夢うつつ

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❥❥Blue @sweetblue83

・・夢うつつ・・ 1. 「やめとこかなぁ」 玄関で呟く章ちゃん。 「約束したんでしょ(笑)」 「せやけどせっかくの休みやで?」 「せっかくの休みだから!」 たまには友だちと思いきり遊んでほしい。 「ほら、」 腕を掴んで背中を押すと、ピクっと動いて振り返る。

2016-04-11 18:44:31
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2. 「ん?」 「行かへん」 「え?」 「行かへん。もう決めた」 スタスタと部屋に戻る。 「ちょっ、約束は?」 「断る」 「何言って、」 「お前、熱あるよな?」 確かに風邪気味だけど寝込むようなレベルじゃない。 「良くないよ、そんなの」

2016-04-11 18:45:34
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3. 「お前のんが良くないわ」 少し不機嫌? 「ねぇ?」 「お前、前のときもそーやったから」 一瞬睨んだような目はちょっと寂しげに見えた。 「ほら、ベッド行き?」 「ホントに大丈夫だって」 「それは俺が判断する」 半ば強引にベッドに入れられて。

2016-04-11 18:46:10
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4. 頭を撫でられ肩を叩くリズムにだんだんまぶたが重くなった。 ** 夜中ふと目が覚めた。 身体が重くて動けない。 頭痛い… ベッドに伏せたまま眠る章ちゃん。 さっきの寂しげな顔が頭をよぎった。 (お前、前のときもそーやったから)

2016-04-11 18:49:41
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5. 心配させたくないとか頼りたくないとか そんなんじゃない。 ただ何か何だろう… 鼻の奥がツーンとした。 (ごめん…) 言葉の代わりに零れる涙。 熱のせいだ。 「ん…、どした?気分悪い?」 「…友だち…ごめんね」 「アホ、」 額に手を当てる。

2016-04-11 18:52:37
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6. 「お前…熱。しんどいやろ」 首を振って応える。身体がふわふわして頭もぼんやりして。でも気分の悪さはない。 「飲み物持ってくるな」 立ち上がろうとした章ちゃんの腕を掴んだ。 「ん?」 「大丈、」 「…やない。ちゃんと言うて。してほしいこと」

2016-04-11 18:53:46
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7. 心の奥まで見透かすような優しい瞳。 「章ちゃん、そこにいて…」  「うん」 ふんわりと柔らかくなった表情に心が溶けて、一瞬意識が浮いた。  「おい?」 心配そうにのぞき込む。  「横になり?」  「…ょうちゃん」 「ん?」 「…うつしていい?」

2016-04-11 18:57:52
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8. えっ?驚いた顔はすぐに穏やかな笑顔になった。 「ん。うつし?」 私の唇を優しく受け止める唇。 「、」 シャツの裾を引く。 「あ…いや。今はアカンで?」 「してほしいこと言うてって言った」 「せやけど」 熱のせいだ。 「平気」 「アカンて」

2016-04-11 18:59:19
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9. もう一度首に腕を回して近づけた身体は、ストンと章ちゃんの腕に落ちた。 額に優しいキスが落ちる。 「ええコやからここまで、な?」 昇ってくのはわたしの熱だけ? 「ヤだ。今…」 困りきった顔の彼。 ** どのくらい時間がたったんだろう。

2016-04-11 19:00:41
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10. 「…しんどなったら言わなやで?」 「うん」 熱のせいだ。自分から求められるのは。 「お前、熱い…」 同じくらい熱くなって? 溶け合う吐息と絡み合う身体。 昇っていく章ちゃんを感じながら途切れ途切れになる意識を繋ぐ。 「待って…」 宙に浮いた手を掴む。

2016-04-11 19:06:05
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11. 「ここにおる」 「しっかりし?」 「…」 熱のせいだ。 「側にいて」 「うん」 「抱きしめ…てて…」 「うん」 「いつも…離さないで…」 「約束する」 熱のせいにして。ずっと浮かされていたい。 微睡みの中、章ちゃんの中で漂っていたい。

2016-04-11 19:07:07
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12. 「あの、ね…」 「うん?」 「好き」 「知っとる」 「ん…----」 「落ちろ」 意識を手放すのが怖くなかったのは、そっと身体を包んでくれたから。 (俺も。好きやで) 囁く声が聴こえたから。 私が章ちゃんに浮かされるのは 熱のせいじゃない。

2016-04-11 19:08:28
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13. *** 朝方、聴こえてくる話し声。 (悪い。彼女寝込んでもーて) (昨日の夜中、電話あってさ。部屋行ってかなり焦った) (まぁな、嬉しかったんもあるし。初めてやねん、言うてきたの) (約束、ごめんな。今日は側に付いとくわ) …え?

2016-04-11 19:09:43
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14. 「あ。ごめん、起こしてもーた?」 額に手を当てる。 「はぁ…下がった」 ため息をつく。 「…、」 「、気分悪いか?」 「え、あ…ううん…」 いつ来たって…? 「すごい熱やったでな。今日はゆっくりしとき?」 「あ…。でももう…」

2016-04-11 19:10:19
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15. 「アカン!」 声と同時に抱きしめられて。 「お前、昨日…」 腕にグッと力が入る。 「昨日ずっとうなされてて。うわ言言うてて」 え… 「俺ここにおるって、離れへんって言うても聞こえへんで腕伸ばすし…」 「ホンマに心配やった」 深く息を吐く。

2016-04-11 19:12:57
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16. 「ごめん…」 「んや。謝ることちゃうよ」 「けど、」 「いろいろ…わかったし」 「…うん」 わたしも。本当の気持ち。もっと側にいてほしい。大好きなの。 「これからはちゃんと心配させてな?」 「うん」 「と…、」 私の身体を押して離れる。

2016-04-11 19:15:09
❥❥Blue @sweetblue83

17. 「ん?」 「アカンわ、このままやったら俺、」 「…?、あ…大丈夫だよ」 「病み上がりに手ぇ出せるか」 赤い目でいたずらっぽく笑う章ちゃんに身を預ける。 「せやからアカンて」 くしゃくしゃな笑顔にも胸がキューンとして。  熱出して良かったかも…

2016-04-11 19:16:42
❥❥Blue @sweetblue83

18. 「ふわぁ~」 背伸びして目をこする。 いや、違う。 「入ってもええ?」 眠そうにベッドに潜り込んだ章ちゃんに腕を伸ばした。 pic.twitter.com/HvuhSgNyzX

2016-04-11 19:17:29
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