【ミイラレ! 目玉のこと】

オカルト存在に好かれる少年のよもやま話。
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鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern
陽が落ち、薄闇の降りた山道。そこを歩く二人の人影があった。片方の小柄な影がもう片方の腕にしがみつき、前方の足元に光を投げかけている。「あのさ、空木(うつぎ)。もう少し離れてくれないと歩きづらい」しがみつかれた方が困ったように言った。高校生くらいの少年だ。1 #4215tk
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern
「そんなこと言われてもぉ……」弱り切った、か細い声とともに小柄な方が少年を見上げる。同時に眩い光が少年の顔を照らし出した。まだ幼さの残る、しかし落ち着き払った容貌を。「眩しい」「ごっ、ごめんね!?」しかめっ面で文句を言われた小柄な影が正面へと向き直る。2 #4215tk
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern
少年は小さく溜息をついた。「だいたい、怪異が出るからっていちいち俺を呼ばなくても。なんにもできないよ?俺」「いてくれるだけでも助かるんだよぅ。風の噂だと、すごい怖い見た目の怪異らしいから……」「俺は熊とか猪とかの方が怖い」言い捨て、照らされた道を進む。3 #4215tk
きゃんてら @Cantera36
あくまでも常人。戦い慣れはしていないのだ #4215tk
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern
しがみついた方が慌てて声を上げた。「そっ、そっちが出たら僕がなんとかするから!そもそも小雨さまがしっかり管理なさってるもの、ここの動物たちが四季を襲うことはないって」「だといいけど」苦い声をこぼした少年……日条 四季は用心深く前へと進む。そして再度溜息をついた。4 #4215tk
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern
それにしても。四季は自分にしがみついた子供を横目で見やる。彼……だったはずだ……は緊張の面持ちで前方を睨み、瞳から放つ光で夜道を照らしている。顔の上半分を占めるほど大きな一つ目が、否応なく今の状況の異常さを醸し出していた。とどのつまり、空木もまた怪異なのだ。4 #4215tk
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern
なんでまた、一応は人間である自分が怪異に夜道の付き添いを頼まれたのだったか?一つ目小僧にしがみつかれたまま、四季は昼のことを思い出し始めた。5 #4215tk
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern
……………………「居候のあたしが言うことじゃないかもしれませんがね、若旦那」日条家一階、大広間。畳に寝そべっていた四季は顔を上げる。部屋の真ん中には大きな長机が置かれており、先の声の主はそこに肘をついて彼を見やっていた。牛のような角に薄青い肌の女である。6 #4215tk
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern
彼女の名は御伽 巡。最近この家に居憑いた自称『青行燈』であり、四季に百鬼夜行の頭領を押し付けた妙な怪異だ。傍に古びたノートPCを開いたまま、彼女は呆れたように四季を見やる。「若旦那もお若いんですから。家でゴロゴロせず、ご友人と遊びに行かれたらいかがです?」7 #4215tk
きゃんてら @Cantera36
ノートPC…?随分とハイ・テックなものを #4215tk
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern
もっともな指摘に、しかし四季は器用に肩を竦めた。「遊ぶにしても、もっと陽が落ちないとみんな動きたがらないし……」「そりゃ怪異の話でしょう。人間のご同輩はどうなんです」「いたら苦労しないよそんなん。いないからふてくされてんの」「なんとまあ」巡が顔をしかめた。8 #4215tk
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern
静かにノートPCを閉じ……否、ひとりでに閉じたようにも見えたがそれはともかく、鬼女が四季の側にやってくる。「ならご両親のお買い物の手伝いにでも行かれればよかったでしょうに。荷物運びくらいはできるでしょう」「行ければ行きたいけど、それはそれで迷惑がかかるんだよ」9 #4215tk
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern
小さく首を傾げる鬼女。四季は起き上がり、居ずまいを正した。「前はまあ、一緒に外に出ることもあったけどさ。そうするたびに怪異が憑いてくるんだよ」「ははあ、なるほど」「母さんたちは別にいいとか言ってるけどさ……」「あの方々もなんというか、おおらかですなあ」10 #4215tk
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern
感心したように呟く巡。四季は彼女に背を向けるようにして寝転がった。「それでなんかあったら困るじゃない。俺はあんまり危ない目にあったことはないけど、母さんたちもそうとは限らないでしょ。だから留守番」「それはそれは」他人事のような鬼女の声に、四季は鼻を鳴らす。11 #4215tk
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern
なんとなくだが、四季には巡がどんな表情を浮かべているのかわかる。間違いなく意地の悪い笑みだろう。「それならそれで解決策もありましょうに。あの座敷童に頼むとか」「御影のこと?御影、あんまり家の側を離れたがらないからさ」「なるほど、自宅警備員と」「絶対違う」12 #4215tk
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern
四季は少しだけ語気を強めた。彼女の場合、他の怪異にありがちな勘違いではなく、意図的な揶揄だからだ。顔合わせをしたときも反りが合わなさそうなようだったし。「ではあれです。今後しばらくはあたしもご一緒しましょう。それで寄ってくる悪い虫どもを好きにさせてもらうと」13 #4215tk
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern
四季は思わず振り向いた。巡はにこにこと笑っている。こういうときの彼女はなにか企んでいると見ていい。「そんな顔しないでくださいよう、あたしだって本当は出不精なんですから。こう、若旦那のお目付役にふさわしい怪異を見つけておくのもいいじゃございませんか」14 #4215tk
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern
半眼になった四季にぱたぱたと手を振りながら巡。一応は本心のように思えるが、さて……「もーし」その時だ。広間の外、縁側の方角から一声呼びが聞こえてくる。四季と巡は思わず顔を見合わせ、ついで声の方角へと向き直った。「怪異だね」「ですねえ。何用でしょうかね」15 #4215tk
きゃんてら @Cantera36
む?若旦那認定から時間が開いてるのか? #4215tk
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