「経済学的な家族ツイート」まとめ その17

海外での権利交渉に挑む父。しかし、あと一歩のところで不可解な事件に見舞われる。一方、学校に根を張り、どんどん支配力を強める転校生グループ。生徒会選挙が近づく中、彼らのなりふり構わぬやり方がついに息子の逆鱗に触れた。そして、闘いはついに全面戦争の様相を呈するようになっていく・・・。二つの糸がついに交錯する、シリーズ第17弾公開!
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本の虫(本体) @honnomusi

経済学的な父の勇姿1:父「ここの権利関係はこれでいいのかな?」弁護士「いや、それはこの法律があって・・・」父(法律というのは不完全なものだ。時代が変化しても文面はそのままだし、解釈の幅があって論争になることもしょっちゅうだ。特にこういう権利管理の問題は実にややこしい。)

2011-02-01 17:14:37
本の虫(本体) @honnomusi

経済学的な父の勇姿2:父(法律の文面って気を抜くと一瞬で読み飛ばしてしまうから、常に疑いの目を向けないと後で後悔することになる。この弁護士さんとももう何回打ち合わせしただろう。分業の利益を痛感するね。)弁護士「譲歩できるギリギリのラインはここですね」父「・・・そうだね」

2011-02-01 17:19:35
本の虫(本体) @honnomusi

経済学的な父の勇姿3:父(さて、最低ラインは決まったとして、最初の提示条件をどこに設定するかな?あんまり強硬な条件を出すと「何だこの野郎!」ということになるし、ぬるすぎても足元見られる。とりあえず、こっちが切羽詰ってることは絶対に向こうに悟られちゃいけないな。)

2011-02-01 17:21:51
本の虫(本体) @honnomusi

経済学的な父の勇姿4:父「よし、行こうか」弁護士「はい」立ち上がり、受付に向かう二人。父(ビジネスは闘いの連続だ。)交渉相手と握手をする父。父(最初会ったとき、まず相手の頭のてっぺんからつま先までチェックする。靴先が汚れてたり寝癖がついてたら、そこから先はずっと舐められる。)

2011-02-01 17:25:21
本の虫(本体) @honnomusi

経済学的な父の勇姿5:父(気を抜きがちなのが、襟元だ。目立たないところまでちゃんと手入れが行き届いているかも試されている。他にも、爪が切れているか、スーツ・ワイシャツがバッチリ決まっているかどうかなどなど、チェックポイントは他にもたくさんある。俺も出張前に新調した。)

2011-02-01 17:28:26
本の虫(本体) @honnomusi

経済学的な父の勇姿6:父(しかし、こいつ良いスーツ着てるなあ・・・)父は席に座る。父(スーツに金をかけられる人間というのは、会社から大きな経費や権限を与えられているってことだ。それだけ相手がこの交渉に力を入れているということでもある。手ごわい相手だな・・・。)

2011-02-01 17:32:20
本の虫(本体) @honnomusi

経済学的な父の勇姿7:父(こういうのは、握手をした時点で大体勝負が見えたりするものなんだが、今回はちょっと見えないな。)父「こちら側はこのプランを提示したいと思います。」交渉相手「いいや、それでは賛同できないな。それと、ここの表現を直してくれ。」父(わざと曖昧にしてたところを…)

2011-02-01 17:34:56
本の虫(本体) @honnomusi

経済学的な父の勇姿8:弁護士(交渉が煮詰まってきたな。何とか最低ラインは守れそうだ・・・)すると、そこに交渉相手の秘書がやって来る。メモを交渉相手に渡す。相手はそれをしばらく見つめると、血相を変えて立ち上がった。交渉相手「すまん、この交渉は一旦保留にしよう」父・弁護士「え!!!」

2011-02-01 17:40:46
本の虫(本体) @honnomusi

経済学的な父の勇姿9:会社の外に出る父。父「どういうことだ、いきなり保留なんて?!」弁護士「分からん。向こうの会社に何かあったとしか・・・。」そのとき、父の電話が鳴る。父「もしもし、ああ部長。どうかしましたか?」部長「大変だぞ、先方の株価が急落してる!ニュースを見てみろ!」

2011-02-01 17:45:27
本の虫(本体) @honnomusi

経済学的な父の勇姿10:父はバーに入ってテレビを見る。そこには「○○社、株価1円」というテロップが出ていた。父「はあ?!」弁護士「こりゃあ交渉どころじゃないな・・・。買い注文が殺到するぞ。下手したら買収されかねん」。テレビではコメンテーターが「買え!買うんだ!」と叫んでいる。

2011-02-01 17:48:29
本の虫(本体) @honnomusi

経済学的な父の勇姿11:父は携帯を取り出してかけまくる。弁護士「何をしてるんだ?」父「こんな値動きはおかしい。市場の安定性の観点からもきっと取引は認められないだろ。俺は一足先に原因究明だ。しかし、これは下手すると滞在延期かもな。」弁護士「飛行機の予約変更をしておこう」父「頼むよ」

2011-02-01 17:51:48
本の虫(本体) @honnomusi

経済学的な父の勇姿12:結局原因は、複数の金融機関が動かしていた売買システムの噛み合わせが上手くいかなくて、一気に注文が特定の銘柄に殺到したことだった。システムの誤作動ということで、1円の売買は認められず、取引先の株価も正常値に戻った。そして、無事に特許の契約もまとまった。

2011-02-01 17:56:21
本の虫(本体) @honnomusi

経済学的な父の勇姿13:飛行場の待合室で待つ父と弁護士。弁護士「いやあ、一時は肝を冷やしたが、案件がまとまってよかった。」父「・・・そうだな・・・」弁護士「何だい?腑に落ちないみたいだが。」父「結局、あの大暴落の引き金を引いたのが誰かは分からずじまいだな。」不満顔の父。

2011-02-01 17:58:49
本の虫(本体) @honnomusi

経済学的な父の勇姿14:弁護士「まあ、それは他の人に任せておけばいいじゃないか。」父「知り合いのアナリストに聞いたんだが、あれは人間業じゃない、というんだ。」弁護士「人間業じゃない?」父「記録を辿ると、銘柄の選定がおかしいらしい。しかも、そこに一瞬で多額の金をぶち込むなんて。」

2011-02-01 18:02:21
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経済学的な父の勇姿15:弁護士「ということはシステムトレードということか?」父「ああ、しかし大手金融機関がそんな動きをしたという話は聞かない。・・・おかしいな、何か引っかかる。」アナウンスが流れ、搭乗の準備するように促す。対して、来た道を父は逆行する。弁護士「おい、どこに行く!」

2011-02-01 18:05:43
本の虫(本体) @honnomusi

経済学的な父の勇姿16:父「ちょっと調べ物をしてくるよ。部長に言って有給取っといて。」弁護士「ちょっと待て、向こうはお祝いの準備をしてくれてるんだぞ!」父は弁護士のほうを見る。父「悪いが、俺は好奇心の奴隷だ」弁護士「!」父は前を向いて歩き出す。そこから先は、もう振り返らなかった。

2011-02-01 18:12:16
本の虫(本体) @honnomusi

経済学的な息子の逆鱗1:息子「何?お前生徒会選挙に出るのか?!」悪友「ああ、俺もこの学校のために何かできればなと思ってさ。」息子「で?何を企んでる?」悪友「って、全く信用されてない?!」息子「お前がそんな美しい言葉を使うときは、悪だくみをしているときと相場が決まってるんだ。」

2011-02-01 18:23:01
本の虫(本体) @honnomusi

経済学的な息子の逆鱗2:悪友「そんなことねえよ。俺は先輩たちの仕事を見て感銘を受けて・・・(高校入試ヤバイから内申点ホシイナ・・・)」息子「ん?今なんかお前の心の声が聞こえてきたような…」悪友「何を言っているんだね君は。親友が善行に励もうとしてるのに(そして、推薦ゲットだぜ!)」

2011-02-01 18:27:43
本の虫(本体) @honnomusi

経済学的な息子の逆鱗3:息子「まあ、動機は何であれ、結果的に正しいことをすれば問題ない。」悪友「帰結主義だな、うんうん。・・・って、一貫して信用されてねえ!」風紀委員「頑張りなさいよ。応援してあげるから。まっ、私も風紀委員で立候補するけどね。」息子「過去の迷惑を清算するんだな。」

2011-02-01 18:31:19
本の虫(本体) @honnomusi

経済学的な息子の逆鱗4:息子(そうして、悪友が図書委員の立候補届けを出した次の日・・・。)悪友「なっ、何だこりゃ・・・」校内に張られた対立候補のポスター。校内新聞にも一面で彼女の記事が掲載されていた。昼の放送でも、彼女のPR内容が流される。息子(学校中が、彼の敵になった・・・)

2011-02-01 18:35:04
本の虫(本体) @honnomusi

経済学的な息子の逆鱗5:悪友「おい待て、何でこのタイミングで対立候補の記事が載るんだ!」新聞部「そうはいってもねえ・・・」息子「タイミングがおかしくないか?」放送部「いやあ、そうはいっても会議で決まったことだから・・・」風紀委員長「・・・」現在の風紀委員長は二人から目をそらす。

2011-02-01 18:38:15
本の虫(本体) @honnomusi

経済学的な息子の逆鱗6:息子(おかしい、何でこんなにドンピシャのタイミングで?しかも、どこもかしこも理由をちゃんと説明しない。・・・まるで何かを恐れているように。)悪友はしょげ返って教室に戻ってくる。悪友「だめだ、教師も聞く耳持ってくれない。」悪友は机を見る。中から手紙が溢れる。

2011-02-01 18:42:11
本の虫(本体) @honnomusi

経済学的な息子の逆鱗7:出てきた手紙には悪友への誹謗中傷がこれでもかというぐらいに書かれていた。鞄には吐き捨てられたガムが詰まっている。悪友に向けられるクラスの視線は冷め切っていた。教室移動もうつむきながら行なう悪友。日に日に生気を失い、痩せていく。その姿をせせら笑う生徒たち。

2011-02-01 18:45:31
本の虫(本体) @honnomusi

経済学的な息子の逆鱗8:息子(とうとう、あいつは学校に来なくなった。それでも、自宅には誹謗中傷を書いた手紙が毎日ポスト一杯に届くそうだ。しかも、どこから知ったか分からないが、携帯にも似たようなメールが大量に来るらしい。)息子は学校を歩く。息子(この悪意は、一体どこから来るんだ?)

2011-02-01 18:51:35
本の虫(本体) @honnomusi

経済学的な息子の逆鱗9:息子は何気なく新聞部の部室に視線を向ける。瞬間、息子は目をむいた。視線の先には、異様な空気が充満した教室の様子があった。部室内の生徒は全員が転校生を取り巻き、媚びへつらった視線を彼に向けていた。ソファに悠々とふんぞり返る転校生は、息子のほうに一瞥をくれると

2011-02-01 18:57:52