【Голубй крейсер-空色の巡洋艦】

初霜×グラーフという珍しい組み合わせ
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葛葵中将 @katsuragi_rivea

彼の言葉が真ならば、輝かしい栄光を求め世界と自身の技で競いあっていた頃のライバル達… 彼らのような者が現れ、自分と対等の力を持って戦火の争いを繰り広げ、 いずれ自分を止めてくれる。という期待を今も信じ、抱いている。

2016-10-27 21:24:39
葛葵中将 @katsuragi_rivea

更に磨かれた己の力を前に、蹂躙されるだけの存在を腐るほど眺めることにはもはや辟易していた。 目の前にいる小さな姿、黒の駆逐艦…その薄紅の瞳、その奥に僅かに可能性を見た…気がした。だが、それは ―――どうやらそれは買い被りのようだった。

2016-10-27 21:26:16
葛葵中将 @katsuragi_rivea

あの駆逐艦が捉えたつもりで放った魚雷には強い覚悟も、殺意も込められていないことを察知したタシュケントは怒りに近い感情を抱く ―――ナメた真似をしてくれる。 結局、今回もいつもと変わらない。"あの人"から預かった任務を遂行して終わり。 焼き増しの世界がまた待っている。

2016-10-27 21:28:03
葛葵中将 @katsuragi_rivea

鼻で僅かに嘲笑し、憎悪の感情を巡らせる… ―――そんなに望むのならば、終わらせてあげる。 足元に備え付けられた特殊艤装は排気音(エキゾースト)を掻き鳴らし、熱を生み出し、海上に円形の波紋を作り出す。 ―――Экраноплан старт -エクラノプラン、起動-

2016-10-27 21:29:17
葛葵中将 @katsuragi_rivea

時間を、風を、空気を置き去りにするかのような感覚…この瞬間だけは、 虚ろな心を満たしてくれた。身体にかかる負担すらも心地よいと思えるほどに だがその時間も刹那の間に留まるに過ぎない。再び心は掻き乱される ―――その目は…いつも…いつも…

2016-10-27 21:30:36
葛葵中将 @katsuragi_rivea

向けられる瞳には畏れと共に、己の姿を嗤うかのように外套、空の色がおぼろげに映り込む。 自らに課せられた呪いとも言える忌むべきその色は彼女が最も嫌いな色であった。 ―――今日も、消してあげる。明日も、その先も、私の目の前から、世界から、未来永劫…! 消エロ、空色ノ巡洋艦

2016-10-27 21:32:00
葛葵中将 @katsuragi_rivea

彼女は堕ちる心を氷刃のように鋭く尖らせ、言葉にして黒い小さな駆逐艦――初霜――へと突きつけた。 Перефокусируйте его. Не больше сдерживаться  -仕切り直しだ。もう手加減はしない- умереть -死ね-

2016-10-27 21:33:34
葛葵中将 @katsuragi_rivea

【Голубй крейсер-空色の巡洋艦】♯6

2016-10-28 23:02:09
葛葵中将 @katsuragi_rivea

これは記憶―――初霜はいつしかの日に意識を落とす。 「初霜、お前…あの"島風"みたいな速力を持つ敵が現れたらどうするよ?」 「何ですか?藪から棒に」 南方訓練海域の桟橋に腰をかけながら初霜の司令官である男は語りかけた。

2016-10-28 23:03:54
葛葵中将 @katsuragi_rivea

その日は確か――そうだ。第二次SN作戦を間近に控えた南方、 今、現在の秘書艦である睦月がまだ大本営からの査察目的で艦隊補佐として編入されていた時。 艦隊は南方での新人空母及び、航空隊の練成を行っていた時のことだ。

2016-10-28 23:05:01
葛葵中将 @katsuragi_rivea

葛葵の格好というのも…司令官らしからぬ白のランニングに麦わら帽というさながら、釣り人の如し 彼は暑さが苦手らしく片手にはラムネを携え、額から…首筋から、全身から汗を大量にかいていた。 「何となく、だよ…最近聞く話だと、深海側にもおかしなのがいっぱい出てきたって話じゃないか」

2016-10-28 23:06:37
葛葵中将 @katsuragi_rivea

ネームド、などと称される深海棲艦の特殊個体が多数確認されはじめ… その頃にはその夥しい数に軍も手を焼き始め、対策が取られるようになっていた。 葛葵自身も、その個体のいくつかを実際目にし…自軍麾下もその個体と対峙するのではないかという危機感に晒されていた。

2016-10-28 23:07:49
葛葵中将 @katsuragi_rivea

艦隊を預かる司令官という立場から発言だったのだろう。何故、それを初霜に対して語りかけたかは不明だが、 「そうですねぇ…確かに、速力に優れている以上は不利なのは否めないですね。どうしましょう?」 初霜は質問に対して質問で返した。―――逆に自分が聞きたいほどであったからだ。

2016-10-28 23:09:17
葛葵中将 @katsuragi_rivea

海上で深海棲艦と渡り合う以上は自分がそのような敵と対峙する機会も訪れす可能性は否定できない。 神通ならばそのような敵と対峙しようが構わずねじ伏せそうではあるし…その方法すら容易に提示してみせるだろう。 ―――だが彼女は決してそれを初霜達、下の者に簡単に教えはしない。

2016-10-28 23:11:15
葛葵中将 @katsuragi_rivea

(時に…貴方達が独りでも強大な敵と交戦しなければならない時があります。そんな時に私を頼りにされても困ります。自力で何とかしてください) …勝手なイメージとして脳裏に浮かぶ鬼百合は厳しい口調でそう告げる。自分で考えろ、そう彼女ならば自分達に常に向上のための試練を与えてくるだろう。

2016-10-28 23:12:29
葛葵中将 @katsuragi_rivea

あながち、その印象は間違ってはいないが故に苦笑いを浮かべるしか無かった。 頬を掻く初霜に訝しげな顔を浮かべつつ葛葵は言葉を改まった口調へと戻し、あることを提案した。 「じゃぁ、こうするのはどうだろうか。相手が速ければ速いほど裏目に出る…ま、仮想理論に過ぎないが」 「えっ?」

2016-10-28 23:14:40
葛葵中将 @katsuragi_rivea

時折、彼…葛葵は突拍子も無いことを口にする。 意図あってのことかは断定出来ないほどに飄々とした態度でそれを話すため、 まず真に受けて聞くことこそ、損になることが多いのだが…この言葉こそ その記憶こそが、今の初霜が最も求める答えとなる―――

2016-10-28 23:15:32
葛葵中将 @katsuragi_rivea

初霜は息を飲み、戦況を見据えた。一度は目標、空色の巡洋艦を追い詰めたかのように見えたが…即座にそれは覆された。 目標はすぐさま構えを取ると速力に物を言わせた近接戦へと臨んでくる。 相手は相当な手練。そこからの戦闘は相手が圧倒的に有利のままに展開された。

2016-10-28 23:17:56
葛葵中将 @katsuragi_rivea

グラーフ攻撃隊は目標の至近距離に味方の姿があることから的を絞れない 初霜は空色の巡洋艦の持つ速度に嬲られ続けた。 至近弾、後部に被弾、雷跡多数接近、続けて砲撃、艦後方外壁に損傷、乗員妖精一部戦意喪失、左舷第六区画浸水。艤装に宿る妖精達が報告してくる戦況報告は悪化の一途を辿る。

2016-10-28 23:19:23
葛葵中将 @katsuragi_rivea

加速―――静止!再び加速。緩急を加えた奇抜な動きに初霜達は翻弄され続けた。 目標を捉えようと主砲を向けた先には彼女の足跡、水柱のみが残る。 ―――速すぎて、捉えられない。 強く唇を噛みつつ、とにかく耐える一点に主観を置く。

2016-10-28 23:20:29
葛葵中将 @katsuragi_rivea

空色の巡洋艦は既に手段を選ぶことをやめたらしい。砲撃の射線上にグラーフが存在しようと、 構わず攻撃の手を加える機会が増える。無傷での奪取を諦め、力を行使する方針を固めたようだ。 ―――その行動は非常に厄介を極めた

2016-10-28 23:21:40
葛葵中将 @katsuragi_rivea

「Каким был импульс до некоторое время назад?」 -先程までの威勢はどうしたの?- うねり隆起する海面に足を取られ、体勢を崩したところに蹴脚が飛んでくる。 速度に体重を預けたその威力はカラテ使いなどと呼ばれる艦娘達に見劣りもしない。

2016-10-28 23:22:59
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