 21:39:20
    原子炉のメルトダウンのせいで子供の甲状腺癌死が異常に増えることはありそうにない。甲状腺を摘出された子供の中には、しばらく経過観察したほうがよかった例があるかもしれない。
  • gomataro @gomataro555 2016-04-17 21:39:29
    福島の子供たちから得られた教訓は、徹底したスクリーニングを行えば、より多くの病気が見つかるが、必ずしも治療すべき病気が増えるわけではないということだ。
  • gomataro @gomataro555 2016-04-17 21:39:41
    この現象を過剰診断と呼ぶ。スクリーニングによって治療する必要のない癌が見つかる。もしあったとしても進行が遅いからだ。放置しておいても、おそらく問題は生じない。だが、些細な異常と最終的に病気になるものを区別するのは困難なこともある。
  • gomataro @gomataro555 2016-04-18 00:33:22
    日本は海の彼方だとしても、医療スクリーニングを受けようと思っているすべての人に次のメッセージを送る。
  • gomataro @gomataro555 2016-04-17 21:40:06
    検査によって命が救われることもある。だが、検査が過剰診断につながり、最悪の場合には過剰治療につながることもある。医師に相談することだ。なぜなら、知らなくても無害なこともあるけれど、知るのが有害なこともあるからだ。

コメント

  • gomataro @gomataro555 2016-04-17 23:15:57
    Many of the ultrasound findings in the Fukushima children may never progress to full-blown cancer.を「甲状腺癌はまれな病気であり、通常はゆっくり進行する。福島の子供に超音波検査で見つかった異常の多くは、末期癌まで進行することはないだろう。」から「甲状腺癌はまれな病気であり、通常はゆっくり進行する。福島の子供に超音波検査で見つかった異常の多くは、治療の必要な癌に進行することはないだろう。」にしました。
  • gomataro @gomataro555 2016-04-18 00:34:34
    The message to all patients — even those an ocean away from Japan — who are contemplating health screenings:を「日本とは海をはさんで離れている人も含め、医療スクリーニングを受けようと考えているすべての患者に次のメッセージを送る。」としていましたが、「日本は海の彼方だとしても、医療スクリーニングを受けようと思っているすべての人に次のメッセージを送る。」に修正しました。
  • すえぞ @bbr_suezo 2016-11-14 11:50:55
    まとめお疲れ様です。凄くわかりやすい内容でした。年に数回この様な説明を受けたり話したりするのでこの様なまとめは有り難いです。
  • mikunitmr @mikunitmr 2016-11-14 12:02:11
    要約『過剰診察は害でしかない』
  • gomataro @gomataro555 2016-11-14 18:55:00
    4月18日の修正を「解説文」欄にも反映しました。
  • neologcutter @neologcut_er 2016-11-14 23:12:45
    甲状腺ガンは他のガンに比べ明らかに重みがないのだが、 #反原発 が「チェルノブイリ」とセットで人を脅す時の小道具に成り下がってますね。

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